内容紹介
徳川幕府・清朝双方の貿易政策を分析し,国交もなく交渉すら欠如するなかでいかに長崎貿易を維持することができたのかを描きだす.信牌システム論,幕府の唐船対策,さらには中国における商人組織化という視点から日中双方の史料を読み解き,東シナ海域の国際秩序および東アジア国際関係の再構築を試みる.
目次
序 章 近世日清関係史を問い直す——通商関係の視点から
第一部 通商関係の制度的基盤
第一章 信牌制度のメカニズムと確立過程
第二章 「信牌方」及びその職務について
第三章 清朝の日本銅調達と信牌対策——「倭照」関係史料の分析から
第二部 通商関係の法的規制
第四章 享保期の唐船打ち払いと幕藩制国家
第五章 近世日本の唐人処罰——「日本之刑罰」の適用をめぐって
補 論 清朝から見た近世日本の対外関係
第三部 通商関係の担い手の再編
第六章 「官商」范氏の日本銅調達と債務問題
第七章 唐船商人の組織化——「額商」の成立と貿易独占を中心に
第八章 貿易独占組織「官局」・「民局」の経営構造
第九章 両局体制と「約条」貿易
終 章 近世日清通商関係史の構築に向けて
初出一覧/あとがき/参考文献/索引