大学出版部協会

 

チベットモンキーの社会的知能たちまわるサル

生態学ライブラリー 7
たちまわるサル チベットモンキーの社会的知能

四六判 276ページ
価格:2,310円 (消費税:210円)
ISBN978-4-87698-307-0(4-87698-307-0) C0345
奥付の初版発行年月:1999年12月 / 発売日:1999年12月上旬

内容紹介

チベットモンキーはニホンザルに近縁な中国のサルだ.彼らは群れの仲間達と仲良くなろうと,子ザルを抱いていって一緒に持ち上げる.オス同士はペニスに触れつつ抱きあう.ケンカでは血縁のないメス同士も連合を組む.そして夜にはみんなで岩棚で泊まる.そんな暮らしの中で,彼らがどのような〈社会的知能〉を使っているのかを探る.

著者プロフィール

小川 秀司(オガワ ヒデシ)

中京大学教養部助教授.理学博士.
1964年 岐阜県生まれ.
1989年 京都大学理学部卒業.
1994年 同大学院理学研究科博士課程終了. 京都大学霊長類研究所研修員,同教務職員(文部技官)を経て現職.
専 攻
霊長類学,動物行動学.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに
本書で登場する魚鱗坑群の主なサル

第一章 黄山で暮らすチベットモンキー
1 さるだんごができるまで
2 調査の始まり
3 黄 山 へ
4 マカカ属のサルたち
5 黄山のサル

第二章 サルはうまくたちまわる
1 社会的知能の進化
2 集団生活で直面する問題
3 相手の行動を予測し操作すること
4 三者以上の社会交渉
5 サルの認知と心

第三章 サルの観察
1 オスがやたらと多い
2 コザルの識別マーキング
3 魚鱗坑群の構成
4 観察方法

第四章 ブリッジング行動——コドモは群れのかすがい
1 ペニスにこだわるオスたちの社会行動
2 ブリッジング行動
3 ブリッジングの機能——アゴニスティック・バッファーリング説
4 オスにはお気に入りのコドモがいる——ベビイ―シッティング強化説
5 相手のお気に入りのコドモを運んでいく——友達の友達は友達だ説
6 他者と他者の関係の理解

第五章 サルの調査
1 浮渓村での生活
2 峨眉山のサル
3 サルの餌付け問題

第六章 オスの人生メスの人生
1 オスとメスが交尾をして子供が生まれるまで
2 オスとコドモとメス
3 コドモからオトナへ

第七章 メスたちの連合形成——ときには母と娘も敵になる
1 あるメスザル背痕のサクセスストーリー
2 敵対的交渉におけるメスの社会行動
3 メスの連合形成
4 ゆるやかな優劣と非血縁者間のつきあい

第八章 子 殺 し
1 背痕の子が殺されてしまった

第九章 泊まり場のさるだんご
1 さるだんご
2 泊まり場のさるだんご形成観察
3 誰と誰がくっつくか
4 さるだんごの三者——サルにもドリカム編成はあるか

第十章 霊長類は他者の心と行動をどのように推測するか
1 サルたちのだましあい
2 心の理論
3 自己認知と他者の心の理解
4 サルはどう考えて暮らしてきたか
5 さるだんごができるまでをもう一度

おわりに
読書案内
引用文献
索  引


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。