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エアロゾルの大気環境影響

エアロゾルの大気環境影響

A5判 394ページ
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-87698-698-9 C3058
奥付の初版発行年月:2007年02月 / 発売日:2007年02月中旬

内容紹介

ディーゼル粒子や硫酸塩粒子等の大気中微粒子は,大気汚染はもとより,温暖化や酸性雨など地球規模の環境問題とも深く関わる.しかし、複雑な性状を持ち,微小かつ微量の粒子が,地域的・時間的にも大きく変動するエアロゾルの影響を把握することは非常に難しい.日中共同研究に基づき,大気環境研究の在り方と,環境改善の指針を示す.


目次

まえがき
1.エアロゾルの性状と発生源
1.1 エアロゾルとは
1.2 エアロゾルの発生・生成
1.2.1 エアロゾルの発生・生成過程
1.2.2 二次粒子生成・成長
1.3 エアロゾルの性状と環境影響
1.3.1 エアロゾルの性状因子
1.3.2 エアロゾルの性状と環境影響,健康影響
1.4 国内におけるエアロゾル汚染
1.4.1 はじめに
1.4.2 SPM 汚染と環境基準達成率の推移
1.4.3 浮遊粒子状物質の発生源別寄与率とディーゼル自動車排出ガス対策
1.4.4 SPM 汚染の広域化と揮発性有機化合物対策
1.4.5 微小粒子状物質汚染の現状
1.5 中国におけるエアロゾル汚染
1.5.1 はじめに
1.5.2 中国主要都市の大気汚染状況
1.5.3 中国北京市における大気観測
1.6 特定領域研究「東アジアにおけるエアロゾルの大気環境インパクト」
1.6.1 エアロゾルの大気環境インパクト評価における問題点
1.6.2 エアロゾルの大気環境影響で必要とされる研究課題
2.エアロゾルの二次生成(二次粒子生成)
2.1 光化学反応による粒子生成
2.1.1 はじめに
2.1.2 硫酸二次粒子生成プロセス
2.1.3 回分型リアクタによるSO2 光反応実験
2.1.4 流通型リアクタによる二次粒子発生・成長実験
2.1.5 化学反応モデルの開発
2.1.6 おわりに
2.2 イオン誘発核生成
2.2.1 はじめに
2.2.2 最近の研究
2.2.3 本研究で提案する測定法
2.2.4 実験装置と方法
2.2.5 実験結果
2.2.6 おわりに
2.3 気体状化学種と水・氷表面の相互作用
2.3.1 はじめに
2.3.2 気体状化学種の水液滴への取り込み過程
2.3.3 液滴列法による取り込み測定の理論的解析
2.3.4 表面への取り込み係数と吸着化学種の同時測定法
—氷への水蒸気の取り込み—
2.3.5 アモルファス氷表面へのNO2 取り込み
2.3.6 おわりに
2.4 有機成分の凝縮と粒子成長
2.4.1 ガス—粒子分布
2.4.2 粒子成長
3.エアロゾルの測定法
3.1 エアロゾルのサイズ計測
3.1.1 LDMA-FCE システムを用いたサブミクロンエアロゾル粒子の計測
3.1.2 凝縮法によるガス中ナノ粒子の計測
3.1.3 軟X 線フォトイオナイザによるエアロゾルナノ粒子の荷電
3.2 個別粒子中の無機成分分析
3.2.1 はじめに
3.2.2 エアロゾルの無機成分分析法
3.2.3 放射光マイクロビームを用いた個別エアロゾル粒子分析
3.2.4 複合薄膜法
3.2.5 おわりに
3.3 含炭素粒子測定と評価
3.3.1 はじめに
3.3.2 分析方法
3.3.3 大気PM 中の炭素成分の長期変動観測
3.3.4 熱分離法の課題
3.3.5 おわりに
3.4 含炭素複合標準粒子の発生
3.4.1 はじめに
3.4.2 目的
3.4.3 噴霧乾燥法による含炭素複合粒子の発生
3.4.4 粒子の形態や空隙率が屈折率に与える影響
3.4.5 カーボン含有量が屈折率に及ぼす影響
3.4.6 おわりに
3.5 リアルタイムエアロゾル計測
—AMS とPILS-IC,カーボン計との相互比較—
3.5.1 エアロゾル質量分析計(AMS)
3.5.2 粒子液化捕集—イオンクロマトグラフシステム(PILS-IC)
3.5.3 オンラインEC/OC 計
3.5.4 AMS とPILS,カーボン計との相互比較
4.エアロゾルの長距離輸送と三次元分布の観測
4.1 エアロゾルおよびその前駆体の航空機観測
4.1.1 中国におけるエアロゾルおよびその前駆体の観測の開始
4.1.2 レセプター地域における観測例
4.1.3 中国上空におけるエアロゾルの化学成分およびガス状汚染物質
4.1.4 航空機観測による中国上空エアロゾル中の水溶性有機物の空間分布
4.2 船舶観測
4.2.1 はじめに
4.2.2 KH04-1 航海の概要
4.2.3 海洋大気エアロゾルの湿度特性
