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その虚無意識と救済願望ネルヴァルの幻想世界

慶應義塾大学法学研究会叢書 別冊13
ネルヴァルの幻想世界 その虚無意識と救済願望

A5判 504ページ 上製
価格:8,030円 (消費税:730円)
ISBN978-4-7664-1152-2(4-7664-1152-8) C3390
奥付の初版発行年月:2005年07月

内容紹介

初期の詩篇からその死まで。 19世紀フランス後期ロマン派の詩人・作家ジェラール・ド・ネルヴァルの 多彩なテクストを網羅的に読み解き、その夢と狂気、幻想世界の遍歴を追う。


慶應義塾大学法学部教授
1942年、慶應義塾大学大学院文学研究科仏文学専攻博士課程修了
【研究分野】19世紀前半のロマン主義文学、ジェラール・ド・ネル ヴァル、マニエリスム・バロック文学、テオフィル・ド・ヴィ オー。
【主要論文】「オード『兄へのテオフィルの手紙』(書簡 詩)について—絶対的決定論からピュロン主義的予定説へ」(教養 論叢95号)、「クリスティアーヌ・サンジェール『魂の物語』— 東洋的一切放下による自己救済への願望」(教養論叢107号)

目次

まえがき
凡例
序論
《註》

第一部 試作品における二つの精神の流れ
Ⅰ 初期詩篇『オドレット』試解——「祖母」、「従妹」について 1.「祖母」≪ 1a Grand'mere ≫試解
2.「従妹」≪ La Cousine ≫試解

Ⅱ 詩作品における生への意識と死への意識の変遷・交錯
——「従妹」から「オリーヴ山のキリスト」をへて「エル・デスディチャド」へ/ 「ファンテジー」から「黄金詩篇」をへて「アルテミス」へ 1.「ファンテジー」
2.「宿駅」
3.「オリーヴ山のキリスト」
4.「黄金詩篇」
5.「エル・デスディチャド」
6.「アルテミス」
《註》

第二部 偶然・夢・狂気・現実─—ネルヴァルにおける認識論的懐疑
Ⅰ アザール意識の変容——偶然の問題
Ⅱ 「いまひとたび」の神話
Ⅲ 夢・狂気・現実——認識論的懐疑へ
《註》

第三部 空間的・心理的動性への欲求——ネルヴァルの救済願望をめぐって
Ⅰ 「移動」への欲求の諸相とその意義
1.社会的・時代的な要因
2.個人的・本質的な要因
Ⅱ 意識の運動・志向性とその諸相
1.意識の水平的運動性
2.意識の垂直的運動性
3.夢のもつ空間的・時間的凝縮作用
《註》

第四部 罪責意識について——『愛の書簡』『オーレリア』の精神的・宗教的意味
Ⅰ 『愛の書簡』における罪責意識
Ⅱ 『オーレリア』における罪責意識
Ⅲ 倫理的罪責意識
Ⅳ 形而上学的・宗教的罪責意識
Ⅴ 最後に——罪責意識の精神的・宗教的意味
《註》

第五部 『シルヴィ』の世界から『オーレリア』の世界へ——虚無意識と救済願望の間
Ⅰ 『シルヴィ』の世界とその〈虚無〉について——昼(生)の意識と闇(死)の意識の葛藤
1.『シルヴィ』の時間的構造と虚無意識
2.「オリーヴ山のキリスト」的虚無
3.虚無を超えて、喪失の意味づけへ
4.虚無と救済の間——『オーレリア』の世界へ
Ⅱ ネルヴァルの『シルヴィ』について——ヒロインシルヴィをめぐって 1.『シルヴィ』の主題をめぐる諸説
2.モーリス・サンド宛の手紙
3.カトリック的世界観への回帰の試みとその挫折
4.最後に
《註》

第六部 喪神意識と黒い太陽について——「オリーヴ山のキリスト」『オーレリア』の世界と喪神意識
Ⅰ 喪神意識=虚無意識
Ⅱ 「オリーヴ山のキリスト」とジャン = パウル・リヒターの『ジーベンケース』の断章その他との比較
Ⅲ 「黒々とした底無しの眼窩」=黒い太陽
Ⅳ 喪神意識=求神意識——ネルヴァルはニーチェの先駆者?
《註》

第七部 ネルヴァルの死について
Ⅰ 謎の死
Ⅱ 矛盾
Ⅲ 殉教
Ⅳ 残された謎
《註》
ジェラール・ド・ネルヴァル年譜
あとがき
文献目録抄


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