大学出版部協会

 

ロボトレーサの作り方

勝てるロボコン
ロボトレーサの作り方

B5判 162ページ 並製
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-501-41550-1(4-501-41550-9) C3353
奥付の初版発行年月:2002年07月 / 発売日:2002年07月下旬

内容紹介

「工夫」を重視し必要な技術をやさしく解説

 入門編に続き,JBuilder 6 Personalを用いて解説.前半ではグラフティックを描くアプレットの作成,後半はJBuilderに標準装備されているSwingコンポーネントを用いたGUI画面の設計を通して,プログラミングを学ぶ.

前書きなど

 昨今,“ロボコン”が大ブームです。
 本書で紹介する“ロボトレース競技”(ロボトレーサによる競技)は,“マイクロマウス”や“相撲ロボット”と並んで人気があるロボットコンテストであり,毎年多くの人が競技会にエントリーし,熱戦を繰り広げています。
 本書はこれからロボトレーサを製作し,2001年より実施される“ロボフェスタ”マイクロマウス大会の“ロボトレース部門”に出場する方々のために構成したものです。メカトロニクス技術の基礎を理解していただくことを目的として,センサ/モータなどの回路やマイクロプロセッサによるロボットのコントロールなどを学習しながらロボトレーサを製作していきます。
 ロボトレーサはその名が示すようにラインをトレースして走行するロボットですから,マイクロプロセッサを使用せずにロジックICなどのハードウェアのみでロボットを構成して最低限の機能(トレース走行)を行うことが可能です。しかし,ロボトレーサをもう少し“賢く”しようとするとコンピュータが必要になります。本書ではメカトロニクス技術を習得することを目的として,マイクロプロセッサを使用したロボトレーサの製作方法を紹介します。
 “工夫することによって安価に製作する”ことを目標として,ロボトレーサの製作費を30,000円以内(機械加工設備・Cコンパイラなどの処理系・充電器などを含まない)としました。アマチュアロボットコンテストの意義であり精神でもある“工夫すること”を特に重視したいと考えます。
 なお,本書で紹介するロボトレーサでは,前著『勝てるロボコン 高速マイクロマウスの作り方』および『勝てるロボコン 相撲ロボットの作り方』と同じく,マイクロプロセッサとして東芝TMPZ84C015を使用することにします。本書では紙面の都合により,このマイクロプロセッサに内蔵されたインタフェースCTC,PIO,SIOなどの詳細説明を省略しますので,これらの詳細については,前著『勝てるロボコン 高速マイクロマウスの作り方』をご参照ください。
 科学技術立国を国是とするわが国において,昨今の学生の理工系離れは深刻な問題となっております。このような状況において,ロボット製作に興味を持つ若い皆さんは貴重な存在であり,わが国の未来を支える原動力となることは間違いありません。21世紀は人工知能ロボットの時代であり,家庭・医療・福祉などがその活躍の場となります。
 アマチュアロボットコンテストに出場しようとする熱意のある若者を心から応援します。ロボトレーサ製作をきっかけとして人工知能ロボットおよびメカトロニクス技術をリードするエンジニアとなることを期待します。
 最後になりましたが,本書の執筆にあたってお世話になりました東京電機大学出版局の植村八潮氏,石沢岳彦氏に厚く御礼申し上げます。

