内容紹介
中国西部・九州北部に勢力を誇った大内氏が,朝鮮王朝・室町政権といかなる関係を築いてきたのか.大蔵経を輸入し国内外での利用した実態や先祖が朝鮮王族であるという言説をめぐる対外観の位相を特徴づけるとともに,揺れ動く国内状況と勢力争いが密接に絡み合う中世対外関係を鮮やかに描く.
目次
序 章 中世対外関係史論の現在と本書の課題
第一章 大内氏の対朝関係の変遷
一 中世日朝関係の概観
二 第一期——開始と展開
三 第二期——直接通交の途絶
四 第三期——直接通交の再開
五 第四期——偽使通交
六 第五期——請負通交の展開
第二章 日朝国家間外交における大内氏の位置
一 朝鮮使節護送システムと大内氏
二 「国際港」としての赤間関
第三章 大蔵経輸入とその影響
一 中世日朝関係のなかの大蔵経
二 大内氏の大蔵経の輸入
三 輸入大蔵経の所在と特質
第四章 大内氏の先祖観の形成とその意義
一 百済王子孫説の展開
二 先祖観成立の画期
三 先祖観の肥大化と室町政権
終 章 総括と展望