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「不登校問題」から「働き方改革」まで学校と日本社会と「休むこと」

学校と日本社会と「休むこと」 「不登校問題」から「働き方改革」まで

四六判 288ページ
価格:3,190円 (消費税:290円)
ISBN978-4-13-053097-2 C1037
奥付の初版発行年月:2024年05月 / 発売日:2024年05月上旬

内容紹介

学校に行かないことが不登校として「問題」だと言われるのはなぜか。身体を壊しても打ち込んだ部活動が「美しい」のはどうしてか。多年にわたり教育相談に従事してきた著者がみた日本社会、はなはだしくは過労死にもいたる「皆勤」の空気と、それに囲まれた現代学校の姿を浮き彫りにする。

著者プロフィール

保坂 亨(ホサカ トオル)

千葉大学名誉教授・教育学部グランドフェロー。
1956年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得中退。東京大学教育学部助手、千葉大学教授等を経て現職。主著に『学校を欠席する子どもたち』(東京大学出版会、2000年)、『""""学校を休む""""児童生徒の欠席と教員の休職』(学事出版、2009年)、『いま、思春期を問い直す』(東京大学出版会、2010年)、『初任者教員の悩みに答える』(教育評論社、2011年)、『学校を長期欠席する子どもたち』(明石書店、2019年)、『移行支援としての高校教育』(福村出版、2012、続2016年、続々2023年)、ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 「休むこと」についての意識は変わってきたのか?

第Ⅰ部 日本社会と「休むこと」

第1章「休むこと」についての意識変化
1「休むこと」は悪いこと?/2「過労死」は日本特有?/3「働き方改革」が始まる/4有給休暇の取得義務/5勤務間インターバルの努力義務化/6男性の育児休暇取得

第2章日本社会の働き方
1半ドン?/2「24時間戦えますか?」/3「過労死」への注目/4首相も「過労死」/5自殺の増加と「過労自殺」への注目/6労働時間の減少とサービス残業/7電通第二事件の衝撃

第3章長時間労働と勤務間インターバル
1国家公務員の場合/2 二つの「2024年問題」

第4章教員の場合
1一年以上の休職者と教員の自死/2教員の「働き方改革」/3長期の病気休職取得者と早期退職者/事例研究から浮かぶ実態

第Ⅱ部 スポーツ界と「休むこと」

第5章高校野球と「休み」
1高校野球の「休養日」/2「球数制限」の導入/3佐々木朗希選手の決勝「登板回避」/4「投げすぎ」は体によくない

第6章近年のスポーツ界等の動向
1大坂なおみ選手の記者会見拒否/2バイルス選手のオリンピック決勝棄権/3水泳萩野公介選手の休養/4バスケットボール馬瓜エブリン選手の休養/5サッカー界

第7章高校野球の今後
1 2023年春の全国大会とWBC/2「休養日」導入まで/3「球数制限」?/4監督の「休み」?

第Ⅲ部 学校教育と「休むこと」

第8章皆勤賞という存在
1皆勤賞の消滅/2「ワークライフバランス」

第9章「出席停止」という規定
1「出席停止」と皆勤賞/2「出席停止」と「勤務間インターバル」「球数制限」との共通性/3文部科学省の長期欠席・不登校調査における混乱

第10章 入学試験における「欠席」
1大学入試の場合/2高校入試の場合/3その他の試験における欠席及び追試

第11章 学校の部活動におけるガイドライン
1ガイドラインによる活動制限/2部活動の「休み」?/3部活動の位置づけ/4二つの「がんばる」

第Ⅳ部 「休むこと」について考える

第12章 「欠席」からみた戦後学校教育
1「学校は行かなくてはならない」という通念/2「学校を休むことは悪いこと」

第13章 具合が悪くても休まない学校教育
1「長期欠席」から取り出された「不登校」/2「学校を休んではいけない」という呪縛/3毎日学校に行く児童生徒/4「不登校」のグレーゾーン

第14章 「長期欠席」に注目しなくなった学校教育
1不就学への無関心/2一年以上居所不明児童生徒の見落とし/3虐待及び非行事件を契機とした「長期欠席」調査/4日本社会における「不登校」という認識とバックラッシュ

第15章 「休むこと」についてのルールと無知学
1高校の「欠席」についてのルール/2働く人にとっての「休むこと」についてのルール/3無知学という視点

第16章 学校教育における「しつけ(躾)」
1学校教育の社会化機能/2発達課題としての勤勉性再考/3年休をどのように使っていますか?/4「休まない美学」と「休む美学」そして再び「皆勤賞」

終章 欠席と遅刻

コラム 病気休暇と休職制度/過労死・過労自殺の認定/教員不足/マラソン円谷選手の自死/長期欠席・不登校調査の変更/大学入学共通テストの追試/フランスはいかにして「バカンス大国」になったのか/ガイドラインが求める大会の見直し


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