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多面的機能・環境勘定・エコロジー農業環境の経済評価

農業環境の経済評価 多面的機能・環境勘定・エコロジー

A5判 486ページ
価格:10,450円 (消費税:950円)
ISBN978-4-8329-6689-5 C3033
奥付の初版発行年月:2008年03月 / 発売日:2008年03月下旬

内容紹介

本書は,5部18章から構成なる。第Ⅰ部では,社会調査法の理論的枠組みと実際上の具体的調査方法と手順を紹介する。第Ⅱ部では,主要な環境評価手法を扱い,理論的・実証的改良を加えた4章で構成している。第Ⅲ部では,LCAを,経営形態別に稲作,酪農に適用した分析と,バイオスプラント導入による酪農由来の有機資源循環システムの環境負荷削減効果を地域(町)全体で評価するもので,4章構成となっている。第Ⅳ部では,主にマクロ面からの環境評価手法とその適用と分析を扱い,4章で構成している。第Ⅴ部は,生態系の物質循環機能を考慮した環境・経済理論の系譜を示し,それに基づく生態系と人間活動の関連を評価するもので,環境評価の分野では新しい領域である。4章で構成されている。

著者プロフィール

出村 克彦(デムラ カツヒコ)

1945年北海道生まれ
北海道大学卒業,農学博士
北海道大学大学院農学研究院教授
主 著
『食肉経済の周期分析』(明文書房,1979年)
『農村アメニティの創造に向けて−農業・農村の公益的機能評価−』<編著>(大明堂,1999年)
『中国山岳地帯の森林環境と伝統社会』<編著>(北海道大学出版会,2006年)

山本 康貴(ヤマモト ヤスタカ)

1960年北海道生まれ
北海道大学卒業,博士(農学)
北海道大学大学院農学研究院准教授
主 著
『消費者と食料経済』<共著>(中央経済社,2000年)
『農業の与件変化と対応策』<共著>(農林統計協会,2002年)
『食品安全性の経済評価−表明選好法による接近−』<共著>(農林統計協会,2004年)

吉田 謙太郎(ヨシダ ケンタロウ)

