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テキスト、図像による新たな体験バロックの音楽世界

バロックの音楽世界 テキスト、図像による新たな体験

A5判 606ページ 上製
価格:10,120円 (消費税:920円)
ISBN978-4-588-42018-4 C1073
奥付の初版発行年月:2018年10月 / 発売日:2018年10月上旬

内容紹介

その語源に否定的評価を隠し持つ「バロック」時代の音楽は、ルソーが述べたように混乱した、不自然なものだったのだろうか。当時を代表する理論家マッテゾンをはじめデカルト、キルヒャー、ライプニッツらの音楽論を参照し、多数の譜例と図版によりバロック音楽の楽理的特徴と歴史的・社会的背景を解き明かす。女性音楽家の活躍、新大陸への伝播も論じた決定的大著。付録CD-Rに楽譜やカラー資料を多数収録。

著者プロフィール

ベルンハルト・モールバッハ(モールバッハ ベルンハルト)

1949年、ドイツ、ラインラントプファルツの生まれ。ザールブリュッケン大学で音楽学、芸術史などを学ぶ。ザールラントなどで音楽関係の教職の後、1979年以降、ラジオ放送を通して古音楽の紹介、解説を続けている。放送局SFB(Sender Freies Berlin)、今日のRBB(Rundfunk Berlin Brandenburg)での番組は約6000回に及ぶ。その結実の一つが本書および『中世の音楽世界』『ルネサンスの音楽世界』(以上、日本語訳は法政大学出版局刊)の三部作となっている。放送の他、ライブなどを通して、古音楽の復活、再生だけでなく、それを今日に「生かす」ことに心を注いでいる。

井本 晌二(イモト ショウジ)

