大学出版部協会

 

H8マイコン入門

H8マイコン入門

A5判 208ページ 並製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-501-53580-3(4-501-53580-6) C3004
奥付の初版発行年月:2003年01月 / 発売日:2003年01月下旬

内容紹介

高性能で人気の高いH8マイコンを平易に解説

 H8は,日立製作所製の小型で高性能の組込型ワンチップマイコンである.このH8マイコンは,身の回りの家電機器をはじめ,携帯電話やカーナビなど,様々なところで使用されている.また,小型で高性能という利点を生かし,各種ロボコンの機体制御など,ホビーユースにおいても多く用いられている.本書は,H8マイコンの初心者を対象に,2進数の計算やマイコンのの基本概念から簡単なH8のアセンブラプログラムを解説.H8初心者のみならず,マイコン初心者でもH8マイコンが理解できるように執筆.

前書きなど

 パソコンは,テレビCMで宣伝されていても何の違和感もないほどに普及しています.小学校でも,熱心にパソコン教育が行われています.このように,パソコンは,私たちにとってごく一般的な道具となっています.
 一方で,私たちの生活に深く関わっているにもかかわらず,その姿を直接見ることのないコンピュータがあります.それは,マイコンと呼ばれる制御用コンピュータです.マイコンは,エアコンや洗濯機などの家電製品や,自動車の内部に組み込まれており,製品の動作を制御する働きをしています.近年人気のペットロボットや,ロボコン大会に登場する各種のロボットもマイコンで制御されています.このように,マイコンは,姿は見せずとも私たちの周りで大活躍をしているのです.
 現在,高性能なマイコンとして,日立製作所のH8が広く利用されています. H8は,非常に高機能であり,そのすべての機能をマスターすることは容易ではありません.だからといって,初心者が扱えない訳ではありません.LEDの点灯などの基礎的な制御から始めて,徐々に必要とする事項を学習していけば,初心者であっても,十分にその機能を引き出すことができます.
 本書は,初心者を対象にしたH8の入門書です.そのため,図を多く用いてやさしく解説することを心がけました.作成するプログラムは,簡単にかつ,できるだけ短くなるように配慮しました.また,使用する部品などは,容易に入手できるものだけを使用しました.
 本書を道しるべにして,プログラムを動作させながら一歩一歩実習を進めてください.そうするうちに,H8が身近に感じられるようになってくることと思います. 読者の皆さんが,本書によってH8の世界の扉を開き,それぞれの目的を達成されることを心からお祈りしています.
 最後になりましたが,本書執筆の機会を与えてくださった,東京電機大学出版局の植村八潮氏,編集作業でたいへんお世話になった同局の石沢岳彦氏に,この場を借りて厚く御礼申し上げます.

2003年1月
国立明石工業高等専門学校 電気情報工学科
堀 桂太郎


目次

第1章 マイコン制御の基礎

1.1 コンピュータの基本構成
 1 コンピュータ処理の流れ
 2 ノイマン型コンピュータの基本構成
1.2 コンピュータの基本動作
 1 命令実行の流れ
 2 フォン・ノイマンのボルトネック
1.3 CPU
 1 CPUの発達
 2 マルチチップとシングルチップ
1.4 制御用のマイコン
 1 マイコン制御とは
 2 制御用マイコンの分類
1.5 マイコン制御の手順
 1 実装までの流れ
 2 必要な知識

第2章 H8マイコンとは
2.1 H8マイコンの種類
 1 H8シリーズ
 2 H8/300Hシリーズ
2.2 H8/3048F
 1 H8/3048Fの概要
 2 H8/3048Fボード
2.3 H8/3664F
 1 H8/3664Fの概要
2.4 開発ツール
 1 ソフトウェア
 2 ハードウェア

第3章 マイコンでのデータ表現
3.1 2進数
 1 2進数とは
 2 2進数の計算
 3 2進数と10進数
 4 補数
 5 負の数の表現
3.2 16進数
 1 16進数とは
 2 16進数と10進数
 3 16進数と2進数
3.3 ディジタル回路
 1 論理回路
 2 算術演算と論理演算
 3 マスク操作
 4 シフト操作とローテイト操作
 5 スイッチ信号

第4章 H8/3048Fマイコンの基礎
4.1 アーキテクチャ
 1 アーキテクチャの概要
 2 H8/3048Fの考え方
4.2 メモリ
 1 メモリマップ
 2 RAM
 3 ROM
4.3 CPU
 1 CPUの構成
 2 汎用レジスタ(Ern)
 3 コントロールレジスタ
 4 スタックポインタ
 5 命令セット
 6 アドレッシング
 7 処理状態
 8 クロック信号
 9 リセット
 10 割込み
4.4 ポート
 1 ポートの概要
 2 ポートの使い方
 3 ポートの出力許容電流
4.5 周辺機能
 1 周辺機能の概要
 2 DMAコントローラ(DMAC)
 3 インデグレーテッドタイマユニット(ITU)
 4 ウォッチドッグタイマ(WDT)
 5 A-Dコンバータ
 6 D-Aコンバータ

第5章 アセンブラ言語による実習
5.1 アセンブラ言語の基礎
 1 アセンブラ言語とは
 2 アセンブラ制御命令
 3 プログラムの書き方
 4 開発の手順
5.2 LEDの制御
 1 LEDの点灯
 2 スイッチ入力
 3 LEDの点滅
 4 インテグレーテッドタイマの使用
5.3 パルスモータの制御
 1 パルスモータとは
 2 パルスモータの回転制御
5.4 DCモータの制御
 1 ドライバICによる回転方向制御
 2 PWM機能による速度制御
5.5 A-D,D-Aコンバータの制御
 1 A-Dコンバータ
 2 D-Aコンバータ
5.6 割込み制御
 1 IRQ端子を使った割込み
 2 NMI端子を使った割込み

第6章 C言語による実習
6.1 Cコンパイラ
 1 Cコンパイラの種類
 2 プログラムの書き方
 3 開発の手順
6.2 LEDの制御
 1 LEDの点滅
 2 スイッチ入力
 3 インテグレーテッドタイマの使用

(1)H8命令セット一覧
(2)マイコンなどの入手先

<参考文献>
<索  引>


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。