現代中国政治外交の原点
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-7664-2095-1 C3031
奥付の初版発行年月:2013年10月 / 発売日:2013年10月中旬
▼現代中国の課題を、歴史的視点から照射する!
▼いまや世界第二の経済大国となり、国際社会において台頭しつつある中国が直面する、国内政治と外交の面でのさまざまな問題について、現代中国政治史上においてその起源を明らかにし、それらを貫くロジックとは何かを探る。
▼国内政治では「中国共産党の権力掌握」「重層的支配構造と権力」「党の社会統制と覚醒する市民」、外交では「国家統合と外交の関連性」「プロパガンダと現実主義外交の対比」「グローバル化への対応」にテーマをわけ、中国の現状を念頭におきながら、歴史的視点から掘りさげていく。
国分 良成(コクブン リョウセイ)
防衛大学校長・慶應義塾大学法学部客員教授。1953年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。主要業績:『現代中国の政治と官僚制』(慶應義塾大学出版会、2004年、サントリー学芸賞受賞)、『中国的問題群 1 党と国家―政治体制の軌跡』(共著、岩波書店、2009年)、ほか。
小嶋 華津子(コジマ カズコ)
慶應義塾大学法学部准教授。1970年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要業績: China’s Trade Unions: How Autonomous Are They? A Survey of 1,811 enterprise union chairpersons (共編著、Routledge、2010)、『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、ほか。
上記内容は本書刊行時のものです。(掲載順)
【編者】
国分良成(こくぶん りょうせい)
防衛大学校長・慶應義塾大学法学部客員教授。
小嶋 華津子(こじま かずこ)
慶應義塾大学法学部准教授。
【執筆者】
鈴木 隆(すずき たかし)
愛知県立大学外国語学部准教授。1973年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程満期退学。博士(法学)。主要業績:『中国共産党の支配と権力―党と振興の社会経済エリート』(慶應義塾大学出版会、2012年、日本貿易振興機構アジア経済研究所「発展途上国研究奨励賞」受賞)、『転換期中国の政治と社会集団』(共編著、国際書院、2013年)、ほか。
山口信治(やまぐち しんじ)
防衛省防衛研究所地域研究部防衛教官。1979年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。主要業績:「毛沢東による戦略転換としての新民主主義段階構想の放棄」『アジア研究』(54 (1)、2008年)、「中国共産党の政治指導能力に関する研究―国内的不安定が対外関係に及ぼす影響についての予備的考察」『防衛研究所紀要』(第15巻第1号、2012年)、ほか。
岩谷 將(いわたに のぶ)
防衛省防衛研究所戦史研究センター主任研究官。1976年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要業績:『対立と共存の歴史認識―日中関係150年』(共著、東京大学出版会、2013年)、『蔣介石研究―政治・戦争・日本』(共著、東方書店、2013年)、ほか。
林 秀光(Lin Xiuguang)
慶應義塾大学法学部教授。1968年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。主要業績:「中国の政策過程と三門峡ダム」『法学研究』(第82巻第6号、2009年)、「中国におけるメディアと『党―国家―社会』―1980年代『新聞法』の制定をめぐって」『法学研究』(第83巻第12号、2010年)、ほか。
佐々木智弘(ささき のりひろ)
日本貿易振興機構アジア経済研究所地域研究センター東アジア研究グループ長。1967年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科前期博士課程修了。修士(法学)。主要業績:『北京からの「熱点追踪」―現代中国政治の見方』(日本貿易振興会アジア経済研究所、2001年)、「1999年の中国電信再編案策定の政治過程―国務院指導者と信息産業部の役割を中心に」『アジア経済』(第51巻第3号、2010年)、ほか。
