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中世・ルネサンスから現代まで歌曲(リート)と絵画で学ぶドイツ文化史

歌曲(リート)と絵画で学ぶドイツ文化史 中世・ルネサンスから現代まで

A5判 336ページ 並製
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-7664-2147-7 C3070
奥付の初版発行年月:2014年08月 / 発売日:2014年08月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

ドイツ文化への全く新しい画期的入門書!

通常、音楽史と美術史はそれぞれ個別に論じられることが多く、また、「クラシック音楽と西洋美術」などと題されていても、同じ時代の作品をただ併記するだけで、両者の表現方法などに深い考察を加えることはほとんどない。各時代にはその背景にもとづき、ジャンルを超え、共通する様式や形式があるのではないだろうか。
本書は、このような視点から、音楽、絵画、ドイツ社会史それぞれの関連性を読み解いていく。それぞれの領域に関心のある読者の知識をつなぎ、ドイツの文化と社会に対する一層の理解を促す良質な新しいタイプの、ドイツ文化入門書!

著者プロフィール

石多 正男(イシタ マサオ)

1952年生まれ。音楽学者。
北里大学一般教育部教授。慶應義塾大学非常勤講師。
慶應義塾大学文学部、同大学院博士課程修了後、ドイツ・チュービンゲン大学留学。
中野博司、W. Dürrに師事。
主な業績は、単著に『交響曲の生涯――誕生から成熟へ、そして終焉』(東京書籍、2006年)、『チャート式クラシック鑑賞術』(春秋社、 1995年・13刷)、共著に『シューベルト(作曲家別名曲解説ライブラリー17)』(音楽之友社、1994年)、『ベートーヴェン(作曲家別名曲解説ライブラリー3)』(音楽之友社、1992年)、『200CD 音楽史を聴く』(立風書房、1996年)、『200CD ピアノとピアニスト』(立風書房、1996年)、翻訳にゲオルク・シューネマン著『ピアノ音楽史』(共訳、春秋社、1988年)、論文に「18世紀における交響曲の発展と聴衆」(『芸術学』、三田芸術学会、第4号、2001年)、など多数。また、月刊誌『音楽現代』(芸術現代社)に随時執筆中。
日本音楽学会、美学会、日本ミュージック・ペンクラブ、三田芸術学会、音楽三田会に所属。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに
 凡例

第Ⅰ章 中世・ルネサンス
 1 事物の要だけに関心を向ける
    フォーゲルヴァイデ《パレスチナの歌》とジョット《ヨアキム
    の夢》
 2 自然な感情の発露――「個」としての人間と故郷の絵画
    イザーク《インスブルックよ、さようなら》とレオナルド・ダ・
    ヴィンチ《モナリザ》
 3 マイスターの時代からマニエリスムへ
    ハンス・ザックス《ダヴィデは謹厳で正直だったので》ブロン
    ツィーノ《「愛」の勝利の寓意》

第Ⅱ章 一七~一八世紀前半
 1 明と暗、強と弱、聖と俗を対比させるバロック時代
    ハマーシュミット《キスのテクニック》とカラヴァッジョ《聖
    マタイのお召し》
 2 キリスト教から離れた世俗の教訓
    バッハ《喫煙者の教訓》とド・トロウ《寓意「真実のヴェール
    を取り去る『時』」》

第Ⅲ章 一八世紀後半
 1 ロココと啓蒙主義のモーツァルト
    モーツァルト《すみれ》とフラゴナール《ぶらんこ》
 2 もう一つのロココ 流行と渦巻く陰謀
    モーツァルト《魔笛》とゴヤ《パラソル》

第Ⅳ章 一九世紀前半
 1 栄光と没落、巨人と廃墟
    ベートーヴェン《はるかな恋人に》とロベール《廃墟となった
    ルーヴルのグランド・ギャラリーの想像図》
 2 フランス革命の産物 英雄の死と壮大な世界観
    ベートーヴェン《歓喜の歌》とゴヤ《ピオの丘での銃殺》
 3 普遍的な女性像 グレートヒェンとプシュケー
    シューベルト《糸を紡ぐグレートヒェン》とジェラール《キュー
    ピットとプシュケー》
 4 命を象徴する乙女、あらがえない運命を導く死
    シューベルト《死と乙女》とカニャッチ《マリア・マグダレーナ
    (死と乙女)》
 5 暗い時代に若者が求めたのは過去、遠方、夜の慰め
    シューベルト《音楽に寄せて》シュヴィント《シュパウン家での
    シューベルトの夕べ》
 6 《冬の旅》をめぐる三月前期の若者三人
    シューベルト《冬の旅》とフリードリヒ《雪の墓地》
 7 変貌する都市 発展と孤独
    シューベルト《白鳥の歌》とラウザーバーグ《コールブルック
    デールの夜景》
 
第Ⅴ章 一九世紀中頃
 1 ささやかな幸せを追う一般市民
    シューマン《ミルテの花》とシュピッツヴェーク《さぼてん愛好
    家》
 2 物想いを誘う夜
    シューマン《月の夜》とハーゼンクレーファー《センチメンタル
    な女》
 3 女性と女流画家の社会進出
    シューマン《女の愛と生涯》とルブラン《マリー・アントワネッ
    トの肖像を描くヴィジェ・ルブラン》
 4 淡い詩、繊細な音楽、霧と煙り
    シューマン《詩人の恋》とターナー《平和 海への埋葬(ウィル
    キーの死》
 
第Ⅵ章 一九世紀後半
 1 夜中にさまよい、後悔する男
    ブラームス《ぼくは思い切って起きた》とグリムショー《月光の
    下の古い会館》
 2 祖国ドイツを意識して 童話と森、妖精、夢
    ドイツ民謡とフィッツジェラルド《コウモリに挑む妖精たち》
 3 死について
    ブラームス《四つの厳粛な歌》とベックリン《死の島》

第Ⅶ章 一九世紀末
 1 子どもを見る大人のまなざし
    ヴォルフ《少年とミツバチ》とラーション《叱られて》
 2 中世騎士への憧れ
    ヴォルフ《炎の騎士》とバーン=ジョーンズ《慈悲深き騎士》
 3 浮遊する音楽、浮遊する絵画
    ヴォルフ《月がつらく悲しい気持ちで空高く昇り》とセガン
    ティーニ《淫蕩の罰》

第Ⅷ章 一九世紀末から二〇世紀初頭へ
 1 東洋への関心
    マーラー《亡き子をしのぶ歌》とモネ《ラ・ジャポネーズ》
 2 男女同権に向かって
    マーラー《子どもの不思議な角笛》とシュトゥック《毒杯を薦め
    るキルケ》
 3 官能の美の世紀末
    シュトラウス《あした》とクリムト《接吻》
 4 幸せな夫婦像
    シュトラウス《謹呈》とアマン=ジャン《エラ》

第Ⅸ章 二〇世紀初頭
 1 点を見つめる目
    シェーンベルク《夏のだるさ》とスーラ《エッフェル塔》
 2 心を蝕まれた人々 オーストリア
    ウェーベルン《黄昏の地》とホドラー《生に疲れる人々》

第Ⅹ章 二〇世紀中頃
 1 顔が見えなくなってしまった人間
    ロイター《町》とキリコ《不安がらせるミューズたち》
 2 宇宙を感じさせる虚無の時間
    シェック《あの星が見えるかい》とダリ《記憶の固執》


 あとがき
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 図版一覧
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 音楽・美術用語索引


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