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大学改革を問い直す

大学改革を問い直す

A5判 308ページ 並製
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-7664-2053-1 C3037
奥付の初版発行年月:2013年06月 / 発売日:2013年06月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

高等教育研究の泰斗が、大学の未来を歴史から見通す

▼ユニバーサル化時代を迎えた日本の大学は、自らの手でその将来像を示さなければならない。

▼トロウの発展段階論、クラークの比較高等教育システム論を手掛かりに日本の教育行政を俯瞰し、これからの大学が備えるべきシステム、価値、理念を見定め、「全入」問題、高大接続、秋入学やファンドレイジングなど、具体的かつ喫緊の課題に重要な示唆を与える。

▼全ての大学人にとって必読の1冊。

著者プロフィール

天野 郁夫(アマノ イクオ)

1936年神奈川県生まれ。一橋大学経済学部・東京大学教育学部卒業、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。名古屋大学教育学部助教授、東京大学教育学部教授、同学部長、国立大学財務・経営センター教授、同研究部長を経て東京大学名誉教授。専攻は教育社会学、高等教育論。
著書:『高等教育の日本的構造』(玉川大学出版部、1986)、『近代日本高等教育研究』(玉川大学出版部、1989)、『旧制専門学校論』(玉川大学出版部、1993)、『日本の教育システム』(東京大学出版会、1996)、『教育と近代化』(玉川大学出版部、1997)、『日本の高等教育システム』(東京大学出版会、2003)、『学歴の社会史』(平凡社ライブラリー、2005)、『教育と選抜の社会史』(ちくま学芸文庫、2006)、『大学改革の社会学』(玉川大学出版部、2006)、『試験の社会史』(東京大学出版会、1983/平凡社ライブラリー、2007/サントリー学芸賞受賞)、『国立大学・法人化の行方』(東信堂、2008)、『大学の誕生(上・下)』(中公新書、2009)、『高等教育の時代(上・下)』(中公叢書、2013)ほか多数。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき

  Ⅰ部 改革の流れを読む

第1章 大学教育にグローバル化を読む
 1 ワールドシステムとしての大学
 2 グローバル化の衝撃
 3 問われる学部教育
 4 学部名称とディシプリン
 5 高等普通教育化する学部教育
 6 大学院教育の新しい課題
 7 学部教育の再構築を
 8 生涯学習時代の学部教育

第2章 学生生活と教育の変容を読む
 1 なぜいま大学教育改革なのか
 2 エリート段階の教育と学生
 3 キャンパスライフと就職難と
 4 新制大学とマス化の開始
 5 構造転換の試みと挫折
 6 マス段階の大学改革
 7 ユニバーサル段階への歩み
 8 キャンパスライフの再構築へ

第3章 大学の多様化政策を読む
 1 政策課題としての多様化
 2 多様化問題の日本的特質
 3 戦後の学制改革と設置基準
 4 種別化構想の登場
 5 個性化論への転換
 6 個性化から機能別分化へ
 7 大学分類と機能別分化

第4章 トロウのユニバーサル化論を読む
 1 エリート・マス・ユニバーサル
 2 アメリカとヨーロッパ
 3 ヨーロッパ高等教育の危機
 4 日本とアメリカ・モデル
 5 戦後の学制改革
 6 アメリカ・モデルへの再回帰
 7 ユニバーサル化をはばむもの
 8 トロウ理論の示唆するもの

  Ⅱ部 改革を問い直す

第5章 質の保証装置を問う
 1 質保障と大学設置基準
 2 入学者選抜という装置
 3 設置基準から評価システムへ
 4 学力低下と入学者選抜
 5 「教育過程」という装置
 6 四つの装置の相互関係
 7 大学教員の役割

第6章 入学者選抜を問う
 1 入試から入学者選抜へ
 2 日本の独自性
 3 改革の試み
 4 行きすぎた自由化
 5 高等教育システムの改革
 6 大学院・高校・企業

第7章 認証評価制度を問う
 1 質保証と設置認可
 2 認証評価制度の発足
 3 明らかになった課題
 4 評価基準と自己点検評価
 5 専門分野別評価という課題
 6 評価の文化と制度の構築へ

第8章 大学院を問う
 1 混迷する大学院問題
 2 整理の試み・形態と機能
 3 認識と現実のギャップ
 4 社会科学系の現実
 5 社会科学系についての疑問
 6 大学院制度の再構築を

第9章 建学の精神を問う
 1 いまなぜ建学の精神か
 2 大学の個性とは
 3 校風・学風の時代
 4 変化の兆候
 5 マス化と個性の喪失
 6 種別化から個性化へ
 7 機能別分化と建学の精神

  Ⅲ部 改革に歴史を考える

第10章 「全入」時代を考える
 1 「全入」ということ
 2 教育機会をめぐる政策の推移
 3 ユニバーサル化への対応の遅れ
 4 大学の教育危機

第11章 接続関係を考える
 1 アメリカと日本の学力問題
 2 高校教育の「自由化」
 3 入学者選抜制度の転換
 4 高等教育の自由化政策
 5 日本とアメリカ再び

第12章 教養教育を考える
 1 高等普通教育と旧制高校
 2 中流階級の修養教育
 3 職業主義批判と一般教育
 4 一般教育は教養教育か
 5 新しい高等普通教育を

第13章 秋入学を考える
 1 秋入学か春入学か
 2 秋主流の高等教育
 3 秋・春の二本立てへ
 4 春入学への転換と東京帝大
 5 新しい問題提起

第14章 大学教員を考える
 1 大学・大学院・学位
 2 高等教育機関の教員
 3 教員養成と大学院
 4 戦前期教員の世界
 5 戦後の変化
 6 大学教員とは何か

第15章 ファンドレイジングを考える
 1 ファンドレイジングと大学
 2 政府による民間資金の吸い上げ
 3 慶応義塾の苦闘
 4 早稲田と立命館
 5 富豪の学校づくり
 6 歴史の教訓

第16章 教育研究組織を考える
 1 教育と研究の基本組織
 2 戦後の学制改革と講座・学科目制
 3 新しい教育研究組織の模索
 4 二つの大学審議会答申
 5 柔軟で弾力的な組織編成へ

 初出一覧


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