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シモーヌ・ヴェイユの詩学

シモーヌ・ヴェイユの詩学

B7 430ページ 上製
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-7664-1728-9 C3010
奥付の初版発行年月:2010年06月 / 発売日:2010年06月中旬

内容紹介

「労働者に必要なのは、パンでもバターでもなく、美であり、詩である」(シモーヌ・ヴェイユ)
▼本書は、美学・詩学の視点からシモーヌ・ヴェイユの思想を体系的に論じ、その真髄を明らかにするものである。自らの「工場生活の経験」(1934-35年)を遠景にもちつつ発語された 「労働者に必要なのは、パンでもバターでもなく、美であり、詩である」 というヴェイユの言葉は、社会科学と美学・詩学との連続性を問うものであり、本書は、「見える世界」 が極度に重んじられる現代にあって、「見えない世界」 が根をもってはじめて 「見える世界」 が豊かに花開くことを提示する。
▼また、本書ではヴェイユの哲学が、デカルト哲学を基底にしていることに着目し、カントのみならず、デカルトがどのようにしてプラトニズムと結びつき、ヴェイユの思想を開花させたのかを体系的に論じる。一方で、ヴェイユの思想を現実の状況に照らして問い直し、また日本思想(鈴木大拙、西田幾多郎)とのつながりにも言及するなど、アクチュアルな論考。


今村純子(いまむら じゅんこ)

思想史・芸術倫理学。現在、慶應義塾大学・女子美術大学・武蔵野美術大学非常勤講師。1967年、東京生まれ。2002年、フランス・ポワチエ大学哲学科博士課程DEA修了。2003年、京都大学大学院文学研究科思想文化研究専攻博士後期課程単位取得。2010年、本書で、一橋大学大学院言語社会研究科学術博士号取得。
著書・訳書に、ミクロス・ヴェトー著『シモーヌ・ヴェイユの哲学——その形而上学的転回』(慶應義塾大学出版会、2006年)、責任編集 『現代詩手帖特集号 シモーヌ・ヴェイユ』(思潮社、2010年[近刊])などがある。

慶應義塾大学理工学部非常勤講師


慶應義塾大学文学部卒業、東京大学大学院人文社会研究科修士課程修了。


京都大学大学院文学研究科博士課程、フランス・ポワチエ大学哲学科博士課程、


同大学博士課程DEA取得。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。


博士号(哲学。一橋大学)。

目次

  まえがき
  略記号一覧

 序章

第Ⅰ部 労働と詩
 第1章  詩学の可能性
 第2章 シモーヌ・ヴェイユにおけるプラトニズム
 第3章 「デカルトにおける科学と知覚」をどう読むのか
 Essai アニメーションの詩学——映画『千と千尋の神隠し』をめぐって

第Ⅱ部 美的判断力の可能性
 第4章 美と神秘——感性による必然性への同意
 第5章 美と実在——シモーヌ・ヴェイユと西田幾多郎
 第6章 美的判断力の可能性——シモーヌ・ヴェイユとハンナ・アーレント
 Essai 瞬間の形而上学——映画『女と男のいる舗道』をめぐって

第Ⅲ部 善への欲望
 第7章 脱創造あるいは超越論的感性論
 第8章 愛について
 Essai 善への欲望——映画『ライフ・イズ・ビューティフル』をめぐって

第 Ⅳ部 芸術と倫理
 第9章  表現について
 第10章 芸術創造と生の創造
 第11章 芸術という技、労働という技 ——シモーヌ・ヴェイユと西田幾多郎
 Essai 童話的映画がひらく倫理の地平——映画『アメリ』をめぐって

第Ⅴ部 詩をもつこと
 第12章 「詩」をもつこと——シモーヌ・ヴェイユと鈴木大拙
 第13章 暴力と詩——「人格と聖なるもの」、「『イーリアス』あるいは力の詩篇」を手掛かりに
 第14章 重力と詩
 Essai 美しさという境涯——映画『ガイサンシー(蓋山西)とその姉妹たち』をめぐって

終章——ほとんど無、あるいは美

  註
  あとがき
  初出一覧
  参考文献
  シモーヌ・ヴェイユ略年譜
  事項索引
  人名索引


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