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もう一つの明治文学史変革する文体

変革する文体 もう一つの明治文学史

A5判 358ページ 上製
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-1108-2 C3095
奥付の初版発行年月:2022年12月 / 発売日:2022年12月下旬

内容紹介

新たな文体は
新たな社会を
つくる

小説中心主義を脱し、政論・史論から翻訳・哲学まで、徳富蘇峰を起点にして近代の「文」の歩みを辿りなおし、新興の洋文脈と在来の和文脈・漢文脈の交錯から、それまでにない人間・社会像や討議空間が形づくられる道程をつぶさに描いた意欲作。

著者プロフィール

木村 洋(キムラ ヒロシ)

1981年 兵庫県に生まれる
2004年 神戸大学文学部卒業
2010年 神戸大学大学院人文学研究科博士後期課程修了
熊本県立大学文学部准教授などを経て
現 在 上智大学文学部准教授、博士(文学)

主著:
『文学熱の時代――慷慨から煩悶へ』(名古屋大学出版会、2015年、サントリー学芸賞)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡例

序 章 徳富蘇峰という始点
     1 精神的開国の始まり
     2 文学者としての徳富蘇峰
     3 文は道を載るの器なり
     4 本書の内容
     5 表現欲の履歴

  第I部 精神的開国

第1章 徳富蘇峰の出発
     1 はじめに
     2 キリスト教、コブデン、ブライト
     3 福沢諭吉と徳富蘇峰
     4 『将来之日本』
     5 帝都の大家へ

第2章 徳富蘇峰の思想と文体
     1 はじめに
     2 平民主義の展開
     3 欧文直訳体
     4 故郷の発見
     5 宮崎湖処子『帰省』
     6 山林に自由存す

第3章 徳富蘇峰の人物論
     1 はじめに
     2 「ジヨン、ブライト」と『人物管見』
     3 解剖への自覚
     4 『吉田松陰』
     5 星野天知と北村透谷
     6 徳富蘇峰の相続人たち

  第II部 文学者の顔と政治家の顔

第4章 ポヱチカルな俗語
     1 はじめに
     2 二葉亭四迷の文体実験
     3 平民主義と俗語
     4 内田魯庵訳『罪と罰』
     5 山路愛山の史論
     6 19世紀末の討議空間

第5章 社会の罪を暴く
     1 はじめに
     2 徳富蘇峰と森田思軒
     3 ユゴーへの賛同
     4 樋口一葉「にごりえ」
     5 娼婦小説の流行
     6 写実主義の改訂版

第6章 移譲される風景論
     1 はじめに
     2 志賀重昴と徳富蘇峰
     3 『日本風景論』
     4 美意識の動員
     5 文学青年たちの風景論
     6 新思想の移譲

第7章 文明史から文学史へ
     1 はじめに
     2 文明史の輸入
     3 文学史の勃興
     4 排斥される慷慨
     5 偉人化する文学者
     6 人心の共同研究

  第III部 成長する不健全

第8章 深刻の季節
     1 はじめに
     2 懐疑する泉鏡花
     3 変貌する尾崎紅葉
     4 告白する国木田独歩
     5 心の革命

第9章 群生する人生観
     1 はじめに
     2 北村透谷の厭世
     3 人物論型の文学研究
     4 高山樗牛の本能
     5 自然主義隆盛期
     6 知識人の使い道

第10章 女哲学者、平塚らいてう
     1 はじめに
     2 小説と哲学の協力
     3 極大の時空間
     4 小栗風葉「さめたる女」
     5 森田草平『煤煙』
     6 思想先づ動きて動作生ず

第11章 煽動する告白
     1 はじめに
     2 自然主義文壇の告白
     3 『青鞜』と田村俊子
     4 平塚らいてうの共同生活
     5 私的なものの擁護

終 章 文の明治史
     1 青年を育てる
     2 討議空間を作り直す

  あとがき
  初出一覧
  図版一覧
  索引


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