2002年3月
著者


目次

1 ロボトレーサとは
 1.1 ロボトレーサとロボとレース競技
  1.1.1 ロボトレーサのコンピュータ
  1.1.2 ロボトレーサのセンサ
  1.1.3 ロボトレーサのアクチュエータとメカニズム
  1.1.4 ロボトレーサのパワーソース
 1.2 全日本マイクロマウス大会(ロボトレース競技)
  1.2.1 大会参加資格
  1.2.2 競技種目
   1 マイクロマウス競技フレッシュマンクラス
   2 マイクロマウス競技エキスパートクラス
   3 マイクロクリッパー競技
   4 ロボトレース競技
  1.2.3 大会参加申し込みおよび競技方法の詳細
  1.2.4 ロボフェスタとロボトレース競技
  1.2.5 ロボトレーサの規格
   1 寸法と重量
   2 制御方法
  1.2.6 コースの規格
  1.2.7 ロボトレース競技規定
2 ロボトレーサの基礎知識
 2.1 ロボトレーサのシステム構成
 2.2 CPUとインタフェース
  2.2.1 ロボトレーサのコンピュータに要求される機能
  2.2.2 ワンチップマイコン各種
  2.2.3 ワンボードマイコン各種
 2.3 モータとコントロール回路
  2.3.1 ロボトレーサのモータ
   1 出力
   2 応答性
   3 制御性
  2.3.2 DCモータとコントロール回路
   1 DCモータのマイコン制御
   2 DCモータのコントロール
   3 DCモータ選定の条件とギアドモータの例
  2.3.4 ステッピングモータとコントロール回路
   1 ステッピングモータのマイコン制御
   2 パルス分配回路
   3 パワーアンプ
   4 ステッピングモータの高速回転
   5 ステッピングモータ選定の条件
 2.4 姿勢制御(トリミング)
 2.5 センサとコントロール回路
  2.5.1 ライン/マーカーセンサ
  2.5.2 走行距離カウンタ
 2.6 ロボトレーサのステアリングシステム
  2.6.1 二輪PWS方式
  2.6.2 後輪駆動方式
 2.7 電池
3 ワンチップマイコンTMPZ84C015
 3.1 TMPZ84C015の内部ブロック
 3.2 PIO
  3.2.1 PIOの機能
  3.2.2 PIOの構成
  3.2.3 PIOのコントロール
 3.3 CTC
  3.3.1 CTCの構成
  3.3.2 CTCのモード
  3.3.3 CTCのコントロール
4 AKI-80と周辺回路のインタフェース
 4.1 AKI-80の回路
 4.2 AKI-80のメモリ構成
 4.3 AKI-80と周辺回路の接続例
  4.3.1 センサ回路のインタフェース
  4.3.2 ステッピングモータ回路のインタフェース
   1 周波数発生機能
   2 加減速機能
   3 周波数出力端子
  4.3.3 コンソール入出力のインタフェース
   1 ファンクション切り替えスイッチ
   2 ミニブザー
5 ロボトレーサの製作
 5.1 仕様
 5.2 回路と構造
  5.2.1 ボード1(マザーボード)
  5.2.2 ボード2(モータドライバ)
  5.2.3 ボード3(フォトセンサボード)
 5.3 製作に必要な機械/機器/工具
  5.3.1 機械加工
  5.3.2 配線
  5.3.3 組み立て
  5.3.4 検査/充電
  5.3.5 ROM書き込み
 5.4 材料・部品
 5.5 ボード1(マザーボード)の製作
  5.5.1 基板加工
  5.5.2 部品実装と配線
  5.5.3 検査
  5.5.4 ICのセット
  5.5.5 ワンボードマイコンのセット
 5.6 ボード2(モータドライバボード)の製作
  5.6.1 基板加工
  5.6.2 部品実装と配線
  5.6.3 検査
 5.7 ボード3(フォトセンサボード)の製作
  5.7.1 基板加工
  5.7.2 部品実装と配線
  5.7.3 検査
 5.8 メカニズムの製作
  5.8.1 ホイールとタイヤの加工,組み立て
   1 ホイールの加工手順
   2 タイヤの加工手順
 5.9 電池パックの製作
  5.9.1 電池の接着
  5.9.2 配線
  5.9.3 パック
 5.10 組み立てと調整
  5.10.1 モータブロックの組み立て
  5.10.2 モータブロックとシャシの接着
  5.10.3 モータコントロールボードの接着
  5.10.4 電池パックの取り付け
  5.10.5 ボード2(モータドライバボード)と電池パックの配線
  5.10.6 モータの配線
  5.10.7 基板の配線
  5.10.8 スライダの取り付け
  5.10.9 ホイール/タイヤの取り付け
 5.11 検査
 5.12 充電器および放電器の製作例
 5.13 プログラミングとROM化
  5.13.1 プログラミングとコンパイル
  5.13.2 ROM書き込み
  5.13.3 プログラムの実行
付 録
 1 ロボトレース競技規定
 2 全日本マイクロマウス大会(ロボトレース競技)記録
 3 大会主催者/メーカ
索 引

関連リンク

・ダウンロード:ロボトレーサのCプログラム


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