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WebCT:大学を変えるeラーニングコミュニティ

WebCT:大学を変えるeラーニングコミュニティ

B5変 218ページ 並製
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-501-53930-6(4-501-53930-5) C3037
奥付の初版発行年月:2005年07月 / 発売日:2005年07月上旬

内容紹介

WebCTを用いた教育実践例をまとめた

前書きなど

 本書はeラーニングに興味をもっている方を対象に,コース管理システム(Course Management System:CMS)の一つであるWeb Course Tools(WebCT)を実際に導入したシステム管理者の先生,WebCTを利用して授業改善をしている先生方の実践例を紹介します. 
 Eラーニングと聞くと,インターネットなどのITツールを利用した遠隔教育をイメージする方もいらっしゃるかと思いますが,本書で紹介するeラーニングは,遠隔教育よりも,「ブレンディッド授業」に主眼を置いています.ブレンディッド授業とは,「対面授業の同期性と,ITを活用した授業以外の教育支援の非同期性を組み合わせた授業」と定義され,ITツールを従来の対面授業の補完目的で利用するような授業形態を指します. 
 また, 一概に興味を持つと言っても,大学の経営者,システム導入・運用者,授業を行う先生など,それぞれの立場によって興味の対象はさまざまかと思います.大学を経営する立場の方は効率的な経営や,大学を学生にとってより魅力のあるものにすることに興味をもたれるでしょうし,システムを導入・運用する立場の方は,セキュリティ面や,学内システムをいかに効率良く管理するかといった問題に関心をもたれると思います.実際に学生を教える立場の先生方は,どうしたら学生により良い授業を行えるのか,どうしたら学生がやる気を出すのか,また,いかに授業の準備を効率良く行い,自分の研究の時間を確保するかということに興味をもたれるでしょう.
 このような,eラーニングに興味をもつ方の立場や,興味の対象についての多様性を考慮し,本書ではすべての方々の期待に答えられることを目指したため,必然的にその内容は多岐にわたることになりました.
 以下では,各章あるいは各節の概要と,それぞれどのような立場の方に特に読んでいただきたいかに触れていきます.

本書の構成
 まず第1章では,WebCTがどのような背景をもって誕生し,どのような歴史をたどって現在に至っているかについて述べています.そして,WebCT Campus Editionの機能説明,次に大規模運用に適したWebCT Vistaの紹介,また両者の機能の違いについて述べています.
 続いて第2章は,WebCTを利用した授業の実践報告です.WebCT自体はあくまで単なるCMSツールの一つであり,それをいかに活用するかというところに個性や工夫がつまっています.実際に授業を受け持っている先生方にとってはここが最も興味のあるところではないでしょうか.WebCTを使ったことがない方にはWebCTを活用することでどのように活用したらよいのかについて,ヒントを与えてくれます.毎月WebCTに関する情報提供を目的として発行しているWebCTレター(http://WWW.Emit−japan.Com/webct_letter/を参照ください)の記事の中でも,先生方の活用事例は最もアクセスが多く,皆さんの関心の高さがうかがえます.
 第2章では個々の授業実践が中心であったのに対し,第3章はより視点を広げ,大学全体でのシステム導入や管理を行う視点から書かれたものです.
 ・WebCTの導入にあたり,大学ではどのような意思決定プロセスをたどったのか
 ・導入後どのような体制でシステム運用しているのか
 ・教務管理システムなどの既存システムとWebCTをどのように連携していくのか
といった内容について実例を紹介することで,大規模なシステム運用についての方向性を示唆した内容となっています.
 第4章では,今後のeラーニングの発展ビジョンについて述べています.WebCT自体は商用のソフトウェアですが,商用ソフトウェアからオープンソースCMSへの移行の可能性があることを考え,ここでは北米でのオープンソース開発の現状,また,国内における次世代CMSの開発ULANプロジェクトについて紹介します.4.4節では,教育学者の視点からどのようにWebCTを活用して学生の学習成果を高めるかを,教授法の観点からアプローチすることで,WebCTというツールの授業改善に対する潜在的な可能性を明らかにしています.現状では,ITツールを活用している先生と,教育学を専門にしている先生は別々であることが多く,WebCTを使うとなぜ教育改善につながるのかという点を,教育学の視点から評価することで,その効果を最大限に活用することが可能になっていくものと考えます.Z


目次

第1章 WebCTとは
 1.1 はじめに
 1.2 WebCTの歴史
 1.3 コース管理システムWebCT
 1.4 WebCT Vista
第2章 活用事例
 2.1 はじめに
 2.2 情報セキュリティ研修への活用—名古屋大学の事例
 2.3 高等教育でCMSを使用する利点—福井県立大学の事例
 2.4 eラーニングを工学教育に!—豊橋科学技術大学の事例
 2.5 WebCT「社会福祉コース」の利用状況と学習効果—九州大学の事例
 2.6 大規模講義におけるWebCTの活用—熊本大学の事例
 2.7 自学自習型授業の実践—帝京大学の事例
 2.8 活字から映像への転換—関西大学の事例
 2.9 WebCTを学習基盤としたハイブリッド/ブレンディッド授業の意義と可能性
第3章 大学レベルでのWebCTの活用
 3.1 はじめに
 3.2 学内プロジェクトによるeラーニング実施—九州大学の事例
 3.3 WebCTとSOSEKIなどの連携—熊本大学の事例
 3.4 ボトムアップな支援組織の設置と活動—帝京大学の事例
第4章 eラーニングの展望—教育の質的改善を目指して
 4.1 はじめに
 4.2 北米におけるオ−プンソースソフトウェアによる情報基盤整備の動向
 4.3 ユビキタス環境下での次世代CMSの開発
 4.4 WebCTを効果的に活用する教授法

結びにかえて—編者からのメッセージ

参考文献
索引
執筆者紹介


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