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日常生活の漱石

日常生活の漱石

A5判 242ページ
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-8057-5169-5 C3095
奥付の初版発行年月:2008年12月 / 発売日:2008年12月上旬

内容紹介

かつて江藤淳は、夏目漱石の作品が時代を越えて読みつがれる理由を「彼の文章の魅力を度外視しても、生活者の語る世俗的な倫理・通俗性」に自己を一致させた点に求めている。それに同意しながら、筆者流に言い換えてみれば、作中人物の立場は、生活困窮者でも浪費家でもないが、我々誰もがそうであるように、片付かない日常性に流されながら、いつも小遣いに不足し借金がちな普通の社会人にすぎない。その位置取りは、立身出世という世知辛い現実から遊離した「余裕派」であり、長く広く一般読者をつかむ漱石の仕組んだ「低徊(ていかい)趣味の担い手」であった。本書は、明治大正の臣民社会に「一市民・夏目金之助」として生きようとした漱石の「余裕派」の生き様を垣間見ようとするものである。

著者プロフィール

黒須純一郎(クロスジュンイチロウ)

明海大学経済学部教授
著 書『イタリア社会思想史』(お茶の水書房、1997年)、「ロンドンのマッツィーニ」(宮崎揚弘「続・ヨーロッパ世界と旅」)法政大学出版局2001年第二章所収)他

上記内容は本書刊行時のものです。


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