内容紹介
文化的・社会的に重要なイスラーム世界の古典を精選し解説,いまだ知られざる知の遺産を紹介した重厚なブックガイド.10世紀から20世紀までに成立した未邦訳の古典につき,その内容を詳説するとともに,背景や意義を分かりやすく解き明かす.日本イスラム協会創立50周年記念出版.
目次
はじめに(柳橋博之)
第1章 クライニー『充全の書:基本原理』——12イマーム・シーア派伝承学の基礎理念(吉田京子)
第2章 ファーラービー『諸学通覧』——知識のネットワーク化とムスリム社会(阿久津正幸)
第3章 地方史人名録——ハディース学者の地方観と世界観(森山央朗)
第4章 ジュワイニー『ニハーヤ』——シャーフィイー派法学の展開(柳橋博之)
第5章 ユースフ『クタドゥグ・ビリグ』とカーシュガリー『チュルク語諸方言修正』——11世紀チュルク諸語とイスラーム(菅原 睦)
第6章 「法学者間の学説相違の書」——イスラーム法の規範と柔軟性(小野仁美)
第7章 ムハンマド・カドリー『ムルシド・アル=ハイラーン』——イスラーム法学の近代(堀井聡江)
第8章 ナームク・ケマル『祖国あるいはスィリストレ』——19世紀オスマン帝国の愛国的戯曲をめぐって(佐々木紳)
第9章 『セディーゲ・ドウラターバーディー作品集』——女子教育推進に尽力した近代イランの女性知識人と社会の反応(山﨑和美)
第10章 ムフタール・スースィー『治癒をもたらす妙薬』——モロッコ南部ベルベル人とイスラーム的知の伝統(齋藤 剛)