リーマンと代数関数論 西欧近代の数学の結節点
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-13-061311-8 C3041
奥付の初版発行年月:2016年11月
19世紀数学の中核に位置する代数関数論.さまざまな数学者たちが,どのように交わり,また,どのような思考の変遷を経てこの偉大なる理論が形成され,新たな道が拓かれていったのか.リーマンを軸に,論文と史実から読み解かれた数学の世界へ,精密で巧みな文章が読者を誘う.
目次
まえがき
第1章 代数関数とは何か——オイラーの関数概念とその変容
1 関数概念を振り返って
2 関数の世界と曲線の世界
3 ディリクレとコーシーの関数概念
第2章 カナリアのように歌う——リーマンの「面」の発見
1 修行時代
2 ベルリンの数学者たち
3 学位論文まで
4 コーシーの複素関数論
5 リーマン面のアイデアを語る
6 マジョーレ湖畔で終焉を迎える
第3章 楕円関数論のはじまり——楕円積分の等分と変換に関するアーベルの理論
I 楕円関数論の二つの起源——萌芽の発見と虚数乗法論への道
1 楕円関数論の二つの流れ——変換理論と等分理論
2 ファニャノの楕円積分論
3 変換理論の諸相
4 楕円関数の等分に関するアーベルの理論
II クレルレの手紙
1 ペテルブルグとゲッチンゲンからの手紙
2 ヤコビの言葉とルジャンドルの言葉
3 ルジャンドルの所見
4 ベルリンへの招待
III アーベルとルジャンドルの往復書簡より
1 ルジャンドルからアーベルへ(1828年10月25日)
2 アーベルからルジャンドルへ(1828年11月25日)
3 ルジャンドルからアーベルへ(1829年1月16日)
第4章 アーベル関数の理論——ヤコビの逆問題の探究
I 「パリの論文」からアーベル関数論へ
1 代数的微分式の積分
2 アーベルの加法定理
3 加法定理と微分方程式
4 超楕円積分とヤコビ関数
5 ヴァイエルシュトラスとヤコビの逆問題
6 リーマンのアーベル関数論
7 複素多様体と多変数関数論との別れ
II アーベル積分の等分と変換に関するヤコビとエルミートの理論
1 歴史的概観
2 楕円積分と楕円関数
3 アーベル積分とアーベル関数
4 アーベルの加法定理
5 ヤコビの逆問題
6 2変数4重周期関数
7 ヤコビの逆問題とリーマン面
8 超楕円積分の等分と変換
9 隠された領域——数論とアーベル積分論
第5章 多変数代数関数論の夢——リーマンを越えて
1 ガウスの『アリトメチカ研究』とヒルベルトの第12問題
2 岡潔の遺稿「リーマンの定理」と多変数代数関数論の夢
あとがき
参考文献
数学者人名表
索引
Bernhard Riemann and the Theory of Algebraic Functions: The Junction of Modern Mathematics in Western Europe
Masahito TAKASE