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規律の棚上げと遵守の対立をこえて財政規律とマクロ経済

財政規律とマクロ経済 規律の棚上げと遵守の対立をこえて

A5判 468ページ 上製
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-8158-1136-5 C3033
奥付の初版発行年月:2023年10月 / 発売日:2023年10月中旬

内容紹介

日本経済の進む隘路を照らす
現状をどのように考えればよいのか、この先どうなるのか。過去30年間に陥った不可思議な均衡とその行方を初めて包括的に解明。戦中・敗戦直後の経験も踏まえた透徹した分析から、危機対応の方針を含め、政府・日銀のすべきこと/してはいけないことを明確に提示する。

著者プロフィール

齊藤 誠(サイトウ マコト)

1960年愛知県生まれ。1983年京都大学経済学部卒業。1992年マサチューセッツ工科大学経済学部博士課程修了(Ph.D.)。住友信託銀行調査部、ブリティッシュコロンビア大学経済学部助教授、京都大学経済学部助教授、大阪大学経済学研究科助教授、一橋大学経済学研究科教授などを経て、2019年より名古屋大学大学院経済学研究科教授。
日本経済学会・石川賞(2007年)、全国銀行学術研究振興財団賞(2010年)、紫綬褒章(2014年春)。

著書
『新しいマクロ経済学』(有斐閣、1996年、新版2006年)
『金融技術の考え方・使い方』(有斐閣、2000年、日経・経済図書文化賞)
『資産価値とマクロ経済』(日本経済新聞出版社、2007年、毎日新聞社エコノミスト賞)
『原発危機の経済学』(日本評論社、2011年、石橋湛山賞)
『震災復興の政治経済学』(日本評論社、2015年)
『危機の領域』(勁草書房、2018年)
Strong Money Demand in Financing War and Peace(Springer, 2021年)他

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章
 1 財政規律棚上げという厄介な事態
 2 予知・予言に関する財政規律棚上げ派と財政規律重視派の対立
 3 財政規律をめぐるマクロ経済学
 4 政策提言のジレンマ
 5 危機対応マニュアルの必要性
 6 戦中・敗戦直後を振り返って
 7 物価高と金利高のグローバルな環境に直面する日本政府の「借りっぱなし」
 8 本書のスタイル

第1章 1990年代以降の日本の財政金融政策
 1 日本経済の景気循環
 2 政府債務の動向
 3 物価の動向
 4 金利の動向
 5 政府債務をめぐる政府、日銀、銀行、家計とのやり取り
 6 日本経済の超過供給・過少需要の下での積極的な財政金融政策

第2章 マクロ経済学から見た財政規律
 1 モダンなマクロ経済モデルにおいて忘れ去られたこと(その1)
 2 モダンなマクロ経済モデルにおいて忘れ去られたこと(その2)
 3 不均衡分析からの視点
    —— 財・労働市場の過少需要と国債・貨幣市場の超過需要
 4 財政規律を棚上げにしたマクロ経済をモデル化する試み
    —— 政府の「借りっぱなし」と家計の「貸しっぱなし」

第3章 戦中・敗戦直後の財政金融政策
      —— 国債と貨幣への旺盛な需要が突然消滅した経験
 1 なぜ、戦中・敗戦直後なのか
 2 戦中における闇市場からの旺盛な貨幣需要
    —— 経済統制期の国民所得統計の謎をめぐって
 3 太平洋戦争期における占領地の発券銀行・中央銀行による錬金術

第4章 財政規律棚上げレジームから財政規律遵守レジームへ
 1 本章の問題意識
 2 理論モデルによって説明すべき「これまで」と予測すべき「これから」
 3 理論モデルの構造
 4 理論モデルによって説明する「これまで」と予測する「これから」
 5 本章をどのように咀嚼すべきなのか
    —— ハイパーインフレを未然に防ぐために

第5章 政府の「借りっぱなし」と家計の「貸しっぱなし」の解消
      —— 私たちの新しい出発点とするために
 1 海外から見た政府の「借りっぱなし」と家計の「貸しっぱなし」
 2 2020年代の海外情勢と日本経済 —— 海外物価を基準とした強烈なデフレ圧力
 3 財政規律棚上げレジームから財政規律遵守レジームへスイッチした場合のインパクト
 4 日本経済の再出発のために

補論A 財・労働市場の過少需要と国債・貨幣市場の超過需要の関係について
補論B 統合政府の生涯予算制約と家計の生涯予算制約の関係
補論C 実物資産が存在する場合の統合政府と家計の生涯予算制約
補論D 1945年の名目GNEの推計
補論E 公定価格と闇価格が併存する場合の国民所得統計
補論F 財政規律棚上げレジームから財政規律遵守レジームへのスイッチを考慮した貨幣
    経済モデル
補論G フィッシャー方程式の一般化
補論H シミュレーションの前提
補論I GDPデフレーターと国内物価との関係
補論J 長期金利の平価関係、実質金利の平価関係
補論K 通貨・為替スワップの仕組み

 参考文献
 あとがき
 索 引


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