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東南アジアとオセアニアの人類史太平洋 〈新装版〉

太平洋 〈新装版〉 東南アジアとオセアニアの人類史

A5判 700ページ 上製
価格:14,300円 (消費税:1,300円)
ISBN978-4-588-37130-1 C1338
奥付の初版発行年月:2015年11月 / 発売日:2015年11月下旬

内容紹介

地球の半分を占める太平洋地域の人間活動の軌跡を広範な視野から描き出す初の太平洋文化史。考古・人類・言語にわたる厖大な情報を整理・検討しつつ各地の文化的編年を試み、東南アジア大陸部からオセアニアへの人類の展開過程を詳細に跡づける。写真・図版多数収録。

著者プロフィール

P.ベルウッド(ベルウッド ピーター)

(Peter Bellwood)
1943年イギリスのレスター市に生まれる。ケンブリッジ大学に学び、フランス、デンマーク、イタリア、リビア、トルコ等の調査に参加。のちに同大学から考古学の博士号を取得。ニュージーランドのオークランド大学講師を経て、1973年からオーストラリア国立大学の先史学・人類学部教授となり、ハワイ大学、ケンブリッジ大学でも客員教授をつとめる。1967年以来、ニュージーランド、マルケサス諸島、クック諸島をはじめ、マレーシア、インドネシア、ブルネイ等で調査をおこなう。また、太平洋先史学の専門家の集まりであるIPPA(Indo-Pacific Prehistory Association)の機関誌編集長をつとめ、東南アジアと太平洋の先史学における業績と貢献により、オーストラリアのアカデミー会員(人文科学部門)にえらばれる。現在は、オーストラリア国立大学名誉教授。本書(1978)をはじめ、『ポリネシア』(改訂版1978)、『インド = マレーシア群島の先史学』(1985)等の著書があり、そのほか多数の論文や調査報告書を著している。

植木 武(ウエキ タケシ)

1946年生まれ。ブラウン大学大学院修了。人類学博士(Ph. D.)。共立女子短期大学教授。著書:『南太平洋の考古学』(学生社、1978)、『世界考古学事典』(共著、平凡社、1979)、『国家の形成』(編著、三一書房、1996)、『国際理解教育のABC』(編著、東洋館出版社、2002)、『「戦争花嫁」五十年を語る』(編集、勉誠出版、2002)、『看護英会話入門 第3版』(共著、医学書院、2004)、『国際社会で活躍した日本人』(編著、弘文堂、2009)ほか。

服部 研二(ハットリ ケンジ)

1948年福岡県に生まれる。明治大学大学院修士課程修了(考古学)。現在、香蘭女子短期大学教授。著書:『謎の古代遺跡を歩く』(中央公論社、1983)、『国際社会で活躍した日本人』(共著、弘文堂、2009)、『文明の未来──いま、あらためて比較文明学の視点から』(共著、東海大学出版部、2014)ほか。訳書:『空間、時間、そして人類──時空認識の人類史』(法政大学出版局、1995)、『天からの洪水──アトランティス伝説の解読』(新潮社、1997)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 日本の読者へ
 まえがき

第一章 緒言
東南アジアとオセアニア
人種・言語・民族・先史学

第二章 人類の諸集団──過去と現在
東南アジアと太平洋の現在の住民
太平洋の住民に関する遺伝学的研究
オセアニアにおける進化の過程
自然淘汰、連続変異、遺伝子拡散
遺伝的浮動と遺伝的距離
東南アジアと太平洋における先史時代の人類の足跡
東アジアにおけるホモ・エレクトゥスと現代人
オセアニアの人種史

第三章 文化的基盤
東南アジアの更新世時代
中部更新世のインダストリー
上部更新世(約一五万年から一万年前)
オーストラリア
ニューギニア
東南アジア大陸部のホアビニアン・テクノコンプレックス
東南アジア島嶼部の早期完新世──剝片およびブレイド・テクノコンプレックス
まとめ

