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3次元画像処理入門

3次元画像処理入門

A5判 196ページ 上製
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-501-32730-9 C3055
奥付の初版発行年月:2010年01月 / 発売日:2010年01月下旬

内容紹介

入門的な3次元画像処理の書籍としては国内初。3次元画像処理を学部・院レベルで講義する際に最適な教科書。

前書きなど

 身体を切開することなく身体内部の状態を観ることができる計算機を用いた断層撮影技術(CT:Computed Tomography)や,磁気共鳴映像化技術(MRI:Magnetic Resonance Imaging)は医療診断の分野で画期的な進歩をもたらした.さらに今日では,CTやMRIで得られた2次元画像を単に観察するだけでなく,それらの複数枚の2次元画像から臓器などの対象物の3次元画像を再構成し,任意の方向から対象臓器を観察して医療診断や手術のシミュレーションをすることも行われている.このように対象物体の像を3次元化すると,対象臓器の形状や病巣の把握は非常に容易になる.
これらのシステムにおいてはX線技術や電磁界の解析技術の他,計算機によるディジタル画像処理技術が大きな役割を果たしている.特に近年メモリの大容量化や処理速度の高速化,画像処理ソフトウエアなどの計算機技術の進歩により,大量の3次元画像データを扱う3次元ディジタル画像処理が可能となってきている.
 また,3次元画像処理技術を用いて景観や対象物体を奥行きのある3次元画像として表示することにより臨場感のある通信,計算機の中で疑似体験ができる仮想現実感(VR:Virtual Reality),立体テレビジョンや臨場感のある劇場など各種の立体映像を用いたシステムの構成が検討されるようになってきている.
 本書では,これらの技術の基となる3次元画像の処理技術の基礎について解説する.具体的には,3次元画像とは何か,3次元画像に関する主要な概念とその処理手法,3次元画像を表示するためのコンピュータグラフィックス(CG:Computer Graphics)技術,観察者に奥行き感を生じさせる立体視技術ならびに,それらの応用分野について記述している.
 本書はあらかじめ2次元の画像処理に関する知識を持っていることを前提として記述したが,3次元画像処理の主要な概念については,理解を容易にするため2次元画像処理における同様な概念と比較して記述した.
 また本書は,位置づけ的には鳥脇純一郎著『3次元ディジタル画像処理』(昭晃堂)を基に,東京電機大学における講義「3次元画像処理」の入門用教科書として執筆したものである.そこで,前述のように3次元ディジタル画像処理技術の他,3次元CG技術,立体視技術についても触れた.また,各技術の主要な概念の理解や処理手法を体得するため,各章に演習問題を用意するとともに,付録に3次元画像処理プログラムの作成方法,演習問題の略解などを記載したが,入門書としての立場から,各技術の詳細な説明や厳密な理論的根拠については触れていない.それらについては,前記の著書および本文中に引用した関連図書を参照されたい.
 本書が3次元画像処理を学ぶ人および関心を持つ人の入門書,また本分野を対象とした大学,大学院の教科書として役立つことを願うものである.

 平成21年12月
 監修者:鳥脇純一郎
 著 者:村上伸一


目次

第1章 緒論
 1.1 3次元画像とは
 1.2 3次元画像の表現法
 1.3 3次元画像の処理手法
 1.4 演習問題
第2章 3次元ニ値画像のディジタル幾何学の基礎
 2.1 3次元ニ値画像の基礎的概念
 2.2 3次元ニ値画像の特徴量とその求め方
 2.3 演習問題
第3章 3次元ニ値画像処理
 3.1 パスと距離
 3.2 距離変換とスケルトン
 3.3 ラベリング
 3.4 境界と境界面
 3.5 ニ値画像の膨張,収縮,縮退,薄面化,細線化
 3.6 結びと絡み
 3.7 演習問題
第4章 3次元濃淡画像処理の基礎
 4.1 3次元濃淡画像の特徴量
 4.2 3次元濃淡画像の形状特徴
 4.3 3次元ディジタルフィルタ
 4.4 演習問題
第5章 3次元濃淡画像処理
 5.1 モノトーン化とニ値化
 5.2 3次元濃淡画像の距離変換
 5.3 3次元濃淡画像の細線化
 5.4 尾根線の抽出
 5.5 3次元濃淡画像の領域分割
 5.6 演習問題
第6章 3次元画像の表示法
 6.1 座標系
 6.2 変換処理
 6.3 図形の構成要素
 6.4 3次元図形の諸性質
 6.5 モデリング
 6.6 断面表示
 6.7 投影法
 6.8 陰影法
 6.9 サーフェス・レンダリング
 6.10 ボリューム・レンダリング
 6.11 スムーズ・シェーディング
 6.12 演習問題
第7章 立体視
 7.1 定義と分類
 7.2 単眼立体視
 7.3 両眼立体視
 7.4 ホログラムによる立体視
 7.5 周辺視による立体視
 7.6 演習問題
第8章 3次元画像処理の応用
 8.1 医学への応用
 8.2 産業への応用
 8.3 趣味・娯楽,研究環境への応用

付録1 3次元画像処理のプログラミング法
 付録1-1 プログラム作成法の概要
  A Visual Studio.netの立ち上げとスケルトンの作成手順
  B 3次元物体データを読み込む手順
  C 画像データを表示する手順
  D 専門的な画像処理プログラミングの作成手順
  E 処理画像を保存する手順
  F 数値データファイルの保存手順
付録2 3次元物体データ
付録3 各章の演習問題に対する略解
  第1章演習問題の略解
  第2章演習問題の略解
  第3章演習問題の略解
  第4章演習問題の略解
  第5章演習問題の略解
  第6章演習問題の略解
  第7章演習問題の略解
参考文献
索 引

関連リンク

正誤表
・ダウンロード:付録


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