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歴史研究と歴史教育の現場からアーカイブズの現在・未来・可能性を考える

アーカイブズの現在・未来・可能性を考える 歴史研究と歴史教育の現場から

A5判 328ページ 上製
価格:5,500円 (消費税:500円)
ISBN978-4-588-32133-7 C1020
奥付の初版発行年月:2016年12月 / 発売日:2016年12月下旬

内容紹介

一橋大学大学院社会学研究科の先端課題研究における「アーカイブズ」をめぐる共同研究の成果。信濃国松代藩真田家の文書にみる武士と百姓の関係、幕末の江戸城における儀礼、明治前期における新聞の受容と読者のネットワーク、市民団体・大学自治の資料にみる社会運動、戦時中の史料を使う歴史教育、戦跡という記憶、収集活動と歴史意識の変容など、様々な分野で歴史資料に新たな角度から光を当てる資料研究とともに、文書の収集・整理・保存のあり方と、社会科学における記録資料の活用の可能性を、歴史研究と教育の現場から考える。

著者プロフィール

渡辺 尚志(ワタナベ タカシ)

1957年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。一橋大学大学院社会学研究科教授。日本近世史専攻。『百姓の力』(柏書房、2008年、2015年にKADOKAWA〈角川ソフィア文庫〉より再刊)、『百姓たちの江戸時代』(筑摩書房〈ちくまプリマー新書〉、2009年)、『幕末維新期の名望家と地域社会』(同成社、2014年)。

上記内容は本書刊行時のものです。

■執筆者紹介

渡辺尚志(ワタナベ タカシ)*編者

吉川紗里矢(キッカワ サリヤ)
1988年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍。日本近世史専攻。「川路聖謨関係史料と川路寛堂」(大口勇次郎監修『勘定奉行・川路聖謨関係史料』ゆまに書房、2015年)、「老中の文書管理と幕府人事──『御覚之控』を中心に」(『書物・出版と社会変容』第20号、2016年)、「天保期老中における手留の伝達と文書管理──水野家・真田家を事例に」(渡辺尚志編『藩地域の村社会と藩政──信濃国松代藩地域の研究Ⅴ』岩田書院、近刊)。

古畑侑亮(フルハタ ユウスケ)
1990年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍。日本近世史・思想史専攻。「幕末・明治における好古家の随筆受容──武蔵国の在村医小室元長の場合」(『書物・出版と社会変容』第20号、2016年)、「鎌原桐山『朝陽館漫筆』の基礎的研究──松代藩家中における記録の蒐集と継承」(渡辺尚志編『藩地域の村社会と藩政──信濃国松代藩地域の研究Ⅴ』岩田書院、近刊)。

長島祐基(ナガシマ ユウキ)
1988年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍。総合社会学研究専攻。「都立多摩社会教育会館市民活動サービスコーナー資料とそのアーカイブズ化に関する考察」(国文学研究資料館紀要『アーカイブズ研究篇』第12号、2016年)。

伴野文亮(トモノ フミアキ)
1989年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍。日本近現代史・思想史専攻。「金原明善の偉人化と近代日本社会──顕彰の背景とその受容」(『書物・出版と社会変容』第16号、2014年)、「越境する偉人金原明善──植民地支配における偉人の位置づけをめぐって」(『日韓相互認識』第6号、2015年)、「金原明善の天竜川治水構想と地域社会──近代移行期名望家の経済史的位置づけをめぐって」(渡辺尚志編『移行期の東海地域史』勉誠出版、2016年)。

関原正裕(セキハラ マサヒロ)
1953年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍。埼玉県公立高校教員。日本近現代史専攻。「関東大震災時の朝鮮人虐殺事件、片柳村での事件と常泉寺の墓碑」(修士論文、2016年)、「竹島/独島問題をどうとらえるか」(日朝協会編『日本と韓国・朝鮮 平和と友好をめざして』学習の友社、2015年)、「今こそ、憲法教育を」(歴史教育者協議会編『歴史教育・社会科教育年報2013年版』三省堂、2013年)。

新井 隆(アライ リュウ)
1988年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍。日本学術振興会特別研究員(DC2)。太平洋諸島研究専攻。「グアムにおける戦争の記憶の表象──追悼・慰霊の場から考える」(『日本オセアニア学会ニューズレター』第111号、 2015年)。

上林朋広(カンバヤシ トモヒロ)
1986年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程在籍。アメリカ合衆国・南アフリカ関係史専攻。「南アフリカにおけるアメリカ南部黒人教育の受容」(『歴史評論』第792号、2016年)。

目次

編者まえがき

第一部 日本前近代史研究とアーカイブズ
第一章 訴訟からみた近世社会の特質──信濃国松代藩領を事例として(渡辺尚志)
第二章 慶応期幕府奏者番における師弟関係と手留管理(吉川紗里矢)
第三章 明治前期における「好古家」の新聞受容──埼玉県比企郡番匠村小室元長の交友関係を中心に(古畑侑亮)

第二部 近現代の歴史研究・歴史教育とアーカイブズ
第四章 市民団体(市民アーカイブ多摩)における市民活動一次資料アーカイブズ化の取り組み──「懸樋哲夫氏旧蔵電磁波運動資料」の整理過程を事例に(長島祐基)
第五章 一九六〇年代の一橋大学における「大学の自治」論と教職員組合──史料整理から大学史における組合の位置づけを考える(伴野文亮)
第六章 歴史教育における史料活用の可能性──柳条湖事件を描いた漫画を例にして(関原正裕)

第三部 海外におけるアーカイブズと歴史研究
第七章 グアムにおける追悼・慰霊の空間──「想起の場」としての戦跡を考える(新井 隆)
第八章 キリー・キャンベルの収集活動から見る歴史意識の変容──南アフリカにおけるアーカイブズ構築の一事例(上林朋広)

執筆者紹介


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