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―功利主義入門ベンサム

ベンサム ―功利主義入門

四六判 288ページ 並製
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-7664-2003-6 C3010
奥付の初版発行年月:2013年01月 / 発売日:2013年01月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

“苦痛と快楽が人間の心理学と倫理学の両方にとっての基礎となっているという主張や、幸福とは快楽が苦痛を上回っている状態であるという主張を現代科学が論証しているとしたら、ベンサムや彼が創りだした功利主義的伝統は、20世紀の批判者たちの多くが認めてもよいと考えていた以上に、はるかに予見的なものであったということになるでしょう。”――本書「日本語版への序文」より
 現代のさまざまな分野に、実践・理論の両面で大きな影響を及ぼしているジェレミー・ベンサム(1748-1832)。本書は、彼の厖大な草稿類を整理・校訂するベンサム・プロジェクトを牽引し、新著作集の編集主幹をつとめる、「世界一ベンサムを知る」著者による本格的な入門書である。苦痛と快楽が基礎づける原理(功利性の原理)による立法の科学を構想し、共同体の幸福=「最大多数の最大幸福」を目指したこの思想家の全貌を平易に解説し、従来触れられてこなかった宗教と性、拷問に関する理論に言及するなど、最新の研究成果をもとに彼の功利主義思想を体系的に論じる。
 詳細な読書案内とともに、ジョン・ロールズ『正義論』(1971)における功利主義批判以降のベンサム研究の動向を論じる訳者解説(小畑俊太郎執筆)を付した、新しい功利主義入門。

著者プロフィール

フィリップ・スコフィールド(Philip Schofield)

ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン法学部教授。ベンサム・プロジェクトディレクター。
ベンサム著作集ジェネラル・エディター。国際功利主義学会幹事。1958年生まれ。
本書以外に、Utility and Democracy: The Political Thought of Jeremy Bentham,Oxford University Press, 2006がある。ベンサム/古典功利主義に関する論文、編著多数。

川名 雄一郎(カワナ ユウイチロウ)

京京都大学白眉センター特定助教、PhD in Political Science. 思想史専攻。
1976年生まれ。ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン政治科学部博士課程修了。
『社会体の生理学――J・S・ミルと商業社会の科学』(京都大学学術出版会、2012年)。

小畑 俊太郎(オバタ シュンタロウ)

首都大学東京都市教養学部法学系助教、博士(政治学)。政治思想史専攻。
1975年生まれ。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。
『ベンサムとイングランド国制(仮)』(慶應義塾大学出版会、2013年刊行予定)。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

日本語版への序文
謝辞

第一章 ベンサムとは誰か
生まれ、家族、教育  法学  民主主義への移行  「世界の立法者」
ベンサムの功績と意義

第二章 どのベンサムか
誰が何を読むのか ジェレミー・ベンサム著作集 テクストを作り出す
エティエンヌ・デュモン―編集者であり解釈者  キャノンを構成する
『法一般論』の再編集  新著作集の利点

第三章 功利性の原理
功利性  論理学と言語  ベンサムの心理学理論に対する批判
ベンサムの倫理学理論に対する批判  功利主義対直観主義

第四章 パノプティコン
パノプティコンの考案者  パノプティコン書簡  パノプティコン補遺
救貧パノプティコン  救貧パノプティコンの放棄  監獄型パノプティ
コンの放棄

第五章 政治的誤謬
誤謬とは何か  誤謬の源泉  錯誤  誤謬の事例  現代における
誤謬  結論

第六章 宗教と性
ジョン・バウリングとグロート夫妻  宇宙の設計者  人格同一性の問
題  永遠の生命と非存在  イエスの啓示宗教  イエスの真の目的
禁欲主義とイエスのセクシュアリティ  ベンサムのメッセージ

第七章 拷問
拷問控訴  権力分立論  ベンサムの証拠排除論  キツネ狩猟者の誤
謬  単座制  ベンサムによる拷問の正当化  自由と安全  死後に
有効となる追記



読書案内
訳者解説
訳者あとがき

索引
著者・訳者紹介


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