4.2.4 個別粒子の内部混合状態の測定
4.2.5 東シナ海上の大気エアロゾルの化学的特徴
4.2.6 おわりに
4.3 ライダーによる空間分布の観測
4.3.1 はじめに
4.3.2 ライダーネットワークによるエアロゾルの空間分布の観測
4.3.3 山岳部の大気境界層および自由対流圏のエアロゾルの観測
4.3.4 ラマンライダーによるエアロゾルの光学特性の精密測定
4.3.5 おわりに
5.人工衛星によるエアロゾル観測
5.1 人工衛星によるエアロゾル観測:概論
5.2 可視域データを用いたエアロゾル分布解析
5.2.1 はじめに
5.2.2 反射率計測によるエアロゾル観測の原理
5.2.3 長波長可視域〜短波長赤外域データを用いたエアロゾル観測
5.2.4 短波長可視域データを用いたエアロゾルの観測
5.2.5 GLI の近紫外域観測を利用したエアロゾル観測
5.2.6 衛星データにみられる日本近海および東アジア域エアロゾル分布の変動
5.3 偏光情報を用いたエアロゾル・雲分布解析
5.3.1 偏光センサADEOS/POLDER
5.3.2 エアロゾル分布の導出
5.3.3 雲分布の導出
5.4 東アジア域の雲・エアロゾル相互作用と日射量
5.4.1 はじめに
5.4.2 日射量データ
5.4.3 日射量データの比較解析
5.4.4 日射量の変動とその要因
5.4.5 まとめ
6.エアロゾルの乾性沈着・湿性沈着
6.1 乾性沈着,湿性沈着:概論
6.2 乾性沈着機構と乾性沈着量測定
6.2.1 はじめに
6.2.2 濃度勾配観測についての考察
6.2.3 REA 法に基づくエアロゾル乾性沈着測定機器の開発
6.2.4 REA 法によるエアロゾル乾性沈着測定
6.2.5 まとめ
6.3 湿性沈着機構と湿性沈着量測定
6.3.1 湿性沈着機構
6.3.2 湿性沈着における霧水の寄与
6.4 東アジア地域の湿性沈着
6.4.1 はじめに
6.4.2 モニタリングの方法
6.4.3 硝酸イオンと硫酸イオンの沈着量
6.4.4 アンモニウムとカルシウムイオンの沈着量
6.4.5 水素イオン沈着量と有効水素イオン
6.4.6 窒素飽和に関する沈着量
6.4.7 まとめ
7.東アジア域におけるエアロゾルのシミュレーション
7.1 シミュレーションの概要
7.2 東アジア地域におけるエアロゾル成因物質の排出量推計
7.2.1 東アジア大気汚染物質排出量推計研究の経緯
7.2.2 中国のエネルギー消費動向と統計の問題点
7.2.3 中国のBC, OC 排出量推計
7.2.4 中国の大気汚染物質排出量推計
7.2.5 地域別排出分布
7.2.6 まとめ
7.3 東アジアスケールの数値シミュレーション
7.3.1 はじめに
7.3.2 対流圏物質輸送モデルの構成
7.3.3 観測データ
7.3.4 地上観測とモデル結果の比較
7.3.5 黒色炭素BC の解析
7.3.6 ダストの解析
7.3.7 ダストと含炭素エアロゾルの水平輸送フラックスと収支解析
7.3.8 まとめ
7.4 酸性雨・酸性沈着のシミュレーション
7.4.1 はじめに
7.4.2 シミュレーションモデルと計算条件
7.4.3 モデル再現性
7.4.4 沈着量分布
7.4.5 日本の発生源地域別寄与率
7.4.6 まとめ
8.東アジア域におけるエアロゾルの気候影響
8.1 エアロゾルの気候影響:概論
8.1.1 大気アロゾルの物理化学と放射特性
8.1.2 大気エアロゾルの直接効果
8.1.3 大気エアロゾルの間接効果
8.1.4 エアロゾルの分布モデル
8.1.5 大循環モデルを用いたエアロゾルの放射強制力の評価
8.1.6 大気エアロゾルの気候影響評価のための今後の課題
8.2 エアロゾルの光学・化学特性
8.2.1 父島におけるエアロゾルの光学的特性の観測
8.2.2 船舶観測に基づく日本周辺洋上のエアロゾルの光学・化学特性
8.3 エアロゾルの雲粒生成能の立坑実規模実験
8.3.1 雲粒生成の実験の背景
8.3.2 実際の雲・霧の観測と人工雲実験施設
8.3.3 これまで立坑実験で得られた結果
8.3.4 今後の課題とACES の果たすべき役割
8.4 気候影響評価のためのエアロゾル分布モデルの開発
8.4.1 はじめに
8.4.2 全球化学輸送計算
8.4.3 排出源
8.4.4 TRACE-P 観測時の全球化学輸送計算:中国各地のエアロゾル濃度比較
8.4.5 全球エアロゾルモデルのまとめ
8.5 大循環モデルを用いたエアロゾルによる地球気温変化の推定
8.5.1 大気大循環モデル中でのエアロゾルの扱い
8.5.2 東アジア域におけるエアロゾルの放射強制力の特徴
8.5.3 観測データの利用方法


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