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言説、形象(ディスクール、フィギュール)

叢書・ウニベルシタス960
言説、形象(ディスクール、フィギュール)

四六判 706ページ 上製
価格:7,700円 (消費税:700円)
ISBN978-4-588-00960-0 C1310
奥付の初版発行年月:2011年09月 / 発売日:2011年09月下旬

内容紹介

見ることと語ること、言葉と像のあいだで、意味はどのように生まれ、欲望は何を成就するのか。現象学と言語哲学、構造主義と精神分析、美学と記号学の領野を自在に移動しながら、メルロ=ポンティやラカンを批判的に乗り越え、言説と形象の空間的厚みを比類ない知性で探究した初期リオタール哲学の頂点。翻訳不可能といわれたポスト構造主義の記念碑的著作、刊行から四〇年後の全訳。

著者プロフィール

ジャン=フランソワ・リオタール(リオタール ジャン フランソワ)

ジャン=フランソワ・リオタール(Jean-François Lyotard)
1924年、ヴェルサイユに生まれる。現象学とマルクス(そして後にフロイト)を思想的源泉とし、それらの批判的再検討を通じて政治、経済、哲学、美学など多方面にわたる理論的・実践的活動を展開、20世紀後半のフランスを代表する思想家・哲学者として広く知られる。パリ第八大学教授を経て、国際哲学学院長等をつとめた。『現象学』を著したのち、アルジェリアでマルクス主義の内部批判グループ「社会主義か野蛮か」に参加、戦闘的マルクス主義者として実践活動に従う。グループの内部分裂を機にパリに戻り、マルクス研究に精力的に取り組む。68年の五月革命に積極的に身を投じ、その体験の中から彼の思想的総決算ともいうべき本書『言説、形象』および『マルクスとフロイトからの漂流』を著して思想的跳躍の基盤を固め、さらに『リビドー経済』によって独自の哲学を構築した。1998年4月死去。

合田 正人(ゴウダ マサト)

1957年生まれ。一橋大学社会学部卒業、東京都立大学大学院博士課程中退、同大学人文学部助教授を経て、明治大学文学部教授。主な著書:『レヴィナスを読む』(NHKブックス)、『レヴィナス』(ちくま学芸文庫)、『ジャンケレヴィッチ』『サルトル『むかつき』ニートという冒険』(みすず書房)、『吉本隆明と柄谷行人』(PHP新書)、主な訳書:レヴィナス『全体性と無限』(国文社)、同『存在の彼方へ』(講談社学術文庫)、デリダ『ユリシーズグラモフォン』、モーゼス『歴史の天使』、『ベルクソン講義録全四巻』(法政大学出版局)、グットマン『ユダヤ哲学』、メルロ=ポンティ『ヒューマニズムとテロル』(みすず書房)、ベルクソン『物質と記憶』(ちくま学芸文庫)他。

三浦 直希(ミウラ ナオキ)

1970年生まれ。上智大学外国語学部卒業、東京都立大学大学院博士課程修了。博士(文学)。上智大学ほか非常勤講師。共著『フランス現代作家と絵画』(水声社)、主な論文「レヴィナスのエコノミー─正義と慈愛のあいだ」(東京都立大学博士論文)、訳書:レヴィナス『貨幣の哲学』『困難な自由』(法政大学出版局)、シャンジュー/リクール『脳と心』、ブーレッツ『20世紀ユダヤ思想家Ⅰ』(みすず書房)、ボルタンスキー/テヴノー『正当化の理論』(新曜社)、ボルタンスキー『偉大さのエコノミーと愛』(文化科学高等研究院出版局)、コルバン他監修『身体の歴史Ⅲ』(藤原書店)他。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

形象的なものの決意
  不透明性としての形象的なもの
  真理としての形象的なもの
  出来事としての形象的なもの
《意義と指示》
弁証法、人差し指、形式
  体系内と体系外の否定
  弁証法と指示詞
  象徴の内在性とされるもの
  直喩の外在性とされるもの
逆過程と超反省
  超反省──現象学の希望
  身振りではなく逆過程
  思考の形象──『骰子一擲』
言語記号?
  いかなる不在?
  表現、意義、指示
  二重分節と抑圧
体系における厚みの効果
  場
  意義から価値へ
  不透明性の強迫
言説の縁にある厚み
  指向、意義、表現
  換入とその限界
〈否〉と対象の定立
  〈然り〉としての〈否〉
  否定と死の欲動
対立と差異
  二者択一の彼岸
  非人間の性
  対立は表意的差異である
  ある作業の痕跡
  性と配置(dispositio)
  時間は抑圧する
  側面性
《欲望の「歴史」の一断章をめぐるヴェドゥータ》
  中立的空間と言説の定立
  ロマンス語のミニアチュール写本における形象とテクスト
  ロマンス語作品におけるテクストと形象
  新たな哲学の空間
  絵画的空間の回転
  逆回転
《他なる空間》
線と文字
  読めるものと見えるもの
  語る絵画
  幻想的エクリチュールの貧しさ
  狭間世界、幻想の彼方
「夢作業は思考しない」
  Ⅰ 歪曲
  Ⅱ 隠喩と言説
  Ⅲ 二次加工の偽書記法
欲望と形象的なものとの共謀
  欲望の空間
  諸形象
言説における欲望
  認識と真理
  形象的なものはいかにして言説のうちに現前しているか
  現実性の乏しさに関する余談
  隠喩と身振り
  いくつかの隠喩──それらの身振りはどこにあるのか
  現象学と共同本性性
  和解としての表現
  判じ物(loquitur)
  判じ物は言説を加工する……
  ……そして造形的空間を加工する
  判じ物と規則
  テクスト内主義とテクスト外主義
  意味の場所
  詩的狂気の理性的な一覧表
  誰がどのように加工するのか
  隔たりの再認とその回収
  一種の「感情的」言語
  もうひとつの「感情的言語」
  おとりは像に固執しない
  詩的なものは脱構築に固執する
形説・言象、幻想のユートピア
  §1 偽起源的な場
  §2 幻想の一覧表
  §3 欲動の運命
  §4 言語代表の運命
  §5 物代表の運命
  §6 「叩く」
回帰、自己‐説明、二重の逆転
  回帰と詩的なもの
  浮遊的テクスト‐対象
  シェイクスピアの挿話
  浮遊的聴取と二重の逆転
  シェイクスピアの挿話

解説 岸辺のない漂流  合田正人
訳者あとがき  三浦直希
図と図版の解説付き一覧/引用文献/索引


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