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ブナ科植物の多様性と適応戦略どんぐりの生物学

学術選書088
どんぐりの生物学 ブナ科植物の多様性と適応戦略

四六判 322ページ
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-8140-0208-5 C1345
奥付の初版発行年月:2019年04月 / 発売日:2019年04月上旬
発行:京都大学学術出版会  
発売:京都大学学術出版会
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内容紹介

どんぐりは、ブナ科の植物が着ける果実である。ブナ科が作る森は、北半球の温帯から亜熱帯、熱帯まで様々な環境下に広がり、どんぐりの形や生態も多様性に富んでいる。本書は、古植物学や分類学、形態学、生態学など様々な側面から、どんぐりとは何か?を検証し、昆虫や動物、菌類など様々な生物と関係しながら進化してきた、その特性を明らかにする。どんぐりについて知ることは、森の生態系について知ることでもある。

著者プロフィール

原 正利(ハラ マサトシ)

1957年 東京都に生まれる
1979年 東京農工大学農学部環境保護学科卒業
1984年 東北大学大学院理学研究科生物学専攻の全課程を修了し,理学博士の学位取得.専門は森林生態学,植生学.
1986年 千葉県教育庁文化課博物館準備室に入り,県立 中央博物館の開設準備に携わる.同博物館開館(1989年)後,植物科長,環境科学研究科長,生態・環境研究 部長,分館海の博物館分館長等を経て2017年退職.この間,Ecological Research編集委員,千葉大学客員准教 授,国立歴史民俗博物館客員教授,千葉県生物学会副会長等を務める.
著書に『ブナ林の自然誌』(平凡社),『ヘイウッド花の大百科事典』(共訳,朝倉書店)など.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

口 絵
はじめに

第I章 ブナ科植物の誕生と分化
1 白亜紀後期―ブナ科植物の誕生
2 古第三紀―ブナ科植物の多様化と現生属の出現
3 新第三紀―気候の寒冷化に伴う針葉樹・落葉樹混交林の拡大とブナ科フロラの変遷
4 化石から見たどんぐりと動物との共進化
コラム1 世界最大のどんぐりは?

第II章 ブナ科植物の多様性
1 ブナ科植物の分類
2 多様性の地理的パターン
3 日本列島における多様性の特徴
4 各属の分布と分類
コラム2 奇妙などんぐり

第III章 どんぐりの形態学
1 果皮とへその構造
2 種子の構造
3 花の形
4 奇妙な受精過程
5 複雑な花序
6 送粉様式
7 子房の成長―果実へ
8 殻斗の起源
9 花序殻斗と花殻斗
10 ブナ科の系統と殻斗の進化
11 果実の散布

第IV章 ブナ科植物の芽生え
1 実生の多様性
2 地上子葉性と地下子葉性
3 実生の形態
4 発芽
5 地上茎の伸長
6 実生の初期成長戦略
コラム3 へそから根を出すどんぐり

第V章 どんぐりと昆虫
1 どんぐりと昆虫の密接な関係
2 虫えい形成昆虫
3 どんぐりを食べる鱗翅目昆虫―蛾の仲間
4 どんぐりを食べる鞘翅目昆虫―ゾウムシとキクイムシ
5 ブナ科の属ごとに見た堅果食昆虫相の特徴

第VI章 どんぐりと哺乳類・鳥類
1 分散貯蔵散布
2 物理的防御
3 化学的防御
4 タンニン
5 タンニンの影響とげっ歯類の対抗戦略
6 物理的防御と化学的防御のトレードオフ
7 堅果の散布をめぐる植物と哺乳類の戦略的駆け引き
8 マスティングと昆虫・小型哺乳類
9 どんぐりと中・大型哺乳類
10 どんぐりと鳥類
11 哺乳類や鳥類による種子散布距離
コラム4 ところ変われば大きさも変わる -どんぐりのサイズの地理的クライン-

VII章 ブナ科植物と菌類
1 病原菌
2 菌根菌
3 外生菌根菌とブナ科植物の共生
4 菌根ネットワーク
5 樹木の実生再生と菌類
6 植生における“科の優占”と菌類

第VIII章 ブナ科植物の分布と植生
1 ブナ科植物と植生群系
2 南アジアの熱帯におけるブナ科植物の植物地理
3 タイ北部インタノン山における植生の垂直分布
4 タイ北部インタノン山におけるブナ科植物の垂直分布
5 ボルネオ島の植生
6 ボルネオ島におけるブナ科植物の垂直分布
コラム5 南西諸島の森とブナ科の植物

用語解説
引用文献
索 引


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