日本国憲法について、最高裁判例の分析を踏まえ、実務家の視点で、憲法理論を追求した労作。近代ヨーロッパ憲法という抽象的な理論モデルから離れ、イギリス憲政史やフランス憲法史の意義に遡りながら、違憲審査権と議会制民主主義の矛盾的契機を直視。明治憲法に対する単なる批判ではなく、その積極的意義を公正に評価することにより、日本国憲法の歴史的意義を再確認する。本書では、従来の憲法学・行政法学とは異なるアプローチを採用し、立法行為・行政行為・司法行為のそれぞれにつき、是正されるべき違憲性と、国家賠償法上の違法性とを区別する明解な分析の視点を提示する。