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政治思想史入門

政治思想史入門

A5判 408ページ 並製
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-7664-2336-5 C3031
奥付の初版発行年月:2016年04月 / 発売日:2016年04月中旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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在庫あり

内容紹介

ホメロスからルソーまで
批判的思考を鍛える新しいテキスト

古代ギリシア、プラトンから近代までのさまざまな思想家の理論や学説に言及し、政治思想の多様な観念とそれらの歴史的展開について論じる。

著者プロフィール

堤林 剣(ツツミバヤシ ケン)

1966年生まれ。1989年慶應義塾大学経済学部卒業、1996年ケンブリッジ大学Ph.D取得。現在、慶應義塾大学法学部政治学科教授。専攻は近代政治思想史、フランス自由主義思想。主要著作に、『コンスタンの思想世界 ―― アンビヴァレンスのなかの自由・政治・完成可能性』(創文社、2009年)、「コンスタン ―― 立憲主義の基礎づけを求めて」宇野重規編『岩波講座 政治哲学3 近代の変容』(岩波書店、2014年)、「ルソーと東アジアのデモクラシーの未来」『法学研究』(85巻6号、2012年)、“Nineteenth Century French Liberalism: Its Belated Victory and New Challenges”, Keio Journal of Politics, no. 13, 2008、「ケンブリッジ・パラダイムの批判的継承の可能性に関する一考察(一・二)『法学研究』(72巻11号、73巻3号、1999―2000年)、「自由のパラドックス ―― ルソー・コンスタン・バーリン」『思想』(883号、1998年)、など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき
序論

第一章 主題と方法
 一 はじめに
 二 社会科学の特徴 ―― 自然科学との違い
 三 政治のフィクション性
 四 ヒュームのオピニオン論と理性観
 五 正当性(レジティマシー)の問題
 六 ファクト論
 七 政治思想史の方法論
 八 四つのカテゴリー ―― 「コスモス」、「運命」、「時間」、
 「法」
  「コスモス」
  「運命」
  「時間」
  「法」

第二章 古代ギリシアの思想状況
 一 神話世界から民主政治へ
  運命と人間
  デモクラシーのエートス
  古代のデモクラシー
  ミュトスとロゴス
  古代ギリシアの「時間」
  アテナイにおける政治の理論
  “what is”、“what seems”、“what matters”
 二 悲劇詩人
  ギリシア悲劇とアテナイ
  アイスキュロス『縛られたプロメテウス』
  ソフォクレス『オイディプス王』
  アイスキュロスのオレステイア三部作
  ソフォクレス『アンティゴネー』
 三 トゥキュディデス
 四 ソフィスト

第三章 プラトン
 一 知の探究者プラトン
 二 対話篇の意義
 三 プラトンの政治理論
  正義論
  哲人統治論 ―― 教育論、政体論
 四 プラトンのコスモス論 ―― 運命、理性、自由
 五 プラトンの思想の運命
  ナチズムとプラトン
  “what seems”の混乱
  “what is”の不在

第四章 アリストテレス
 一 万学の祖アリストテレス
 二 プラトンとの相似と相違
 三 アリストテレスの政体論
 四 アリストテレスの自然観
 五 アリストテレスの政治思想
  アリストテレスのプラトン批判 ―― ロゴスの多元性
  運命との対峙
  法と時間
  観照的な活動
 六 アリストテレスの思想の運命

第五章 ワープ!
 一 「人民の利益」 ―― 超高速時空旅行(ワープ)の道しるべ
 二 三つのテーゼ
 三 ヘレニズムとストア派
 四 ローマの政治思想とキケロ
  ローマの「運命-徳パラダイム」
  キケロの政治思想
 五 キリスト教と中世
  古代ギリシア・ローマからの価値転換
  キリスト教思想のアンビヴァレンス
 六 アウグスティヌス
 七 トマス・アクィナス
 八 キリスト教思想とローマ法のアンビヴァレンス
  言説による権力の強化
  言説のアンビヴァレンス ―― 権力の絶対化と相対化
  イタリアの都市国家とローマ法

第六章 マキアヴェリ
 一 梟雄か共和主義の英雄か ―― マキアヴェリの多面性
 二 『君主論』と『ディスコルシ』
 三 マキアヴェリの“what is”、“what seems”、“what matters”
 四 人文主義の伝統
 五 人文主義の運命論
 六 君主の「ヴィルトゥ」 ―― 『君主論』
 七 人民の「ヴィルトゥ」 ―― 『ディスコルシ』
 八 マキアヴェリと宗教

第七章 ホッブス
 一 百年の混乱とホッブスの野心
 二 近代国家の諸要素
 三 ホッブスの科学的世界観
 四 ホッブスの自然観
 五 自然状態からの脱却 ―― 自然法・信約・時間
 六 ホッブスの代表理論
 七 ホッブスの自由論
 八 ホッブスのイデオロギー的試み

第八章 ロック
 一 革新的にして敬虔なるジョン・ロック
 二 ロックの神学的パラダイム
 三 ロックの自然状態と政治社会
 四 ロックに関する仮説の提示 ―― 批判的思考のサンプル
 五 『統治二論』の検証
 六 ロックにおける約束・時間・自由 ―― ホッブスとの対話

第九章 ルソー
 一 稀代の人気者の理想と現実
 二 『学問芸術論』と『人間不平等起原論』
 三 『社会契約論』
  政治的権威の正当性
  一般意思と強制的自由
  立法者
  なぜ抵抗権は不要なのか
  独裁官
 四 徳と人間性の両立
 五 ルソーにおける時間・約束・自然法

第一〇章 その後
 一 フランス革命 ―― 人民主権を求めた苦闘の果て
  人権宣言
  一七九一年憲法
  ジャコバン派の台頭
  Moral transformation の合理的および非合理的試み
  デモクラシーのアポリア
 二 現代のデモクラシー
  コスモスの多元化
  現在主義
  デモクラシーのために


あとがき
索引 巻末


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