第四章 東南アジアとオセアニアの文化
東南アジア大陸部
東南アジア島嶼部
オセアニアの人々
メラネシア
ニューギニア・ハイランド
島嶼メラネシア
メラネシアの交易ネットワーク
メラネシアの物質文化
ミクロネシア
ポリネシア
東南アジア島嶼部とオセアニアの種族史

第五章 太平洋地域の言語史
太平洋の語族
パプア諸語
オーストロネシア諸語
オーストロネシア語の主な亜集団
西部オーストロネシア諸語
東部オーストロネシア語とオセアニア語の亜集団
ポリネシアの諸言語
外ポリネシア離島
中核ミクロネシアの諸言語
相関の問題
ダイエンによるオーストロネシア諸語の語彙統計学的な分類
インドネシアにおけるオーストロネシア語の優勢について

第六章 生存形態とその先史学的関係
栽培の起源
東南アジアおよびオセアニア原産の主要な食用植物
栽培システムとその発展
ニュージーランドの栽培
水稲米の栽培
家畜化された動物

第七章 東南アジア大陸部の新石器および初期金属器時代の文化
東南アジアにおける最古の土器
中国の先史時代
タイ──技術革新の独立的な焦点か?
バン・カオ文化──タイおよびマラヤにおける竜山様文化の影響か?
東南アジアのアッズ型式
アッズにもとづく移動理論
インドシナの新石器時代遺跡と文化
東南アジアの金属器文化
青銅冶金術のドン-ソン様式
金属器時代の甕棺葬の伝統──南ヴェトナムとラオス
北部ラオスの石製甕棺葬とメガリス
まとめ

第八章 東南アジア島嶼部の新石器および金属器時代の文化
台湾の新石器文化
フィリピンの新石器および金属器時代の文化
フィリピン中央部の後期新石器および金属器時代
サラワクのニア洞窟の新石器時代
インドネシア東部の新石器時代遺跡
インドネシア西部の新石器時代遺跡
インドネシア西部と南部の金属器時代
インドネシアのメガリス
東南アジアの金属器時代におけるビーズの問題
まとめ

第九章 メラネシアの先史時代
西メラネシアにおける先土器時代民の渡来
メラネシアの土器組成──ラピタ文化
ラピタ文化の主要遺跡
ラピタ土器民とは誰か?
メラネシアにおけるラピタ類縁土器の組成
メラネシアにおける沈線 - 貼付文土器
ニューカレドニアとフィジー諸島におけるラピタ土器以外の先史文化
西メラネシアにおける東南アジア金属器文化の影響
メラネシアにおける櫛目文土器
ニューヘブリデスにおける人身供犠
メラネシアにおける石造建築物と岩面美術
メラネシア民の過去の歴史

第一〇章 ミクロネシアの先史時代
西ミクロネシア
東ミクロネシア
まとめ

第一一章 ポリネシアの先史時代:第 I 部
カヌーと航海術
ポリネシア人の故郷──さまざまな理論
西ポリネシア先史文化
早期東ポリネシア先史文化(西暦三〇〇年─ 一二〇〇年)

第一二章 ポリネシアの先史時代:第 II 部
後期東ポリネシア先史文化(西暦一二〇〇年─ 一八〇〇年)
マルケサス諸島
中央ポリネシア──ソサエティ、ツアモツ、オーストラル、南クック諸島
神秘的な絶海の孤島
ハワイ諸島
イースター島

第一三章 ニュージーランドの先史時代
口碑伝承にもとづく考察
考古学研究の到来
ニュージーランド先史時代の編年
マオリ民の起源
人間とモア鳥
南島の古代期
南島の先史時代経済・村落構造・交易問題
南島の岩面美術
北島の古代期
古典マオリ期
古典マオリ文化の遺物組成
古典マオリ期の集落と経済
チャタム諸島
まとめ

第一四章 将来への課題

 原注
 解題──訳者あとがきにかえて
 事項索引
 地名索引
 人名索引
 参考文献


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