磯部 靖(いそべ やすし)
慶應義塾大学法学部准教授。1968年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要業績:『現代中国の中央・地方関係―広東省における地方分権と省指導者』(慶應義塾大学出版会、2008年)、ほか。
角崎信也(かどざき しんや)
公益財団法人日本国際問題研究所研究員。1981年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科前期博士課程修了。修士(法学)。主要業績:『救国、動員、秩序―変革期中国の政治と社会』(共著、慶應義塾大学出版会、2010年)、『転換期中国の政治と社会集団』(共著、国際書院、2013年)、ほか。
呉 茂松(Wu Maosong)
慶應義塾大学法学部非常勤講師。1976年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要業績:『陳情:中国社会の底辺から』(共著、東方書店、2012年)、『中国共産党のサバイバル戦略=CCP’s Survival Strategy』(共著、三和書籍、2012年)、ほか。
星野昌裕(ほしの まさひろ)
南山大学総合政策学部教授。1969年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要業績:『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、『中国は、いま』(共著、岩波書店、2011年)、ほか。
江藤名保子(えとう なおこ)
人間文化研究機構地域研究推進センター/慶應義塾大学東アジア研究所・現代中国研究センター研究員。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要業績:『日中関係史 1972―2012 Ⅰ 政治』(共著、東京大学出版会、2012年)、「中国の対外戦略と日中平和友好条約」『国際政治』(第152号、2008年)、ほか。
兪敏浩(Yu Minhao)
名古屋商科大学コミュニケーション学部准教授。1974年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要業績:『現代中国外交の六十年―変化と持続』(共著、慶應義塾大学出版会、2011年)、「中国の対外経済政策決定過程に関する一考察―日中農産物セーフガード問題を事例として」『法学政治学論究』(第75号、2007年)、ほか。
阿南友亮(あなみ ゆうすけ)
東北大学大学院法学研究科准教授。1972年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要業績:『中国革命と軍隊―近代広東における党・軍・社会の関係』(慶應義塾大学出版会、2012年)、『日中関係史 1972―2012 Ⅰ 政治』(共著、東京大学出版会、2012年)、ほか。
杉浦 康之(すぎうら やすゆき)
防衛省防衛研究所地域研究部北東アジア研究室防衛教官。1977年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。主要業績:『日米同盟論―歴史・機能・周辺諸国の視点』(共著、ミネルヴァ書房、2011年)、『日中関係史 1972―2012 Ⅰ 政治』(共著、東京大学出版会、2012年)、ほか。
飛鳥田 麻生(あすかた まお)
1974年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程中退。主要業績:『米中関係―冷戦後の構造と展開』(共著、日本国際問題研究所、2007年)、『イメージの中の日本―ソフト・パワー再考』(共著、慶應義塾大学出版会、2008年)、ほか。
李彦銘(Li Yanming)
慶應義塾大学法学部非常勤講師。1983年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。主要業績:「一九七〇年代初頭における日本経済界の中国傾斜とその背景」『国際政治』(第163号、2011年)、「小泉政権期における日本経済界の対中認識」『法学政治学論究』(第88号、2011年)、ほか。
青山瑠妙(あおやま るみ)
