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近代の〈女らしさ〉と〈男らしさ〉逸脱の文化史

逸脱の文化史 近代の〈女らしさ〉と〈男らしさ〉

四六判 244ページ 上製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-2592-5 C0022
奥付の初版発行年月:2019年04月 / 発売日:2019年04月上旬

内容紹介

自由を求めて欲望のままに生きた「逸脱者」たち

独身、同性愛、フェティシズム、サド=マゾヒズム……
激動の近代、既存の枠組みに収まらない人々はどう生きたのか?

逸脱にはさまざまな形が存在する。規範があるから逸脱があり、規範がなければ逸脱も存在しない。逆に逸脱の多様性は、社会を規定する明示的、あるいは暗黙の規範を浮き彫りにする。近代フランスの社会は、男女の身体、情動、欲望をめぐってどのような規範を課し、逸脱はどのように表象されたのか? 小説、自伝、日記、医学書、性科学の啓蒙書などの言説をつうじて読み解いていく。

著者プロフィール

小倉 孝誠(オグラ コウセイ)

1956年生まれ。パリ・ソルボンヌ大学文学博士。慶應義塾大学文学部教授。専門は、近代フランスの文学と文化史。著書に、『愛の情景』(中央公論新社、2011年)、『恋するフランス文学』(慶應義塾大学出版会、2012年)、『革命と反動の図像学』(白水社、2014年)、『写真家ナダール』(中央公論新社、2016年)、『ゾラと近代フランス』(白水社、2017年)など。訳書に、フローベール『紋切型辞典』(岩波文庫、2000年)、ユゴー『死刑囚最後の日』(光文社古典新訳文庫、2018年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに  
 規範と抵抗/逸脱と病理の位置づけ/本書の構成
 
 第Ⅰ部 女たち

第一章 若い娘たちの表象──魂から身体へ  
 「若い娘」という形象/「夢の女」たちの系譜/夢の女から若い娘へ/
 ロマン主義時代の若い娘/「生理学」の言説/十九世紀末における若い
 娘の変貌――モーパッサンとグールモン/エドモン・ド・ゴンクール作
 『シェリ』の意図/若い娘の身体と病理

第二章 感応遺伝という神話  
 感応遺伝とは何か/先駆者プロスペル・リュカの著作/ミシュレと愛の
 言説/ゾラの『マドレーヌ・フェラ』/ギヨームの嫉妬と苦悩/マドレ
 ーヌと身体の宿命/救済なき原罪/世紀末文学からテレゴニーへ

第三章 逸脱した女たち  
 『ヴィーナス氏』あるいはセクシュアリティーの転倒/サディズムから
 両性具有へ/フラートする女たち/マルセル・プレヴォーの『半処女』
 /モードの選択の両義性/フラートとブルジョワ娘の反応/「ギャルソ
 ンヌ」の時代/モニックの生き方/社会現象としてのギャルソンヌ
 
 第Ⅱ部 男たち

第四章 独身者の肖像  
 人口減少の脅威/性科学が結婚を推奨する/独身者は社会の脅威であ
 る/独身者の実態とイメージ/ボヘミアンとダンディー/女の独身者
 たち/女嫌いの文学/芸術と家庭の対立

第五章 倒錯の性科学  
 倒錯という現象/同性愛者の身体/『ソドムとゴモラ』/サディズム/
 マゾヒズム――ルソー『告白』/秘められた悦楽/マゾヒズムの原型
 ――『毛皮を着たヴィーナス』/『ナナ』から『O嬢の物語』へ

第六章 フェティシズムの誘惑  
 宗教から性科学へ/ビネによるフェティシズムの分類/性科学から法医
 学へ/クラフト=エービングとフロイト/『ムッシュー・ニコラ』――
 足のフェティシズム/オクターヴ・ミルボー『ある小間使いの日記』/
 温室のエロス/髪の誘惑

第七章 変質論の系譜  
 時代の強迫観念/変質論の展開/変質とユイスマンスの『さかしま』/
 ゾラと変質論の変奏

おわりに

あとがき

索引


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