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問題発見・解決能力を組織に蓄積する改善活動のマネジメント

改善活動のマネジメント 問題発見・解決能力を組織に蓄積する

A5判 240ページ 上製
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-7664-2246-7 C3034
奥付の初版発行年月:2015年09月 / 発売日:2015年09月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

▼<改善>を組織の<文化>にする

問題を発見・解決し続け、業績を向上させている企業は、何が違うのか?
本書は、改善サイクルを組織の日常業務に埋め込み、企業文化として涵養するための、長期的視野にもとづく改善活動のマネジメントを提言する。
日本の「ものづくり」の極意を凝縮した、マネジャー必読の書!

▼イノベーションは日々の<改善>から始まる!

イノベーションの創出も日常業務の改善も、その構造は同じ。無数の小さな<改善>のなかで、大きな社会的価値や意義へと結びついたものが<イノベーション>と呼ばれるようになるのだ。
本書は「基礎編」では簡単な思考実験で「ムダ」を見つけるコツを紹介、続く「実践編」で複雑な現場の状況整理・問題発見方法を解説、最後に「マネジメント編」で日常的・継続的に問題発見→問題解決し続ける組織作りの方法を提案。
 勘や経験だけに頼らない合理的な思考法と、日常業務の中に改善活動を組み込むノウハウを伝授する。

著者プロフィール

坂爪 裕(サカヅメ ユウ)

慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授、博士(経営学)
1989年慶應義塾大学文学部人間関係学科人間科学専攻卒業、アンダーセン・コンサルティング(現:アクセンチュア)、(株)さくら総合研究所(現:日本総合研究所)を経て、2001年京都産業大学経営学部専任講師、2004年慶應義塾大学大学院経営管理研究科専任講師、2006年同助教授、2012年より現職。

主要業績に、『セル生産方式の編成原理』(慶應義塾大学出版会、2012)、『「ものづくり」経営革新 ―― 顧客価値創造プロセスの構築』(共著、生産性出版、1998)、「改善活動のマネジメントに関する実態調査」(慶應義塾経営管理学会リサーチペーパー・シリーズ、No.106、 2013)、「3Sの徹底を通じた発見型改善のすすめ」(『IEレビュー』第53巻第3号、2012(第42回日本IE文献賞(貢献賞)受賞))、「改善活動を推進するミドル・マネジャの役割」(『工場管理』第57巻第8号、2011)、「セル生産方式と分業の新展開――導入企業8社の事例研究」(『日本経営学会誌』第16号、2006(平成18年度日本経営学会賞(論文部門)受賞))、“Conditions for Successful Implementation of Assembly Cells,” Industrial Engineering & Management Systems, Vol. 5, No. 2, 2006、他多数。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第1章 改善とは何か?
 1 はじめに
 2 改善もイノベーションも構造的には変わらない
 3 改善の利点・効果
 4 管理と改善
 5 本書の構成

第2章 日本企業における改善活動の実態
 1 はじめに
 2 改善活動の進捗状況
  2.1 改善進捗度の高い企業の特徴
  2.2 改善進捗度の低い企業の課題
 3 国内工場と海外工場の改善マネジメントの違い
  3.1 改善アプローチの違い
  3.2 経営トップが重要と考える要因の違い
  3.3 改善活動における課題の違い
 4 まとめ:調査結果から導かれた6つの知見

 第Ⅰ部 基礎編
 問題を発見するための着眼点
 
第3章 目的手段関係に着目する
 1 ボールペンのキャップ締め作業
  1.1 付加価値作業を明らかにする
  1.2 目的物の不自然な動きに着目する
  1.3 付加価値作業以外のムダな作業をすべてなくせないか
    (第1の改善アプローチ)
  1.4 付加価値作業自体をもっと効率的に行えないか
    (第2の改善アプローチ)
 2 預金払い出し作業
  2.1 付加価値作業を明らかにする
  2.2 付加価値作業以外のムダな作業をすべてなくせないか
    (第1の改善アプローチ)
  2.3 付加価値作業自体をもっと効率的に行えないか
    (第2の改善アプローチ)
 3 おわりに

第4章 因果関係に着目する
 1 はじめに
 2 因果関係とは何か
 3 因果関係図を描く意義
 4 因果関係図を用いた改善実施
  4.1 仮説・検証サイクルに通じた因果律の蓄積
  4.2 ループ構造に着目した改善案の著想方法
 5 おわりに

