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実効的権利保護のあり方比較民事手続法研究

比較民事手続法研究 実効的権利保護のあり方

A5判 352ページ 上製
価格:8,250円 (消費税:750円)
ISBN978-4-7664-2347-1 C3032
奥付の初版発行年月:2016年06月 / 発売日:2016年06月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

▼比較法的手法から最新証拠法の問題に挑む。

民事裁判における秘密保護手続、専門訴訟における証明問題とその周辺における証拠法の問題、EUの民事訴訟における証拠の取扱い、ドイツやオーストリアの新仲裁法というテーマついて、判例に素材を求め、裁判に現れた具体例を取り上げながら、抽象論よりも実務上の議論に焦点を当て、わが国の同種問題の解決策を導く。


どのようにして、手続原則を維持しながら実効的な権利保護を実現し、これを促進すべきか。
母法国であるドイツの民事証拠法を中心とし、スイス、オーストリアといった周辺国や欧州連合(EU)を対象として、比較法的な観点から、主として民事証拠法に関する諸問題を検討する。
民事裁判における秘密保護手続、専門訴訟における証明問題とその周辺における証拠法の問題、EUの民事訴訟における証拠の取扱い、ドイツまたオーストリアの新たな仲裁法をテーマとして、民事裁判をめぐって、実務において取り上げられた問題について判例に則して眺め、わが国の同種の問題に対処する。

著者プロフィール

春日 偉知郎(カスガ イチロウ)

春日 偉知郎(かすが いちろう)
関西大学大学院法務研究科教授。
前慶應義塾大学大学院法務研究科教授。筑波大学名誉教授。
専門:民事訴訟法・国際民事手続法。
1949年新潟県上越市にて出生。1977年一橋大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)(一橋大学)。その後、獨協大学法学部専任講師、同助教授を経て、1983年筑波大学社会科学系助教授、1992年同教授。2004年慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)教授。2014年4月から関西大学大学院法務研究科(法科大学院)教授。
司法試験考査委員(民事訴訟法担当、1995­2004年)、内閣司法制度改革推進本部労働検討会委員(2001-2004年)、厚生労働省中央労働委員会公益委員(2008-2013年)などを歴任。

主要著書として、
『民事証拠法研究 ―― 証拠の収集・提出と証明責任』(有斐閣、1991年)
『民事証拠法論集 ―― 情報開示・証拠収集と事案の解明』(有斐閣、1995年)
『民事証拠法論 ―― 民事裁判における事案解明』(商事法務、2009年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 ―― 全体の鳥瞰

第1章 民事裁判における秘密保護の新たな展開
―― ドイツ法における模索とわが法への示唆
 Ⅰ わが国におけるインカメラ手続と秘密保護をめぐる課題
 Ⅱ ドイツの知的財産関係訴訟におけるインカメラ手続なき秘密保護
 Ⅲ ドイツの行政訴訟におけるインカメラ手続
 Ⅳ 実務に対する学説の反応の一端とインカメラ手続(秘密保護手続)
   の理論的基盤
 Ⅴ わが国におけるインカメラ手続との対比と将来の方向
 補 論

第2章 ドイツにおける行政庁の文書提出義務とその審理
―― 行政裁判所法におけるインカメラ手続を中心として
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ ドイツ行政裁判所法における文書提出義務の規律
 ―― 民事訴訟法との比較を交えて
 Ⅲ 行政庁が所持する文書の提出義務(ドイツ行政裁判所法99条1項)
 Ⅳ インカメラ手続の形成と展開(ドイツ行政裁判所法99条2項)
 Ⅴ むすびに代えて

第3章 スイス連邦民事訴訟法における証拠調べと秘密保護をめぐる規律
―― 証拠調べと秘密保護をめぐる規律
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ スイス連邦民事訴訟法典と証拠法
 Ⅲ 原則としての協力義務
 Ⅳ 拒絶権 ―― 協力義務からの除外
 Ⅴ 証拠調べにおける秘密保護措置(民訴法156条)
 Ⅵ 銀行秘密について ―― 刑事事件との関連も含めて
 Ⅶ むすび

第4章 独立証拠手続の機能
―― 判例からみた「訴訟前の解明に係る法的利益」
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 問題の所在と判例の対応
 Ⅲ 先例とその背景および学説の現況
 Ⅳ 【連邦通常裁判所2013年決定】の評価
 Ⅴ むすびに代えて――わが国における提訴前の証拠収集の処分(民訴
   法132条の4以下)への示唆

第5章 医師責任訴訟における法律上の推定規定の意義
―― ドイツ民法630h条の推定規定を契機として
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 推定規定の一般的理解と推定規定の創設可能性
 Ⅲ 診察上の過誤および説明上の瑕疵に起因する医師の責任に関する証
   明責任とドイツ民法630h条の推定規定
 Ⅳ 民法630h条のバックグラウンド
 ―― 推定規定の創設基盤としての判例による法形成
 Ⅴ ドイツ民法630h条各項の推定規定の具体的内容
 Ⅵ まとめ――推定規定に対する1つの評価
 補 論

第6章 弁護士責任訴訟における証明問題への対応
 ―― ドイツ連邦通常裁判所の判例に則して
 Ⅰ 問題の所在
 Ⅱ ドイツの弁護士責任訴訟における責任要件とその主張・説明責任の
   概要
 Ⅲ 弁護士の義務違反をめぐる主張・証明責任
 Ⅳ 義務違反と損害との間の因果関係をめぐる主張・説明責任
 Ⅴ 他の要件等をめぐる主張・説明責任
 Ⅵ むすびに代えて

第7章 証拠法の国際調和
―― 現在の試みと将来に向けた試み
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 先駆けとしての『IBA・国際商事仲裁証拠手続規則』
 Ⅲ 『ALI / UNIDROIT・国際民事訴訟原則』における証拠法の国際調
   和
 Ⅳ 評価と展望

第8章 欧州連合(EU)における民事手続法の基本構造
―― 全体の枠組みと各規則の要点
 Ⅰ 基本問題の所在とEU民事手続規則の考察の必要性
 Ⅱ EU域内における民事・商事事件
 Ⅲ EUにおける民事手続の協力を支える思想
 Ⅳ 各規則の内容
 Ⅴ むすび

第9章 欧州連合(EU)における民事司法の最前線
―― EU証拠規則をめぐるEU裁判所の先決裁定
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ EU証拠規則をめぐる問題の所在とその背景
 Ⅲ EU裁判所2012年9月6日判決
 Ⅳ EU証拠規則をめぐる学説との連続性
 Ⅴ その後のもう1つの判決――EU裁判所2013年2月21日判決
 Ⅵ むすびに代えて

第10章 ドイツ仲裁法とその波及
―― 暫定措置・保全措置をめぐるオーストリア新仲裁法との比較
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ ドイツ民事訴訟法1041条とオーストリア民事訴訟法593条
 Ⅲ 暫定措置・保全措置の具体的内容
 Ⅳ 仲裁廷における発令手続
 Ⅴ 裁判所による執行手続
 Ⅵ その他の問題
 Ⅶ むすび ―― わが国の仲裁法における暫定措置・保全措置の行方

第11章 「オーストリア新仲裁法」について
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ オーストリア新仲裁法の成立の経緯と基本的な枠組み
 Ⅲ 総 則
 Ⅳ 仲裁合意
 Ⅴ 仲裁廷の権限
 Ⅵ 仲裁手続
 Ⅶ 仲裁判断と仲裁手続の終了
 Ⅷ むすび

初出一覧

索引(事項・判例・条文)


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