1968年北海道生まれ
北海道大学卒業,博士(農学)
筑波大学大学院システム情報工学研究科准教授
主 著
『農村アメニティの創造に向けて−農業・農村の公益的機能評価−』<編著>(大明堂,1999年)
『国境措置と日本農業』(農林統計協会)<共著>(農林統計協会,2000年)
『Food Safety: Consumer, Trade, and Regulation Issues』<共著>((Zhejiang University Press,2005年)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき
 本書の目的 / 本書の位置づけ
第Ⅰ部 課題と方法
第1章 環境評価の視点と方法(出村克彦)
 1. 本書の課題
 2. 環境評価の方法と意義
 3. 本書の梗概
第2章 環境評価における社会調査手法の理論と実践(岩本博幸・小池 直)
 1. はじめに
 2. 標本設計
 3. 標本抽出方法と調査計画
 4. 面接調査法
 5. 郵送調査法
 6. 電話調査法
7. インターネットリサーチ
第Ⅱ部 CVM,トラベルコスト法とコンジョイント法
第3章 表明選好法による農業・農村政策の便益評価と便益移転(吉田謙太郎・伊藤寛幸)
 1. 便益移転の概念と枠組み
 2. 表明選好法による農業農村整備の環境便益評価
 3. 農業農村整備における便益移転の適用——農業集落排水事業を事例に
 4. コンジョイント分析による直接支払政策の便益移転
 5. 便益移転の今後の課題
第4章 選択実験型コンジョイント分析による北海道酪農の多面的機能評価(佐藤和夫・岩本博幸)
 1. はじめに
 2. 酪農の多面的機能評価の枠組み
 3. モデル推定と評価額の検討——観光牧場と酪農草地面積の代替関係
 4. まとめ
第5章 トラベルコスト法とその展開(中谷朋昭・佐藤和夫)
 1. はじめに
 2. トラベルコスト法の基礎となる考え方
 3. 経済理論によるトラベルコスト法の定式化
 4. データ収集方法と各種の分析モデル
 5. 適用事例——日本在来馬の便益評価
 6. まとめ
第6章 途上国における水環境汚染改善の評価——インドネシアの生活排水による水環境汚染の改善に対する住民評価(岩本博幸・斉藤 貢・眞柄泰基)
 1. はじめに
 2. 汚水処理システム導入の便益および費用の評価方法
 3. 地域住民による便益評価額と汚水処理システム導入費用
 4. プロジェクトの適正性の検討と国際援助のあり方
 5. おわりに
第Ⅲ部 Life Cycle Assessment
第7章 LCAの理論的枠組みとわが国の農業分野への適用(増田清敬)
 1. LCAの特徴と問題点
 2. 環境経済学におけるLCAの位置づけ
 3. 国際規格に基づいたLCAの実施手法
 4. わが国の農業分野におけるLCA研究
第8章 LCAを用いた精密農業の環境影響評価——稲作施肥技術を対象として(工藤卓雄)
 1. はじめに
 2. LCAによる分析の手順
 3. LCAによる局所施肥管理技術評価の枠組み
 4. 局所施肥管理技術により影響される経営収支情報
 5. 温室効果ガスの排出に及ぼす影響評価
 6. おわりに
第9章 LCAを用いた低投入型酪農の環境影響評価——北海道根釧地域の「マイペース酪農」を事例として(増田清敬・山本康貴)
 1. はじめに
 2. 事例農家の「マイペース酪農」転換による経営変化
 3.「マイペース酪農」転換におけるLCAの適用
 4.「マイペース酪農」転換による環境負荷削減効果
 5. まとめ
第10章 LCAを用いた農業地域における有機性資源循環システムの環境影響評価——バイオガスプラント導入を事例として(増田清敬・山本康貴)
 1. はじめに
 2. 鹿追町農業におけるLCAの適用
 3. バイオガスプラント導入による環境負荷削減効果
 4. まとめ
第Ⅳ部 環境会計
第11章 マクロ環境会計の理論(山本 充・林 岳)
 1. はじめに
 2. 環境会計の定義と目的
 3. 環境会計の種類
 4. マクロ環境会計の理論的枠組み
 5. マクロ環境会計理論の農林業への適用意義
 6. おわりに
第12章 マクロ環境会計による農林業の環境評価(林 岳・山本 充)
 1. はじめに
 2. SEEAによる多面的機能のマクロ的評価
 3. 農業由来の廃棄物による環境影響の評価
 4. マクロ環境会計適用の限界と今後の可能性
 5. おわりに
第13章 メゾ環境会計による地域経済と農林業の持続可能性の分析(林 岳・山本 充・髙橋義文)
 1. はじめに
 2. メゾ環境会計による北海道経済の持続可能性の分析
 3. 地域農林業における持続可能性の評価
 4. 地域におけるバイオマス循環システム構築の影響評価
 5. まとめ
第14章 農業におけるミクロ環境会計の適用(林 岳)
 1. ミクロ農業環境会計の意義
 2. ほかの産業の環境会計との相違
 3. ほかの評価手法との関連
 4. ミクロ農業環境会計の課題
 5. おわりに
第Ⅴ部 生態系の環境評価,エコロジカル・エコノミックス
第15章 持続可能性とエコロジカル経済学(髙橋義文)
 1. はじめに
 2. 環境収容力概念に対応した持続可能性
 3. 持続可能性とエコロジカル経済学
 4. まとめ
第16章 エコロジカル・フットプリントを用いた持続可能性評価と環境収容力の推定——土地資源に注目したCarrying Capacityの静学評価(髙橋義文・林 岳・山本 充・出村克彦)
 1. はじめに
 2. エコロジカル・フットプリントの定義と既存研究
 3.エコロジカル・フットプリントによる持続可能性評価と環境収容力の推定——中国広西壮族自治区大化県七百弄郷を事例にして
 4.環境負荷と環境便益を考慮した環境面からの持続可能性評価——北海道の農林業を事例にして
 5. まとめ
第17章 エメルギーフロー・モデルを用いた持続可能性評価と定常状態の推定——太陽エネルギーに注目した動学評価(髙橋義文・出村克彦)
 1. はじめに
 2. エメルギーフロー・モデルについて
 3. エメルギーフロー・モデルの中国への適用
 4. 分析方法
 5. シミュレーション結果と考察
 6. まとめ
第18章 むすび——日本における農業環境政策に向けて(出村克彦・山本康貴・吉田謙太郎)
コラム
個人情報保護と社会調査のマナー / 農業農村整備事業 / 選択実験型コンジョイント分析による評価額算出 / 調査方法とデータの性質 / 海外におけるCVM調査 / バイオマス・ニッポン総合戦略 / 精密農業 / 「マイペース酪農」の経営分析 / バイオガス生産のメカニズム / SEEA2003 / SERIEE / 廃棄物勘定 / 農業環境活動チェックソフト
初出一覧
執筆者紹介


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