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批判理論の歴史と現在理性の病理

叢書・ウニベルシタス1093
理性の病理 批判理論の歴史と現在

四六判 326ページ 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-588-01093-4 C1310
奥付の初版発行年月:2019年05月 / 発売日:2019年05月中旬

内容紹介

哲学と社会分析の結びつきが壊されていく脅威とともに、歴史的・社会的諸過程から独立して理性のさまざまな可能性を把握する機会も失われ、人間の理性的能力の潜勢力が歪められていく。本書は承認論の第一人者にして、フランクフルト学派を代表する哲学者が、カント、フロイト、ベンヤミン、アドルノなどを革新的に論じ、批判理論のアクチュアリティを提示する。

著者プロフィール

アクセル・ホネット(ホネット アクセル)

(Axel Honneth)
1949年ドイツのエッセンで生まれる。1983年にベルリン自由大学で哲学の博士号を取得。ゲーテ大学フランクフルト・アム・マイン哲学・歴史学部教授、フランクフルト社会研究所所長、国際ヘーゲル学会会長などを歴任、現在はコロンビア大学人文学部哲学科教授。フランクフルト学派第三世代の代表的存在。邦訳された主な著作に、『権力の批判──批判的社会理論の新たな地平』、『承認をめぐる闘争──社会的コンフリクトの道徳的文法〔増補版〕』、『正義の他者──実践哲学論集』、『物象化──承認論からのアプローチ』、『見えないこと──相互主体性理論の諸段階について』、『私たちのなかの私──承認論研究』、ナンシー・フレイザーとの論争的共著『再配分か承認か?──政治・哲学論争』(以上、法政大学出版局)などがある。

出口 剛司(デグチ タケシ)

1969年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。理論社会学、社会学史。主な著作に、“Erich Fromm and Critical Theory in post-war Japanese social Theory: Its past, Present and Future,” in Towards a Human Science: The Relevance of Erich Fromm for Today, eds. Rainer Funk and Neil McLaughlin (Gießen, Germany: Psychosozial-Verlag, 2015), 『作田啓一vs.見田宗介』(共著、弘文堂、2016年)、アクセル・ホネット『私たちのなかの私――承認論研究』(共訳、法政大学出版局、2017年)。

宮本 真也(ミヤモト シンヤ)

1968年生まれ。明治大学情報コミュニケーション学部教授。社会哲学、社会理論。主な著作に、『科学化する日常の社会学』(共著、世界思想社、2013年)、アクセル・ホネット『物象化――承認論からのアプローチ』(共訳、法政大学出版局、2011年)、アクセル・ホネット『見えないこと――相互主体性理論の諸段階について』(共訳、法政大学出版局、2015年)など。

日暮 雅夫(ヒグラシ マサオ)

1958年生まれ。立命館大学産業社会学部教授。社会哲学。主な著作に、『討議と承認の社会理論――ハーバーマスとホネット』(勁草書房、2008年)、『現代社会理論の変貌――せめぎ合う公共圏』(共編、ミネルヴァ書房、2016年)、アクセル・ホネット『私たちのなかの私――承認論研究』(共訳、法政大学出版局、2017年)など。

片上 平二郎(カタカミ ヘイジロウ)

1975年生まれ。立教大学社会学部社会学科准教授。理論社会学、現代文化論。主な著作に、『アドルノという「社会学者」――社会の分光と散乱する思想』(晃洋書房、2018年)、『「ポピュラーカルチャー論」講義――時代意識の社会学』(晃洋書房、2017年)、『作田啓一vs.見田宗介』(共著、弘文堂、2016年)など。

長澤 麻子(ナガサワ アサコ)

立命館大学文学部教授。哲学。主な著作に、「シュヴェイクは誰か?」(市川明・木村英二・松本ヒロ子編『世紀を超えるブレヒト』郁文堂、2005年)、シュテファン・ミュラー゠ドーム 『アドルノ伝』(共訳、作品社、2007年)、マルティン・ゼール『自然美学』(共訳、法政大学出版局、2013年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

日本語版への序文

序言

第1章 後戻りできない進歩──道徳と歴史との関係についてのカントの見解

第2章 理性の社会的病理──批判理論の知的遺産をめぐって

第3章 系譜学的態度留保の下での再構成的社会批判──フランクフルト学派における「批判」の理念

第4章 資本主義的生活形式の観相学──アドルノの社会理論の素描

第5章 遂行される正義──アドルノ『否定弁証法』の「序論」について

第6章 神聖なるものの歴史哲学的救済──ベンヤミンの「暴力批判」論

第7章 自由の獲得──個人の自己関係というフロイトの構想

第8章 不安と政治──フランツ・ノイマンによる病理診断の長所と短所

第9章 民主主義と内面の自由──アレクサンダー・ミッチャーリッヒの批判的社会理論への貢献

第10章 コミュニケーション的理性の不協和音──アルブレヒト・ヴェルマーと批判理論

補遺  認識手段としての奇想──規格化された知識人の時代における社会批判


初出一覧
訳者あとがき
人名索引


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