世界を読み解く一冊の本
西遊記 妖怪たちのカーニヴァル
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-7664-2556-7 C0300
奥付の初版発行年月:2019年02月 / 発売日:2019年02月下旬
▼シリーズ「世界を読み解く一冊の本」(全10巻)、第三弾。
▼映画やマンガにリメイクされつづける『西遊記』は子ども向けの本ではない?
長大な物語のあらすじを追いながら、中国の誇る〈神怪小説〉のなりたちと伝播を、妖怪たちの目線から語りつくす。
西天取経の旅とともに、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎがはじまる!
武田 雅哉(タケダ マサヤ)
北海道大学文学部教授。中国文学専攻。
北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。主な著書に、『中国のマンガ〈連環画〉の世界』(平凡社、2017)、『中国飛翔文学誌』(人文書院、2017)などがある。
目次
序 『西遊記』は子供に読ませるな!
Ⅰ 『西遊記』はどんな本か
『西遊記』三大トリビア
『西遊記』を飛ばし読みする
『西遊記』ができるまで
玄奘三蔵の大旅行
『大唐西域記』(だいとうさいいきき)
『大唐大慈恩寺三蔵法師伝』(だいとうだいじおんじさんぞうほうしで
ん)
西天取経を描いた図像資料
『大唐三蔵取経詩話』(だいとうさんぞうしゆきようしわ)――物語ら
れる三蔵法師
『取経詩話』はどんなおはなしか
『大唐三蔵取経詩話』のなかの『西遊記』
モンゴル時代の『西遊記』
明代『西遊記』の完成――世徳堂本と李卓吾(りたくご)本
全ページ挿し絵入りの短い『西遊記』
清代のすっきりした『西遊記』
朱八戒から猪八戒へ
きまぐれ皇帝のブタ肉抜きメニュー
改姓への力学
海を渡る三蔵たち
通俗小説の作者
『西遊記』はだれが書いたのか
こころもとない呉承恩作者説
Ⅱ 妖怪たちのカーニヴァル
『西遊記』はどう読まれてきたか
『西遊記』はどうして進む?
三蔵の肉が食いたい!――妖怪たちの証言
食材としての三蔵法師
妖怪たちのレシピ――三蔵法師の料理法
食いしん坊はだれ?
食か色か
人の肉を食らうこと
腹がへっては……
宴会が大好き
饒舌と羅列のエネルギー
カギは八戒にあり?
食ったら出す――世界は〈うんこ〉であふれている
巨人たちと『西遊記』
サンチョ・パンサと猪八戒
聖者を引きずりおろす
人は見た目がだいじ?
おそまつな顔をめぐる議論
Ⅲ ゆれる『西遊記』・ふくらむ『西遊記』
神怪小説の隆盛
神怪小説の筆を執る文人たち
『封神演義』(ほうしんえんぎ)の誕生
阿呆船(あほうぶね)、地獄へ――『西洋記』
『西遊記』の続書の世界
清末の『西遊記』続書
アニメやら絵本やら
社会主義的『西遊記』論
『孫悟空、三たび白骨精を打つ』を学習せよ
連環画(れんかんが)の『西遊記』
文化大革命と〈妖怪〉退治
童恩正『西遊新記』――〈文革〉から〈六四〉へ
八戒故郷の伝説
英語圏における『西遊記』
三蔵の表象
弟子たちも色いろ
ひとつの怪物論――サイのテーマ
ゾウを想え!
『西遊記』はどのようにして終わるか
八戒いじめのテーマ?
『西遊記』よ、どこへ行く?
注
参考文献
あとがき