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米穀検査制度の展開過程植民地朝鮮の米と日本

中央大学学術図書87
植民地朝鮮の米と日本 米穀検査制度の展開過程

A5判 346ページ 上製
価格:3,850円 (消費税:350円)
ISBN978-4-8057-2183-4 C3033
奥付の初版発行年月:2015年01月 / 発売日:2015年02月上旬

内容紹介

日本の朝鮮支配において、最も執着を示したのが、「米」であった。大阪堂島の米商会所と結ばれた朝鮮の米は、市場の要請に従い、均質化・商品化の道を歩む。その主要なアクターは、米穀商人であった。彼らは自主規格としての検査制度を導入し、これは公営・官営の検査に進化してゆく。生産において権力の直接的統制を受け、流通において検査というフィルターを経た朝鮮米は、やがて日本市場において支配的な存在となっていく。本書は、朝鮮開国(1876)から光復(1945)に至るこのダイナミズムを、官民にわたる膨大な資料によりつつ跡付ける、先駆的な論考である。

著者プロフィール

李 熒娘(イ ヒョンナン)

中央大学総合政策学部教授 1954年 韓国生まれ
1976年 梨花女子大学校社会学科卒業
1982~1994年 一橋大学大学院社会学研究科修士課程及び博士課程修了

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第1章 開港から併合まで(1876~1910)
第1節 開港から日清戦争期まで(1876~1895)
第2節 日清戦後から日露戦争期まで(1895~1905)
第3節 日露戦後から「日韓併合」まで(1905~1910)
第2章 「日韓併合」と植民地農政(1910~1920)
第1節 「自主的」検査の実施
第2節 朝鮮総督府米穀検査規則の制定と部分的道営化
第3節 全国的道営化への改正(1917年)
第4節 植民地朝鮮の農政と品種改良策
第5節 道営検査制度実施の影響
第3章 武断から文治へ(1920年代)
第1節 産米増殖計画と検査の厳格化
第2節 産米増殖計画の手直しと米穀検査制度の改正
第3節 受検者
第4節 生産・流通過程の変化
第5節 日本米穀市場における朝鮮米
第6節 1920年代後期の「玄米検査等級改正」要求
第4章 昭和農業恐慌と検査の国営化(1930年代)
第1節 実施までの経緯
第2節 検査の内容と実施
第3節 国営検査実施後の日本米穀市場での朝鮮米
第4節 日中戦争の拡大と朝鮮米
第5章 籾検査の実施と展開過程
第1節 籾検査の背景
第2節 実施過程
第3節 共同販売
第4節 地主と小作
第5節 生産過程,流通過程の変化
第6節 精米業の変容
第6章 戦時体制と米穀政策の崩壊(1939~45)
第1節 戦時食糧政策の成立と玄米検査の弱化(1939~40)
第2節 増米6ヶ年計画から朝鮮食糧管理令まで(1941~43)
第3節 食糧管理令下の朝鮮米の生産と流通(1943~45)


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