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財政学から見た租税構造と導入過程環境税の日独比較

環境税の日独比較 財政学から見た租税構造と導入過程

A5判 234ページ 上製
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-7664-2380-8 C3033
奥付の初版発行年月:2016年11月 / 発売日:2016年11月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

日独の環境税の制度に着目し、その歴史的経緯や政治過程を丹念に繙くとともに、産業への影響を定量的に分析。
「望ましい税制とは何か」をゴールに据え、これからの日本の財政を考える。

著者プロフィール

佐藤 一光(サトウ カズアキ)

内閣府計量分析室。
慶應義塾大学大学院経済学研究科修了。博士(経済学)。慶應義塾大学経済学部助教を経て、2016年より現職。専門は財政学。
主な業績:「環境・エネルギー問題による財政の変化」井手英策編著『日本財政の現代1 ―― 土建国家の時代 1960~85年』有斐閣、2014;「環境と財政のパースペクティブ」小西千砂夫編著『日本財政の現代史3 ―― 構造改革とその行き詰まり 2001年~』有斐閣、2014;「なぜ東京で子育てをするのは大変なのか?―― 地方財政における制度地層の分析を通じて」饗庭伸・東京自治研究センター編『東京の制度地層 ―― 人びとの営みがつくりだしてきたもの』公人社、2015; “Input Output Analysis on Chinese Urban Mine,” in Masashi Yamamoto and Eiji Hosoda eds., The Economics of Waste Management in East Asia, Routledge, 2016ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 はじめに

第1章 環境税の租税論的再検討
 1 環境税への期待と隘路
 2 租税としての環境税
 3 税制改革の政治的受容性
 4 本書の構成

第2章 炭素・エネルギー税の日独制度比較
 1 ドイツ・エコロジー税制改革の制度構造
  1.1 ドイツ・エコロジー税制改革の概要
  1.2 エコ税改革の位置づけ――エコロジー的近代化と年金財源
 2 日本における地球温暖化対策税
 3 日独の制度比較
 4 産業連関分析を用いた制度の評価
  4.1 産業連関分析の手順
  4.2 産業連関モデル
 5 ドイツ・エコ税の推計結果
  5.1 ドイツ・エコ税におけるエネルギー利用量と税収
  5.2 ドイツ・エコ税の産業別価格上昇率
 6 日本・地球温暖化対策のための税の推計結果
 7 小括
 第2章補論 ドイツ・エコ税における家計の負担

第3章 日本における環境税の導入過程
 1 地球温暖化対策のための税の歴史的背景
 2 地球温暖化対策のための税の理論的背景
 3 地球温暖化対策のための税の導入経緯

第4章 ドイツ・エコ税改革前史
 1 鉱油税と交通政策支出の歴史の概観
  1.1 鉱油税の誕生
  1.2 鉱油税の交通政策目的税化
  1.3 鉱油税の一般財源への揺り戻しとドイツ再統一
  1.4 赤緑政権の誕生とエコロジー税制改革
 2 鉱油税の補助金財源から一般財源化への道のり
  2.1 補助金財源としての鉱油税
  2.2 ドイツ再統一に伴う鉱油税の一般財源化
 3 小括
 第4章補論 ドイツ・財政調整と鉱油税
  補.1 統一ドイツにおける財政調整の形成過程
  補.2 交通支出の安定期における州間配分
  補.3 ドイツ財政調整と鉱油税

第5章 エコ税改革と「公平性」
 1 エコロジー税制改革の導入法を巡る議論
   ――エコ税負担と第二の配当
  1.1 年金構造と受益の不均衡
  1.2 農業者軽課への道筋
     ――農業者老齢年金、EU共通農業政策と東西格差
  1.3 低所得者対策、非所得基準の限界と環境交通政策
  1.4 僅少労働者と年金改革
  1.5 軽減税率の理論的検討
 2 エコ税改革の継続法と地域間の「公平性」
  2.1 継続法の特徴
  2.2 連邦参議院での継続法を巡る論点
  2.3 新旧連邦州における受益の不均衡
  2.4 旧連邦州からの反発と公共事業の行方
 3 小括

第6章 エコ税改革と財政再建
 1 第二次シュレーダー政権の置かれた政治的分脈
  1.1 雇用政策の失敗と新しい労働市場政策
  1.2 継続期に入る環境・エネルギー政策
 2 エコロジー税制改革の発展と終結
  2.1 「エコロジー税制改革のさらなる発展に関する法律」の構造
  2.2 発展法の成立に際しての政治的議論
 3 発展法の成立に集約される第一次シュレーダー政権の政策評価
  3.1 環境・エネルギー政策の成功と雇用政策の失敗
  3.2 第一次シュレーダー政権における税制改革の全体像
  3.3 エコロジー税制改革の租税論的評価
 4 小括

第7章 フィードインタリフの財政学的分析
 1 ドイツにおける環境・エネルギー政策の体系
 2 再生可能エネルギー法(EEG)の財政学的位置づけ
 3 繰り返される歴史
  3.1 コールペニヒの廃止
  3.2 電力供給法における同様の問題
  3.3 EEGにおける問題の再燃
 4 小括

第8章 ポスト・地球温暖化対策税のために
 1 日独エネルギー税制の形成過程の比較
 2 結語

 あとがき
 重要語索引


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