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中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成大分岐

大分岐 中国、ヨーロッパ、そして近代世界経済の形成

A5判 448ページ 上製
価格:6,050円 (消費税:550円)
ISBN978-4-8158-0808-2 C3022
奥付の初版発行年月:2015年05月 / 発売日:2015年05月下旬

内容紹介

驚くほど似ていた一つの世界 ——。東アジアでも西ヨーロッパでも、発達した市場経済は生態環境の制約に直面していた。なぜ西欧だけが大きく分岐していったのか。今日にいたる世界経済の根源的な謎を明らかにし、新しい歴史像を提示したグローバルヒストリーの代表作、遂に邦訳。

著者プロフィール

K・ポメランツ(ポメランツ,K.(ケネス))

1958年生まれ、1988年にイェール大学より博士号取得、カリフォルニア大学 (アーバイン校) 教授を経て、現在シカゴ大学教授。本書 『大分岐』 によりジョン・K・フェアバンク賞、世界歴史学会著作賞を受賞。ほかにThe Making of a Hinterland ; The World that Trade Created (共著、邦訳 『グローバル経済の誕生』 筑摩書房) などの著作がある。2013-14年にアメリカ歴史学会会長を務める。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

日本語版への序文

序 章 ヨーロッパ経済発展のさまざまな比較、説明、叙述
      さまざまなヨーロッパ中心史観 —— 人口、エコロジー、資本蓄積
      他のヨーロッパ中心史観 —— 市場、企業、組織
      ヨーロッパ中心史観の諸問題
      より包括的なストーリーの提起
      比較、説明、そして議論の構造
      地理的範囲についての覚え書き

  第Ⅰ部 驚くほど似ていた、ひとつの世界

第1章 ヨーロッパはアジアよりも早く発展したか —— 人口、資本蓄積、技術
      農業、輸送、そして資本としての家畜
      ヨーロッパ人は長生きで、豊かだったのか
      出生率
      資本蓄積に差異はあったか
      技術に差異はあったか

第2章 ヨーロッパとアジアにおける市場経済
      中国と西ヨーロッパにおける土地市場と土地利用への規制
      労働の制度
      移民、市場、制度
      農産物市場
      農村工業と副業
      中国とヨーロッパにおける家内労働 —— 「インヴォリューション」 と 「勤勉革命」
      第Ⅰ部の結論 —— 近代世界経済における多様な核と共通する制約

  第Ⅱ部 新たな経済は新たな精神から生まれるのか?
         —— 消費、投資、そして資本主義

はじめに

第3章 奢侈的消費と資本主義の勃興
      より一般的であった奢侈品とそれほど一般的でなかった奢侈品
      近世ヨーロッパとアジアにおける日常生活に用いる奢侈品と民衆の消費
      耐久消費財とぜいたくの 「即物化」
      エキゾティックな商品と流行の速さ —— グローバルな複合状況と文化に基づく
                              経済的差異の出現
      奢侈品の需要、社会システム、資本主義的企業

第4章 見える手
       —— ヨーロッパとアジアにおける企業構造、社会・政治構造、「資本主義」
      海外からの富の搾取と資本蓄積 —— ウィリアムズ・テーゼ再考
      衒示的なものの重要性 —— 奢侈需要、資本主義、新世界の植民地化
      国家間競争、暴力、国家システム —— いかに重要ではなかったか、いかに重要で
                              あったか
      第Ⅱ部の結論 類似点の重要性 —— そして相違点の重要性も

  第Ⅲ部 スミスとマルサスを超えて
         —— 生態環境の制約から工業の持続的な成長へ

第5章 共通の制約 —— 西ヨーロッパと東アジアにおける生態環境の重圧
      中国における森林破壊と土壌の消耗 —— ヨーロッパとの比較研究
      旧世界における「周辺」との、資源のための貿易
        —— 疑似マルサス的問題に対するスミス的解決の共通パターンと限界

第6章 土地の制約を外す —— 新しいかたちの周辺としての南北アメリカ
      もうひとつの新世界、もうひとつの 「思いがけない授かり物」—— 貴金属
      生態環境上の救済の方途 —— 産業革命時代のイギリス
      比較と計算 —— 数字の意味するもの
      数字では表せないもの
      工業化時代の世界へ
      最後の比較 —— 労働集約度・資源・工業の 「成熟」

補論A 1人当たり陸上輸送能力の推計
       —— 1800年前後のドイツと北インドを事例として

補論B 18世紀末の中国北部とヨーロッパにおける施肥推計
       —— およびその結果としての窒素流出量の比較

補論C フランス、嶺南、および一部の中国北部の森林と燃料供給の推計
       —— 1700年から1850年まで

補論D イギリスへの商品輸入がもたらした 「幻の耕地」 の推計
       —— 18世紀末と19世紀初め

補論E 中国長江下流域農村における織物労働者の稼得能力推計
       —— 1750年から1840年まで

補論F 1750年とそれ以降における、長江下流域および中国全体としての棉花生産と
     生糸生産の推計
       —— 連合王国、フランス、ドイツとの比較とともに

訳者あとがき


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