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コンスタンティノープル政府と地方軍団テマ反乱とビザンツ帝国

テマ反乱とビザンツ帝国 コンスタンティノープル政府と地方軍団

A5判 452ページ 上製
価格:7,590円 (消費税:690円)
ISBN978-4-87259-537-6 C3022
奥付の初版発行年月:2016年03月 / 発売日:2016年04月中旬

内容紹介

中期ビザンツ国家の最重要制度であるテマ制についての本格的研究書.テマ軍団が度重なる反乱を通じてコンスタンティノープル中央政権のあり方に深く関与していたという独自の仮説を,緻密な史料分析により論証するとともにテマ制の起源も再考し,暗黒時代とされる当時のビザンツ帝国の政治の実情を明らかにする.国際学会においてもテマ反乱からビザンツ政治史を扱う研究は皆無で,中期ビザンツ史研究に新たな視点を投じる.


目次

序章
一 問題提起
(1)タクティコンに見るテマ将軍の優越
(2)軍民両権の統合
(3)簒奪と軍事反乱
二 時代設定
三 研究史と考察対象
(1)オストロゴルスキーとテマ起源論争
(2)日本における研究
(3)テマをめぐる研究のその後
(4)七世紀以前の軍事不安とテマ反乱の違い
四 史料と考察手法
(1)「テマ」という用語の使用をめぐって
(2)史料について
(3)史料解釈や記述についての態度
五 本書の構成

第一章 テマ軍団の登場とテマ反乱の展開
はじめに
一 後期ローマ帝国における軍事行政制度の概要
二 テマ軍団の起源について
三 七世紀の政治情勢
四 テマ軍団による反乱:レオン三世登極以前
五 テマ軍団による反乱:レオン三世登極以後
六 テマ反乱の特徴
おわりに

第二章 七・八世紀におけるビザンツ中央政府の動向-元老院を中心に-
はじめに
一 後期ローマ帝国と元老院
二 『テオファネス年代記』と元老院
三 ニケフォロスの『簡略歴史』と元老院
四 コンスタンティノープル元老院の動向
おわりに

第三章 ビザンツ艦隊をめぐる考察-七世紀後半~八世紀初頭を中心に-
はじめに
一 ビザンツ海軍成立期の史料状況と諸問題
二 コンスタンス二世・コンスタンティノス四世と艦隊
三 ユスティニアノス二世からテオドシオス三世までの艦隊
四 レオン三世と艦隊
おわりに

第四章 レオン三世政権の成立 ―テマ軍団の動向を中心に―
はじめに -レオン三世の即位-
一 七世紀後半のテマ軍団
二 「混乱の二〇年」とテマ軍団
三 レオン三世治下の動向
四 アルタバスドスの反乱
おわりに
第五章 八世紀後半のビザンツ帝国─エイレネ政権の性格をめぐって─
はじめに
一 テマに支えられた政権
(1)レオン四世(在位七七五~七八〇年)
(2)コンスタンティノス六世(在位七八〇~九七年)
二 エイレネの政権
(1)摂政エイレネ(七八〇~七九〇年)
(2)女帝エイレネ(七九七~八〇二年)
おわりに―ニケフォロス1世政権の誕生―

第六章 タグマについて ─八世紀ビザンツにおける近衛連隊の誕生─
はじめに
一 『テオファネス年代記』とタグマ
(1)タグマの言及
(2)スコライ(スコラリオス)
(3)エクスクビテス(エクスクビトル/エクスクビトレス)
二 タグマ連隊の成立とその役割
三 ビグラとヒカナトイ連隊
おわりに
補論 タグマの兵力をめぐって
はじめに
一 イスラーム地理学者からの情報
二 ビザンツ史料からの推測
おわりに

第七章 イサウリア朝下の陰謀事件をめぐって─八世紀のコンスタンティノープル─
はじめに
一 首都における陰謀の展開
二 若干の考察
おわりに

第八章 ビザンツ帝国のバルカン半島政策(八世紀後半-九世紀初頭)─ニケフォロス一世の戦死を考える─
はじめに
一 八世紀のバルカン半島情勢への視角
二 コンスタンティノス五世とブルガリア戦争
(1)七世紀諸帝のバルカン政策
(2)コンスタンティノス五世
(3)レオン四世
三 母エイレネと息子コンスタンティノス六世
(1)エイレネ摂政期
(2)コンスタンティノス六世親政期
(3)小括
四 ニケフォロス一世とバルカン半島
(1)東方からバルカン半島へ
(2)ストリュモン川地域をめぐって
五 親征をする皇帝
おわりに

第九章 九世紀初頭における帝位継承とテマ反乱─スラヴ人トマスの乱を中心に─
はじめに─ある伝説から─
一 将軍バルダネスとテマ反乱
二 レオン五世とミカエル二世の即位
(1)レオン五世(在位八一三~八二〇年)
(2)ミカエル二世(在位八二〇~八二九年)
3 スラヴ人トマスの乱:最後のテマ反乱
おわりに

第一〇章 テマ制の起源を再考する
はじめに
一 主要史料の確認
二 研究史の概要
三 テマ自生説とその批判
四 ザッカマンによる検証
五 テマ反乱とテマ制の起源
おわりに

終章
一 テマ将軍と現地社会
二 テマに支えられた政権
三 テマ将軍からテマ長官へ
四 展望
五 残された課題


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