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世界銀行と「調査の失敗」調査と権力

調査と権力 世界銀行と「調査の失敗」

A5判 336ページ
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-13-040268-2 C3033
奥付の初版発行年月:2014年11月

内容紹介

世界最大の国際開発機関である世界銀行は,もっとも権威ある調査機関でもある.環境アセスメントなど,その調査の多くの「失敗」事例の詳細な分析を通して,開発をめぐる環境や住民との紛争の根源を,「権力の行使としての調査」という斬新な視点から問い直す.


目次

はじめに
序 章 調査・権力・開発協力——「はかり」と専門家への着眼
 第1節 歴史的・社会的所産としての調査
 第2節 問い——開発協力における調査
 第3節 仮説——調査の「はかり」と「担い手」
 第4節 本書の構成

第1章 調査の研究——内容・方法・文脈・担い手のリンク
 第1節 権力の多様な概念
 第2節 調査に関する研究の整理
 第3節 本書の方向性——調査の文脈と内容の接点

第2章 調査の目的とルール——世界銀行の政策改定小史
 第1節 世界銀行を分析対象とする理由
 第2節 改訂を重ねた政策と調査
 第3節 調査を調査する仕組み
 第4節 政策不遵守の指摘が多い「成熟した」政策
 第5刷 政策不遵守を研究する意味

第3章 環境影響と調査——取捨選択される自然
 第1節 環境アセスメント政策の不遵守
 第2節 15カ国14プロジェクトの事例研究
 第3節 環境影響の事前評価と政策改善のずれ
 第4節 環境影響の調査をめぐる「改善の罠」

第4章 社会影響と調査——断片化される人々と生活
 第1節 社会配慮政策の不遵守
 第2節 13カ国13プロジェクトの事例研究
 第3節 社会影響の事前評価と政策改善のずれ
 第4節 社会影響の調査をめぐる「改善の罠」

第5章 「調査の失敗」の必要条件——「合意された事実」と対立の分析
 第1節 調査の論点
 第2節 専門家の経験値
 第3節 調査のタイミング
 第4節 調査する側の「はかり」
 第5節 所与の条件
 第6節 調査の有無をめぐる対立
 第7節 実施されなかった調査
 第8節 調査が目的を達成しない5つの理由

第6章 調査の媒介効果——異なる専門家と組織
 第1節 世界銀行の専門家を分析する意味
 第2節 開発パラダイムを推進する経済学者
 第3節「社会科学者」によるセーフガード政策の策定
 第4節 変質する「社会科学者」
 第5節 組織と専門家の共犯関係

第7章 調査に内在する権力——何が維持されているのか
 第1節 問いへの答え
 第2節 知の階層化
 第3節 権力の反転
 第4節 調査の媒介効果
 第5節 調査と統治
 第6節 罠に陥らない調査の改善

参考文献
索引(人名・事項)


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