大学出版部協会

 

戦前から現代まで日本の国連外交

日本の国連外交 戦前から現代まで

潘 亮:著
A5判 806ページ 上製
価格:9,900円 (消費税:900円)
ISBN978-4-8158-1148-8 C3031
奥付の初版発行年月:2024年02月 / 発売日:2024年03月中旬

内容紹介

時代やテーマによる分断をこえ、複雑多岐にわたる国連外交の軌跡を一貫した視座で把握。連盟以降の国際秩序をめぐる構想から、「東西の架け橋」役や紛争調停の実態、組織運営・予算・PKOへの貢献まで、冷戦や国内世論といった文脈も含めトータルに論じ尽くす、未到の通史。二国間外交だけでは見えてこない、もうひとつの日本の姿を浮き彫りにする。

著者プロフィール

潘 亮(ハン リョウ)

1971年生
1993年 上海大学日本語学部卒業
2000年 筑波大学大学院国際政治経済学研究科博士課程修了
2000年 米国ハーバード大学ライシャワー日本研究所ポストドクトラルフェロー
日本学術振興会外国人特別研究員、筑波大学人文社会科学研究科専任講師を経て、
現 在 筑波大学人文社会系教授、博士(国際政治経済学)
著書:
The United Nations in Japan's Foreign and Security Policymaking, 1945-1992(Harvard University Asia Center / Harvard University Press, 2006)、『池田・佐藤政権期の日本外交』(共著、ミネルヴァ書房、2004年)、『日本の外交 第2巻 外交史 戦後編』(共著、岩波書店、2013年)、『グローバル・ガバナンスと日本』(共著、中央公論新社、2013年)、Internationalism: A Twentieth-Century History(共著、Cambridge University Press, 2016)他

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 凡 例

序 章 なぜ日本の国連外交か
      —— 歴史的経路から探る

  第Ⅰ部 国連外交前史 1933~56年

第1章 新たな世界秩序と国際組織
      —— 戦前・戦時中の模索
     1 回帰か、創出か
     2 連盟との決別をめぐる最後の攻防
     3 「新秩序」と国際組織
     4 地域組織から地域中心の世界組織へ
     5 国連構想と日本の対応

第2章 占領下の対外政策立案と国連
      —— 実態のともなわない外交・安全保障論議の中で
     1 終戦直後の国連擁護論
     2 国連抜きの外交ビジョン
     3 憲法改正と国連論議の変容
     4 国連中心の安全保障政策の虚実
     5 講和・安保論争および朝鮮戦争と国連
     6 安保中心から「国連本位」の国連政策へ
     7 初期の国連加盟論議

第3章 国連加盟
      —— 国際社会への復帰を目指して
     1 早期加盟の挫折
     2 幻の準加盟案
     3 一括加盟の失敗
     4 AAグループへの仲間入り
     5 加盟工作総仕上げの舞台裏
     6 「国連外交」の始動に向けて

  第Ⅱ部 国連外交の形成 1956~60年

第4章 華麗なるデビューの光と影
      —— 2つの「東西」紛争に直面して
     1 米ソ直接対決事案をめぐる外交
     2 対AA国連外交の登場
     3 冷戦型AA地域紛争と国連外交
     4 AA穏健派リーダーとしての是々非々路線と国連外交
     5 二国間関係優先志向の芽生え

第5章 初期国連外交の舞台裏
      —— 地位、貢献、国内政治
     1 名誉ある地位の獲得と選挙
     2 憲章改正の模索
     3 カネと人による国連貢献のジレンマ
     4 安全保障・外交政策をめぐる国内政治と国連

  第Ⅲ部 国連外交の進展と変容 1960~78年

第6章 冷戦変動期の国連外交
      —— デタント・多極化の時代における模索
     1 現実的な国連認識の深化
     2 鈍化する軍縮外交
     3 アジアの冷戦と国連外交
     4 冷戦の論理と一線を画す国連外交

第7章 新興国の台頭と国連外交
      ——「穏健派」AA大国の葛藤
     1 是々非々主義の動揺
     2 良き仲介役の努力と苦悩
     3 中東紛争をめぐる国連外交の迷走
     4 植民地独立問題をめぐる国連内の攻防
     5 国連における対アフリカ外交の混迷

第8章 「大国」外交の地歩を固めて
      —— 国連内外の進展と課題
     1 国連システムの「最高峰」に向かって
     2 非常任理事国選出「常態化」戦術の挫折
     3 大口貢献者か、「ケチな多額納税者」か
     4 悩み深き人的貢献
     5 野党の安全保障構想と国連
     6 国連外交をめぐる政策と世論の乖離

  第Ⅳ部 新時代に備える国連外交 1978~89年

第9章 東西冷戦の変容と国連外交
      ——「新冷戦」から「ポスト冷戦」へ
     1 変革期の国連認識
       ——「政治的役割」の追求と「国際協力構想」
     2 「均衡」重視の軍縮外交の継続
     3 朝鮮半島問題をめぐる抑制的な「代理人外交」
     4 アフガニスタン紛争解決への関与
       —— 平和の創出と維持をめぐる協力
     5 カンボジア紛争と和平への関与
       ——「脇役」から「主役」へ

第10章 地域紛争の尖鋭化と国連外交
      —— 既定路線の踏襲から主体性の発揮へ
     1 アジア・中東の懸案をめぐる国連審議と日本
     2 アフリカの懸案をめぐる従来路線の維持と強行
     3 新たな地域紛争と国連外交の新展開

第11章 国連に「貢献」する大国像の模索
      —— 地位優先より実績優先へ
     1 国連改革をめぐる現実路線の形成
     2 人的協力の限界と進展
     3 国連行財政危機と日本のリーダーシップの芽生え
     4 国内環境の変容

終 章 戦後日本外交における国連
      —— 多国間外交のダイナミクスを再考する
     1 調整装置としての国連
     2 外交の「場」としての国連
     3 今後の研究に向けて

 注
 あとがき
 参考文献
 事項索引
 人名索引


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。