 第Ⅱ部 実践編
 改善を困難にするコンフリクトの克服

第5章 供給プロセス全体の改善
―― トータル・リードタイムの短縮
 1 はじめに
 2 トータル・リードタイム短縮の基本的な考え方
  2.1 トータル・リードタイム短縮の経営効果
  2.2 トータル・リードタイムの構成要素
  2.3 「双方向化」と「多段階化」
 3 事例に見るトータル・リードタイム長期化の要因
  3.1 事例の概要
  3.2 A社における長期化要因の分析
  3.3 B社における長期化要因の分析
 4 「双方向化」を解消するための着眼点
 5 「多段階化」を解消するための着眼点
  5.1 品目別分業化
  5.2 自己完結化
 6 おわりに

第6章 情報処理プロセスの改善
―― 部門間の認識差異の解消
 1 はじめに
 2 分析の視点
  2.1 改善の対象となる問題の捉え方
  2.2 部門間の認識差異
  2.3 2つの情報プロセス図
 3 認識差異に着目した改善アプローチ
  3.1 制約条件としての事実を変更する
  3.2 情報プロセスに関する事実認識を変更する
  3.3 外部環境に関する事実認識を変更する
 4 C社の事例への適用
  4.1 事例の概要
  4.2 各部門が認識する情報処理プロセスの内容
  4.3 問題点の発生原因に関する分析
  4.4 改善アプローチの適用
 5 おわりに

第7章 情報システム導入の失敗原因分析
 1 はじめに
 2 先行研究
  2.1 情報システム導入の失敗に関する先行研究
  2.2 利害関係者間のコンフリクトに関する先行研究
 3 失敗原因の分析モデル
  3.1 コンフリクトが顕在化しているケース
  3.2 コンフリクトが潜在化しているケース
 4 事例研究
  4.1 D社の概要
  4.2 失敗原因の分析モデルの事例適用
 5 考察
  5.1 コンフリクト解消の基本方策
  5.2 解決方策のモデル
  5.3 解決方策のモデルの事例適用
 6 おわりに

 第Ⅲ部 マネジメント編
 組織の改善文化を涵養する

第8章 2つの改善アプローチ
―― ターゲット追求型とオープン・エンド型
 1 はじめに
 2 分析の視点
 3 事例の概要
 4 改善活動を通じた組織学習過程
  4.1 改善活動開始前:危機意識の向上(1986年)
  4.2 トップダウンによる改善活動の開始(1987年)
  4.3 ライン・スタッフが協同で改善を実施(1988~91年)
  4.4 新たな改善活動の開始(1991~94年)
  4.5 自己完結生産ライン・生産管理システムの構築(1995~98
     年)
 5 事例に見る改善活動の成功要因
  5.1 事後合理性
  5.2 事後合理性を追求する推進力の源泉
 6 考察
  6.1 事例における課題
  6.2 改善活動における2つのアプローチ
 7 おわりに

第9章 3Sの徹底を通じたオープン・エンド型改善
 1 はじめに
 2 3S活動とは何か
 3 3Sの間接効果
 4 なぜ3Sの徹底は問題発見・活動継続に結びつくのか
  4.1 整理が問題発見・活動継続に結びつく論理
  4.2 清掃が問題発見・活動継続に結びつく論理
  4.3 整頓が問題発見・活動継続に結びつく論理
  4.4 3S活動全体が継続する論理
 5 3Sの徹底を通じた工場文化の形成
 6 「遊び」が文化創造を促進する
 7 習慣的行為が文化を創造する

第10章 改善活動を推進するミドル・マネジャの役割
 1 はじめに
 2 先行研究
  2.1 改善活動に対する従業員の参加メリット・デメリット
  2.2 改善活動を推進するミドル・マネジャの役割
 3 作業仮説の構築
 4 事例研究の方法
 5 事例研究の結果
  5.1 調査事例の概要
  5.2 改善活動を推進するミドル・マネジャの役割
 6 事例研究を通じたインプリケーション
 7 おわりに

第11章 あらためて「ものづくり」を問う
 1 「ものづくり」という概念装置
 2 3Sは「ものづくり」の根幹
 3 海外工場における改善活動
 4 海外工場におけるオープン・エンド型改善実施のポイント
 5 おわりに

 あとがき
 初出一覧
 参考文献
 索引


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