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移動と交流の近世アジア史

移動と交流の近世アジア史

A5判 304ページ 上製
価格:5,720円 (消費税:520円)
ISBN978-4-8329-6817-2 C3022
奥付の初版発行年月:2016年03月 / 発売日:2016年03月下旬

内容紹介

15世紀末から18世紀にかけてのユーラシア大陸とインド洋にまたがる広域アジアにおいて,人びとがダイナミックに動き,交流したさまを,一次資料に基づいて跡付ける。個人の生涯にわたる旅,集団の移動・移住,コミュニティの形成と発展を,主にアジアの人びとの視点から描き出す。

著者プロフィール

守川 知子(モリカワ トモコ)

1972年生まれ
北海道大学大学院文学研究科 准教授,博士(文学)
単著に『シーア派聖地参詣の研究』(京都大学学術出版会,2007年),共著および論文に「地中海を旅した二人の改宗者─イラン人カトリック信徒とアルメニア人シーア派ムスリム」(長谷部史彦編『地中海世界の旅人─移動と記述の中近世史』慶應義塾大学言語文化研究所,2014年),「サファヴィー朝の対シャム使節とインド洋─『スレイマーンの船』の世界」(『史朋』46号,2013年)などがある。

真下 裕之(マシタ ヒロユキ)

1969年生まれ
神戸大学大学院人文学研究科 准教授,修士(文学)
論文に「一六世紀前半のグジャラートとポルトガル─港市ディーウをめぐる諸関係」(『東洋史研究』53巻4号,1995年),「インド・イスラーム社会の歴史書における﹁インド史﹂について」(『神戸大学文学部紀要』38号,2011年),「17世紀初頭デカン地方のペルシア語史書Taḏkirat al-Mulūkについて」(近藤信彰編『近世イスラーム国家史研究の現在』東京外国語大学,2015年)などがある。

木村 暁(キムラ サトル)

1975年生まれ
筑波大学人文社会系特任研究員,修士(文学)
共著および論文に「中央アジアとイラン─史料に見る地域認識」(宇山智彦編『地域認識論─多民族空間の構造と表象』講談社,2008年),“Sunni-Shi‘i Relations in the Russian Protectorate of Bukhara, as Perceived by the Local ‘Ulama” (Uyama Tomohiko ed., Asiatic Russia: Imperial Power in Regional and International Contexts, London: Routledge, 2011),「ウズベキスタン伝存の西徳二郎書簡をめぐって」(『アジア・アフリカ言語文化研究』88号,2014年)などがある。

今松 泰(イママツ ヤスシ)

京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 客員准教授,博士(学術)
共著に「ガザーと聖者,その記述と観念─エヴリヤ・チェレビーの﹃旅行記﹄から」(赤堀雅幸・東長靖・堀川徹編『イスラームの神秘主義と聖者信仰』東京大学出版会,2005年),『イスラーム神秘思想の輝き』(山川出版社,2016年)などがある。
間 野 英 二(まの えいじ) [第5章]
1939年生まれ
龍谷大学客員教授,京都大学名誉教授,日本学士院会員,文学博士
単著に『中央アジアの歴史 草原とオアシスの世界』(講談社現代新書,1977年),『バーブル・ナーマの研究』(全4巻,松香堂,1995,1996,1998,2001年),『バーブル ムガル帝国の創設者』(山川出版社,2013年),訳書にバーブル著『バーブル・ナーマ ムガル帝国創設者の回想録』(全3巻,平凡社東洋文庫,2014,2015年)などがある。

三木 聰(ミキ サトシ)

1951年生まれ
北海道大学大学院文学研究科 特任教授,博士(文学)
単著に『明清福建農村社会の研究』(北海道大学図書刊行会,2002年),『伝統中国と福建社会』(汲古書院,2015年)などがある。

長島 弘(ナガシマ ヒロム)

1944年生まれ
長崎県立大学名誉教授,修士(文学)
論文に「ムガル帝国下のバニヤ商人─スーラト市の場合」(『東洋史研究』40巻4号,1982年),「17世紀におけるムスリム商人の日本来航について」(『東西海上交流史研究』1号,中近東文化センター,1989年),「ムガル帝国スーラト港市のシャーバンダル」(『東西海上交流史研究』3号,1994年)などがある。

重松 伸司(シゲマツ シンジ)

1942年生まれ
追手門学院大学名誉教授,博士(文学)
単著に『国際移動の歴史社会学─近代タミル移民研究』(名古屋大学出版会,1999年),『マドラス物語─海道のインド文化誌』(中公新書,1993年),訳書にJ. A. デュボア著,H. K. ビーチャム編『カーストの民─ヒンドゥーの習俗と儀礼』(平凡社東洋文庫,1988年)などがある。

間野 英二(マノ エイジ)

龍谷大学

島田 竜登(シマダ リュウト)

1972年生まれ
東京大学大学院人文社会系研究科 准教授,Ph. D.
単著にThe Intra-Asian Trade in Japanese Copper by the Dutch East India Company during the Eighteenth Century (Leiden and Boston: Brill Academic Publishers, 2006),共編著に『アジア経済史研究入門』(名古屋大学出版会,2015年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次



第Ⅰ部 移住
第1章 インド洋海域世界のイラン人 守川知子
─シャムにわたった人びとを中心に
1.インド亜大陸のイラン人
2.シャムにわたったイラン人
3.イラン─インド─シャム
4.ペルシア語とインド洋海域世界

第2章 近世南アジアにおける人的移動の記録と記憶 真下裕之
─デカンのムスリム王朝の出自説をめぐって
1.15世紀末デカンを取り巻く歴史的状況
2.アーディル・シャーヒー朝創設者ユースフの出自に関する記録
3.15世紀後半インド洋西部海域における人的移動の断面

第3章 マンギト朝政権の対シーア派聖戦とメルヴ住民の強制移住 木村暁
1.マンギト朝政権下のスンナ派正統主義とシーア派禁制
2.シャームラードのメルヴ征服と住民の強制移住
3.移住者のその後

第Ⅱ部 旅
第4章 オスマン海軍提督のアラビア海からの帰還 今松泰
─北インド,中央アジア,イランを通って
1.セイディー・アリー・レイスが辿った道
2.旅の危険と苦難
3.セイディー・アリーの旅のスタイル

第5章 ミールザー・ハイダルの生涯と彼のバダフシャーンへの旅 間野英二
1.ミールザー・ハイダルの生涯
2.ミールザー・ハイダルのバダフシャーンへの旅

第6章 明清交替期の地方士大夫と旅 三木聰
─福建寧化県の李世熊を中心として
1.李世熊と明清交替
2.李世熊と科挙の旅
3.李世熊と交遊の旅

第Ⅲ部 居住
第7章 1730年前後作製のスーラト絵図を読み解く 長島弘
1.スーラト絵図の書誌的先行研究
2.絵図にみえる公的施設・公邸
3.絵図にみえるバーザール・大商人の邸宅・ヨーロッパ諸国の商館
4.絵図にみえる宗教施設
5.絵図から読み取れたこと

第8章 17~18世紀初頭のインドにおけるアルメニア商人と
イギリス東インド会社 重松伸司
―「1688年協約」をめぐって
1.課題と史料
2.「1688年協約」
3.イギリス東インド会社の居留地とその通時的変動
4.17世紀におけるアルメニア人の活動

第9章 近世バタヴィアのモール人 島田竜登
1.先行研究
2.島嶼部東南アジアにおける西南アジアからの来航商人
3.バタヴィアのモール人人口
4.バタヴィア居住のモール人の職業と自治

人名索引
地名索引
事項・書名索引








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