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戦争体験の世代間継承戦後日本における市民意識の形成

叢書 21COE-CCC 多文化世界における市民意識の動態31
戦後日本における市民意識の形成 戦争体験の世代間継承

B7 210ページ 上製
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-7664-1453-0 C3336
奥付の初版発行年月:2008年01月 / 発売日:2008年01月上旬

内容紹介

〈戦争の記憶〉を継承することの意味と可能性とは?
▼戦争体験とは、直接の戦場での体験だけでなく、被爆・空襲・疎開・引き揚げ・抑留体験など多様である。これらが複雑に交差しながら今日の日本社会に残している痕跡を再検討する。
▼戦後世代による「語りを聴く」「体験を継承する」ことにともなう困難さ、〈記憶の継承〉の可能性という問題についても考察する。


【編者】
浜日出夫(はま ひでお)
慶應義塾大学文学部教授。
1980年、大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退。
主要著作に、『社会学』(共著、有斐閣、2007年)、『逍遙する記憶(社会学の饗宴2)』(共著、三和書籍、2007年)、『戦後日本の社会と市民意識』(共著、慶應義塾大学出版会、2007年)など。

【執筆者】
野上 元(のがみ げん)
筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授。
1999年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(社会情報学)。
主要著作に、『戦争体験の社会学』(弘文堂、2006年)、『カルチュラル・ポリティクス 1960/70』(共編、せりか書房、2005年)、『浮遊する記憶』(共著、青弓社、2005年)など。

直野章子(なおの あきこ)
九州大学大学院比較社会文化研究院准教授。
2002年、University of California, Santa Cruz, Ph.D.(社会学)。
主要著作に、『図録 原爆の絵』(監修・解説、岩波書店、2007年)、Beyond the Frame: Women of Color and Visual Representation (共著、Palgrave Macmillan, 2005)、『「原爆の絵」と出会う』(岩波書店、2004年)、『ヒロシマ・アメリカ』(渓水社、1997年。第3回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞受賞)、.など。

蘭 信三(あららぎ しんぞう)
京都大学国際交流センター・大学院人間環境学研究科准教授。
1983年、京都大学大学院博士課程中退。
主要著作に、『「満洲」 記憶と歴史』(共著、京都大学学術出版会、2007年)、『満洲とは何だったのか』(共著、藤原書店、2004年)、『「中国帰国者」の生活世界』(編著、行路社、2000年)、『「満州移民」の歴史社会学』(行路社、1994年)など。

鈴木智之(すずき ともゆき)
法政大学社会学部教授。
1991年、慶應義塾大学社会学研究科博士課程単位取得退学。修士(社会学)。
主要著作に、『ケアとサポートの社会学』(共著、法政大学出版局、2007年)、J. デュボア『現実を語る小説家たち』(翻訳、法政大学出版局、2005年)、A. W. フランク『傷ついた物語の語り手—身体・病い・倫理』(翻訳、ゆみる出版、2002年)など。

エルダド・ナカル(Eldad Nakar)
元日本学術振興会外国人特別研究員・元慶應義塾大学大学院社会学研究科訪問研究員。
2003年、筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程修了、博士(社会学)。
主要著作に、‘Memories of Pilots and Planes

目次

 巻頭言       安西祐一郎
 刊行にあたって   小林良彰
 序   浜日出夫

第1章 戦後社会と二つの戦争体験   野上 元
 Ⅰ 「兵士」と「市民」—「戦争体験」の定義をめぐって
 Ⅱ 拡大する「戦場」
 Ⅲ 「兵士の戦争体験」の孤立
 Ⅳ 「銃後」の歴史社会学
 Ⅴ いま「戦争体験」「戦場体験」について考えることの意味とは?  

第2章 暴力の跡と情動という知—〈ヒロシマ〉の跡を辿りながら   直野章子 
 はじめに
 Ⅰ 不思議な出会い
 Ⅱ 「不気味なもの」
 Ⅲ 不気味な記念碑
 Ⅳ 慰霊碑と「不気味なもの」
 Ⅴ フロイトの同一化理論
 Ⅵ トラウマの感染と分析者
 Ⅶ 想像の彼岸
 Ⅷ 〈亡霊〉と暴力の跡
 おわりに

第3章 戦後日本社会と満洲移民体験の語りつぎ   蘭 信三   
 はじめに—戦後社会と満洲移民体験
 Ⅰ 満洲体験を語ることの困難さ
 Ⅱ 規定される語り、生成される語り
 Ⅲ 体験を語るということ—語りの力、語りつぐ力
 Ⅳ 地域で体験を語りつぐということ—「満蒙開拓を語りつぐ会」の試み
 結びにかえて

第4章 ある生存の記録—船越義彰『狂った季節』(1998年)に見る沖縄戦の記憶   鈴木智之
 はじめに  
 Ⅰ 生存の記録
 Ⅱ “I am not Japanese soldier”
 Ⅲ 彷徨の軌跡
 Ⅳ 「玉砕の論理」と「生への希望」
 Ⅴ 境界なき空間へ
 Ⅵ 語りを呼び起こす状況


第5章 天国から地獄へ—マンガから見た日本の第二次世界大戦の記憶:敗戦直後から1970年代まで   エルダド・ナカル  
 はじめに
 Ⅰ 第二次世界大戦を題材とする日本のマンガ
 Ⅱ 自己を映す鏡
 Ⅲ マンガの社会的枠組み

第6章 政教分離訴訟の生成と変容—戦後日本における市民運動と「戦争体験」    赤江達也   
 はじめに
 Ⅰ 憲法と違反の同時発見
 Ⅱ 運動/対抗運動という循環
 Ⅲ 運動の変容、記憶の書き換え
 おわりに

第7章 被爆者の現実をいかに認識するか? —体験者と非体験者の間の境界線をめぐって   八木良広
 はじめに
 Ⅰ 被爆者と非被爆者の間の境界線
 Ⅱ 体験者の特権性
 Ⅲ 被爆者にいかに対峙したか—石田忠、濱谷正晴
 おわりに

索引


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