1943年に生まれる。東京大学文学部独文学科卒業。東京都立大学大学院修士課程(独文学専攻)修了。元・横浜国立大学教育人間科学部教授。訳書に、B. モールバッハ『中世の音楽世界』『ルネサンスの音楽世界』(以上、法政大学出版局)、H.-C. シャーパー『西洋音楽史・上下』、O. E. ドイッチュ他編『モーツァルトの生涯』(以上、シンフォニア)、共訳に、M. キンツィンガー『中世の知識と権力』、W. ハルトゥング『中世の旅芸人』、F. ライヒェルト『世界の体験』、N. オーラー『巡礼の文化史』、N. エリアス『時間について』、N. ビショッフ『エディプスの謎・下』(以上、法政大学出版局)、O. ボルスト『中世ヨーロッパ生活誌・上下』(白水社)、A. ボルスト『中世の巷にて』(平凡社)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき
1 バロック音楽は存在するか──基本概念
 バロック音楽の基本的特徴
 余論──音楽はさまざまな情緒を表現できるか
 アタナシウス・キルヒャー
 音楽を理解しつつ聞くことと散漫に聞くこと
 通奏低音とコンチェルト
 合唱の協奏的演奏
 通奏低音の成立
 即興演奏の基礎としての通奏低音
 通奏低音の番号付け
 通奏低音の演奏
 モテット的/モノディー的な通奏低音
 音楽的弁論術
 音楽的・レトリカルな音型
 適用された音型論
2 クラウディオ・モンテヴェルディの『オルフェオ』(一六〇七年)は最初のオペラか?
 マントヴァでの「オペラ初演」
 『オルフェオ』の台本
 宮廷オペラと宮廷の祝祭
 オペラの故郷としてのアルカディア
 オペラとオラトリオ
 フィレンツェのレチタール・カンタンド
 第二作法
 『オルフェオ』におけるオペラアリアの「誕生」
 『オルフェオ』における歌唱スタイル
 冥界のオルフェウス
 オペラにおける器楽音楽
 さまざまな解釈
 「切り刻まれる肉体」または「星になる」?
3 感情と知性 合理主義の精神世界における音楽
 音楽と建築
 ルネ・デカルト
 数と情念
 美学の根拠づけ
 メロディー形成の基本原理としてのシンメトリー
 デカルトと音楽的情念論
 情念論の生理学
 デカルトと現代医学
 バロックの音楽的情念論
 クーナウによる批判
 中心的な情念
 情念と感情
 アンドレアス・ヴェルクマイスターと音楽における数学
 バロック時代の中世的音楽観
 音 律
 再度、数と情念
 マッテゾンのヴェルクマイスター批判
 自然概念の導入
 シャイベによるバッハ批判
 自然─経験─創造・天才
4 ヨハン・マッテゾンと音楽上のジャンル──声楽
 歴史意識と音楽史
 メロディー対ハーモニー
 対位法からカデンツへ
 音楽的形式
 形式対表現
 情緒と形式
 マッテゾンのジャンル論の基本的意図
 コラール
 アリア
 アリア対リート
 アリアの機能
 レツィタティーフ
 カンタータ
 デュエット
 合奏楽曲
 セレナータ
 バレエ
 パストラーレ
 オペラ
 ディアローグ
 オラトリオ
 モテットとミサ曲
5 ヨハン・マッテゾン──器楽
 声楽曲対器楽曲
 メヌエット
 ガヴォット
 ブレー
 リゴドン
 行進曲とアントレ
 ジ グ
 ポロネーズ
 アングロワーズとコントルダンス
 パスピエ
 ロンド──RondeauとRondo
 フランスとイタリアにおけるチェンバロ音楽
 フランス対イタリア、音型対情緒
 サラバンド
 クーラント
 アルマンドと組曲
 バロックにおける主題と変奏、アリアとパルティータ
 ファンタジー
 ソナタ
 コンチェルト・グロッソ
 シンフォニア
 序 曲
6 諸侯の居城と市民都市、大都市の音楽
 近さと遠さ──われわれの世界におけるバロック音楽
 アムステルダム
 ボローニャ
 ドレスデン
 ハンブルク
 ライプツィヒ
 ロンドン
 マドリード
 ミュンヒェン
 ナポリ
 パ リ
 ローマ
 ザルツブルク
 シュトゥットガルト
 ヴェネツィア
 ウィーン
7 音楽による権力 ルイ一四世、絶対主義と芸術の道具化
 アンシャン・レジームにおける音楽
 芸術と王権
 ジャン=バティスト・リュリ
 太陽王の宮廷音楽
 フランス的絶対主義における音楽
 芸術、世界、生の秩序
 宮廷の儀式における音楽
 秩序としての政治とアカデミーの設立
 ミシェル=リシャール・ド・ラランド
 グラン・モテとプチ・モテ
 バロックのテ・デウムとグラン・モテの形式
 グラン・モテの名人たち
 宮廷の祝祭の特権と機能
 バレ・ド・クール
 コメディー・バレ
 抒情悲劇
 グラン・バル・ドゥ・ロワ
 ダンスの文法
 事例研究──メヌエット
 アンシャン・レジームにおける芸術と芸術家の道具化
8 楽器と作曲 バロックの響きの再発見
 歴史的演奏習慣と現代的演奏習慣
 楽器と作曲
 倫理対美学
 歴史的な「演奏美学」
 歴史的な、伝統的な音楽の場面
 バロック時代と演奏概念
 響きの語り
 作曲家対演奏家
 音楽の聴き手と歴史的演奏習慣
 バロックの楽器群
 トランペットとフレンチホルン
 ピストンの発明
 偽バッハ・トランペット
 シャリュモとクラリネット
 フォーク・フィンガリング
 バロックヴァイオリン
 チェンバロの別れ
 ハンマークラヴィア、ピアノとフォルテを持つグラヴィチェンバロ
9 男性世界における女性 バロックの女性作曲家
 修道院の世界の女性作曲家たち
 プロ的な音楽奨励の場としての修道院
 宮廷とアカデミーの世界における女性作曲家
 イタリアからフランスへ
10 征服者─伝道─インディオ 新世界におけるバロック音楽
 CD市場
 北アメリカ
 植民地化と音楽の伝達
 地 誌
 副王国ヌエバ・エスパーニャ
 ビリャンシーコ──教区民のための精神的な娯楽音楽
 ヌエバ・エスパーニャにおける作曲家
 副王国ペルー
 クスコ
 リ マ
 ラ・プラタ(スクレ)
 キューバ
 ポルトガル領ブラジル
 ミナス・ゲライスにおける諸芸術の隆盛
 パラグアイのイエズス会国家
 イエズス会のレドゥクシオンにおける音楽
 旅の報告
 
付録 オスティナート──音楽的特殊世界
付録 アブラハム・ア・サンクタ・クララ『大悪党ユダ』第一巻
付録 ヨハン・リスト
付録 アウグスト・ボーゼ(通称タランダー)『皇帝レオポルト一世とスペインのマルガレーテ・テレジアの婚礼』
付録 主要作品のテキスト
訳者あとがき

主要ディスコグラフィー(新世界におけるバロック音楽)
オスティナート一覧
CDの内容について
参考文献
原 註
索 引

関連書

ルネサンスの音楽世界


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