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多様な花が生まれる瞬間

遺伝子から探る生物進化6
多様な花が生まれる瞬間

四六判 196ページ 並製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-2300-6 C3345
奥付の初版発行年月:2018年06月 / 発売日:2018年06月中旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

▼花は送粉者とともに進化した!
▼送粉共生の魅力に迫る!

チャルメルソウ類の研究からたどり着いたのは、進化生物学で最古のテーマでもある「種の起原」という最も挑戦的な問題だった。
▼進化の最前線を解き明かすシリーズ。ついに完結!
▼花とその花粉を運ぶ虫との共生関係から、種の分化という謎に迫る。

花を咲かせる植物は地球上に35万種以上あるといわれており、その85%以上は動物媒花であるという推計がある。単純に考えれば、花の多様性には、30万種類超もの動物とのかかわりが秘められていることになる。この多様な動物とのかかわり方は、そもそもどのようにして生じたのか。それを明らかにすれば、植物という生き物が、なぜこのような多様な種に分化し、あまねく地球上に広がっているのか、その不思議の理由に迫れるかもしれない。(「はじめに」より)

著者プロフィール

斎藤 成也(サイトウ ナルヤ)

1957年生まれ。テキサス大学ヒューストン校生物学医学大学院修了(Ph.D.)。現在は国立遺伝学研究所教授。おもな著書に『DNAから見た日本人』(ちくま新書)、『ゲノム進化学入門』(共立出版)、『Introduction to Evolutionary Genomics』(Springer)、『日本列島人の歴史』(岩波ジュニア新書)などがある。

塚谷 裕一(ツカヤ ヒロカズ)

1964年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、博士(理学)。現職は東京大学大学院理学系研究科教授。岡崎統合バイオサイエンスセンターおよび放送大学客員教授も努める。おもな著書に、『漱石の白くない白百合』(文藝春秋)、『変わる植物学、広がる植物学』(東京大学出版会)、『スキマの植物図鑑』(中公新書)など。趣味は、植物に関するさまざまなこと、エッセイ書き、おいしいもの探索など。

高橋 淑子(タカハシ ヨシコ)

1960年生まれ。京都大学理学研究科生物物理学専攻(理学博士)。現在は京都大学大学院理学研究科生物科学専攻教授。おもな訳書に『ギルバート発生生物学』(監訳、メディカル・サイエンス・インターナショナル出版)がある。趣味は歌(合唱)。大阪フィルハーモニー合唱団所属。

奥山 雄大(オクヤマ ユウダイ)

1981年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在は国立科学博物館植物研究部研究主幹(兼)筑波実験植物園研究員。専門は植物学、生態学、進化生物学。趣味は旅行、生き物全般の観察のほかに漫画、映画鑑賞、ロールプレイングゲーム。作品としては特に「ジョジョの奇妙な冒険」、「トランスフォーマー」、「ロマンシングサガ」シリーズをこよなく愛している。

上記内容は本書刊行時のものです。

【監修者】
斎藤 成也(さいとう なるや)
1957年生まれ。テキサス大学ヒューストン校生物学医学大学院修了(Ph.D.)。現在は国立遺伝学研究所教授。

塚谷 裕一(つかや ひろかず)
1964年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、博士(理学)。現職は東京大学大学院理学系研究科教授。岡崎統合バイオサイエンスセンターおよび放送大学の客員教授も努める。

高橋 淑子(たかはし よしこ)
1960年生まれ。京都大学理学研究科生物物理学専攻(理学博士)。現在は京都大学大学院理学研究科生物科学専攻教授。

【著者】
奥山 雄大(おくやま ゆうだい)
1981年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在は国立科学博物館植物研究部研究主幹(兼)筑波実験植物園研究員。

目次

第1章 送粉生物学に入門する
 1.1 植物の多様性研究へのいざない
 1.2 チャルメルソウの送粉者は誰だ?

第2章 分子系統学に入門する
 2.1 矛盾するチャルメルソウ類の系統関係の謎
 2.2 決着は3つ目の分子系統樹で

第3章 太平洋をまたぐチャルメルソウ研究
 3.1 憧れのアメリカ産チャルメルソウ類
 3.2 北米にもあったキノコバエ媒
 3.3 海外での単独野外調査
 3.4 チャルメルソウ類を網羅する
 3.5 チャルメルソウ属は多系統群だった
 3.6 系統樹から過去を復元する
 3.7 繰り返し進化していたキノコバエ類との共生関係

第4章 チャルメルソウの「種」の正体
 4.1 生物学的種概念と分類
 4.2 遺伝子で種を見分ける
 4.3 チャルメルソウ類を掛け合わせる
 4.4 雑種の繁殖力は低下した
 4.5 遺伝子データから生殖隔離の大きさを予測する
 4.6 真の新種アマミチャルメルソウ
 4.7 チャルメルソウ節には何種あるのか

第5章 大きな転機、「岩手留学」と植物免疫研究
 5.1 遺伝学への憧れと2つの論文
 5.2 岩手留学
 5.3 イネいもち病抵抗性の研究に入門する
 5.4 Pia 突然変異体を探せ
 5.5 Pia はどこにある?
 5.6 関連解析でPia の候補を絞る
 5.7 Pia の正体はRGA4 なのか?
 5.8 ついに明らかになったPia の正体
 5.9 岩手を出る
 5.10 遺伝子Pia と植物免疫研究のその後

第6章 日本のチャルメルソウ類はどうやって生まれたのか?
 6.1 チャルメルソウ節の倍数性
 6.2 倍数性の起源を解明する
 6.3 遺伝子データが統合できない
 6.4 すべての組合せを試す
 6.5 明らかになったチャルメルソウ節の起源

第7章 種分化の鍵は「花の香り」
 7.1 花の匂いの正体
 7.2 チャルメルソウ節の交配前隔離の謎
 7.3 キノコバエ類による送粉者隔離の発見
 7.4 なぜ花を訪れるキノコバエ類は異なるのか?
 7.5 切り札は高精度の系統樹
 7.6 ライラックアルデヒドのはたらきを調べる
 7.7 産みの苦しみ

第8章 多様な花が生まれる瞬間
 8.1 花の香りの進化遺伝学
 8.2 比較ゲノム解析
 8.3 新たな研究モデルへの展開


おわりに
参考文献
索引


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