早稲田大学教育・総合科学学術院教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(法学)。主要業績:『現代中国の外交』(慶應義塾大学出版会、2007年)、『中国外交の世界戦略―日・米・アジアとの攻防30年』(共著、明石書店、2011年)、ほか。
目次
序 論 国分良成
第一部 中国政治の原点
Ⅰ 中国共産党の権力掌握
第一章 「党の指導」をめぐる歴史的連続と変容
―― 政党組織、リーダーシップ、ナショナリズム 鈴木隆
はじめに
一、共産党の政治適応能力と支配の持続可能性
二、「党の指導」の歴史的原点とその変容
おわりに―― 習近平体制における政治的適応と「革新」
第二章 党軍関係と軍の近代化―― 一九五〇年代の議論を中心に 山口信治
はじめに
一、現代中国における「軍隊国家化」批判
二、一九五〇年代―― 党軍関係と軍近代化の緊張関係の原点
おわりに
第三章 党を保衛する公安組織―― 公安組織の設立過程
岩谷將
はじめに
一、重慶事件に見る党と公安
二、公安組織の設立過程
おわりに
第四章 党報体制の構築―― 既存メディアの接収と改造を通して 林秀光
はじめに
一、党報体制下の言論空間の構造
二、既存メディアの接収と党報体制の構築
おわりに
第五章 発展する国有企業―― 一九九〇年代国有企業改革再考
佐々木智弘
はじめに
一、国有企業改革をめぐる今日的関心
二、一九九〇年代の国有企業改革と党指導部の相互作用
おわりに―― 一九九〇年代の国有企業改革の今日的啓示
Ⅱ 重層的支配構造と権力
第六章 連邦制の否定と地方保護主義
―― 高崗・饒漱石事件と中央・地方関係の定位 磯部靖
はじめに
一、地方保護主義と二元指導体制の問題
二、大行政区の廃止と高崗・饒漱石事件
おわりに
第七章 「大衆路線」と「抗争政治」
―― 「大飢饉」後における農村統治様式の変容、一九六〇年~
六二年 角崎信也
はじめに
一、「群体性事件」の頻発と幹部問題
二、「大飢饉」後の農村統治様式の変容
おわりに
Ⅲ 党の社会統制と覚醒する市民
第八章 人民から「市民」へ―― 台頭する維権運動とその変化
呉茂松
はじめに
一、「維権」運動の内容
二、「維権元年」と「維権」含意の変化
おわりに
第九章 公権力に挑む弁護士たち―― 「中華人民共和国弁護士法」
の制定 小嶋華津子
はじめに
一、公権力に挑む弁護士たち
二、「中華人民共和国弁護士法」の制定(一九九六年五月)に至る
政治過程
おわりに
第一〇章 「自治」をめぐる民族紛争―― 民族区域自治制度の制定
と展開 星野昌裕
はじめに
一、民族区域自治制度とチベット問題
二、民族区域自治制度の原点
おわりに―― 中国の民族区域自治とソ連崩壊の経験
第二部 中国外交の原点
Ⅳ 国家統合と外交
第一一章 現代中国ナショナリズムと外交政策
―― 「改革開放」と「愛国主義」のリンケージ 江藤名保子
はじめに
一、現代中国ナショナリズムの諸相
二、現代中国ナショナリズムの転換点―― 改革開放と「愛国主義
統一戦線」
おわりに
第一二章 両岸関係の力学と中国の台湾政策
―― 中台両岸関係における三角矛盾構造の形成を中心に 兪敏浩
はじめに
一、中台両岸関係における三角矛盾構造
二、両岸関係における三角矛盾構造の原点
おわりに
Ⅴ プロパガンダと現実主義外交
第一三章 協調と対峙の米中関係―― 未解消の冷戦構造
阿南友亮
はじめに
一、米中軍事対峙の基本構造
二、米中軍事対峙の原点と歴史
おわりに
第一四章 対日政策としての大衆動員の原点―― 六〇年安保闘争と
中国 杉浦康之
はじめに
一、二〇一二年九月の反日デモ
二、対日政策としての六〇年安保闘争支援
おわりに
一五章 胡錦濤政権の対日政策
―― 対日関係推進のインセンティブの低下とその要因
飛鳥田麻生
はじめに
一、中国の対外戦略と日中関係
二、ポスト冷戦期における日本の位置づけとその変化
おわりに
Ⅵ グローバル化への対応
第一六章 外資利用と国際社会への参与
―― 一九七〇年代末の大型プラント輸入と日中経済協力を中心に
李彦銘
はじめに
一、二〇〇〇年代以降における外資利用をめぐる論争
二、一九七〇年代末の大型プラント輸入ブームと外資導入方針の確
立
おわりに
第一七章 中国外交における国際協調の流れ
―― 中国とスーダンの関係を中心に 青山瑠妙
はじめに
一、高まる国際プレゼンスと中国の国際協調
二、ダルフール問題の推移と中国の対応
おわりに
あとがき
索 引
執筆者紹介