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レバノン・ヒズブッラーの抵抗と革命イスラーム主義と中東政治

イスラーム主義と中東政治 レバノン・ヒズブッラーの抵抗と革命

A5判 480ページ 上製
価格:7,260円 (消費税:660円)
ISBN978-4-8158-0750-4 C3031
奥付の初版発行年月:2013年11月

内容紹介

暴力と平和、過激と穏健 —— 真実はどこにあるのか。「自爆テロ」から民主政治まで多様な貌をもつイスラーム主義組織「ヒズボラ」の、知られざる実像を初めて明らかにすることを通して、激動するレバノン政治・中東政治・国際政治のダイナミクスを深部から描きだした気鋭の力作。


目次

序 章 イスラーム主義が動かす中東政治

  第Ⅰ部 国境を越える抵抗と革命 —— ヒズブッラーの誕生と発展

第1章 抵抗と革命を結ぶもの —— ヒズブッラーの誕生
     はじめに —— 抵抗組織か、それとも革命組織か
     1 トランスナショナルなアンブレラ組織
     2 イラン・イスラーム革命からレバノン戦争へ
     3 イランによる 「革命の輸出」
     4 シリアの戦略地政学
     おわりに —— 抵抗と革命を結んだもの

第2章 抵抗と革命の思想 —— 自爆攻撃を合理化する
     はじめに —— ヒズブッラー思想を腑分けする
     1 「公開書簡」 の思想
     2 「革命」 によるイスラーム国家の樹立
     3 力の行使を正当化するもの
     おわりに —— 抵抗と革命が結ばれたとき

第3章 国境を越える内戦とテロリズム —— イスラーム主義に震撼する冷戦構造
     はじめに —— 国際政治における 「内戦国家」
     1 宗派制度の光と影
     2 国家変容としてのレバノン内戦
     3 国境を越えるテロリズム
     4 大シリア地域システム
     5 冷戦下の国際システム
     おわりに —— 震撼する冷戦構造

  第Ⅱ部 多元社会のなかのイスラーム主義 —— レバノン化するヒズブッラー

第4章 「テロ組織」 が政党になるとき —— ヒズブッラーのレバノン化
     はじめに —— 「テロ組織」 は政党になれるか
     1 内戦の終結と第二共和制の成立
     2 逆風に立たされる抵抗と革命
     3 ヒズブッラーのレバノン化
     4 権力の二元的構造の下での政党
     おわりに —— 「武装政党」 の誕生

第5章 多極共存型民主主義におけるイスラーム政党 —— 民主主義・宗教・ナショナリズム
     はじめに —— イスラームと民主主義の接点を探る
     1 第二共和制の議会政治と選挙制度
     2 宗派制度へのコミットメント
     3 宗派横断的動員の強化
     4 アドホックなネイション
     おわりに —— イスラーム主義が支える民主政治と国民統合

第6章 対イスラエル闘争と中東和平問題 —— 紛争はなぜ終わらないのか
     はじめに —— 紛争はなぜ終わらないのか
     1 紛争の基本構図
     2 「対テロ戦争」 を生き抜く言説戦略
     3 対イスラエル闘争の新局面
     4 中東和平交渉のなかのヒズブッラー
     おわりに —— 終わらない紛争、遠のく和平

第7章 抵抗社会の建設と社会サービス —— サバルタン・ヒズブッラーの日常実践
     はじめに —— サバルタン・ヒズブッラー
     1 ヒズブッラーの組織構造
     2 ヒズブッラー系列NGOの諸相
     3 ベイルート南部郊外における社会サービス
     4 抵抗と革命を飼い慣らす
     5 抑圧者/被抑圧者のアイデンティティ・ポリティクス
     おわりに —— 軍事と政治の狭間に生きる

  第Ⅲ部 今日の中東政治の結節点 —— ヒズブッラー化するレバノン

第8章 「新しい戦争」 としての2006年レバノン紛争 —— 均衡はなぜ崩れたのか
     はじめに —— 崩壊した 「恐怖の均衡」
     1 2006年レバノン紛争 —— 均衡はなぜ崩れたのか
     2 「新しい戦争」 としての2006年レバノン紛争 —— 戦争はなぜ正当化されたのか
     3 新しい 「旧い戦争」?—— 暴力装置のハイブリッドからアマルガムへ
     4 「恐怖の均衡」 が生み出す安定と不安定 —— 新たな代理戦争の構図
     おわりに —— 「恐怖の均衡」 が再び崩れるとき

第9章 「杉の木革命」 による民主化とその停滞 —— レバノンのヒズブッラー化
     はじめに —— 民主化はなぜ座礁したのか
     1 合議による合意形成 —— 第17期国民議会選挙 (2005年)
     2 レバノンのヒズブッラー化 —— 親シリア派による 「反革命」
     3 新たな内戦の危機 —— エリートの対立から市民の対立へ
     4 「二大政党体制」 の盛衰 —— 第18期国民議会選挙 (2009年)
     おわりに —— 宗派制度における権力分有と権力闘争

第10章 「アラブの春」 で変わる中東政治 —— 保守としての抵抗と革命
     はじめに —— 流動化する中東政治
     1 レバノンにおける 「静かなる革命」—— レバノンのヒズブッラー化の到達点
     2 「アラブの春」 で蠢動するヒズブッラー —— 勢力拡大の好機
     3 シリアにおける 「アラブの春」—— 庇護者喪失の危機
     4 保守としての 「レジスタンス枢軸」—— 「30年戦争」 の継続
     おわりに —— 温存される紛争構造

終 章 イスラーム主義と中東政治の新時代
     1 イスラーム主義のフロントランナー
     2 中東政治の結節点
     3 地域研究の実践例


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