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散村・小都市群地域の動態と構造

散村・小都市群地域の動態と構造

A5判 426ページ
価格:6,050円 (消費税:550円)
ISBN978-4-87698-627-9(4-87698-627-4) C3025
奥付の初版発行年月:2004年02月 / 発売日:2004年02月下旬

内容紹介

わが国の国土整備計画や地域政策にあっては,大都市や過疎地が主たる対象であった.その中間に位置する散村や小都市群地域は看過されたままである.砺波・胆沢・富良野を事例に,いまや「地方の時代」の主役たるこの地域の地理学的・経済学的・社会学的動態を,カナダ・オーストラリアと比較分析しつつ,あるべき姿を提言する.

著者プロフィール

金田 章裕(キンダ アキヒロ)

京都大学大学院文学研究科教授・京都大学副学長
1946年 富山県生まれ。
1974年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。
1994年 京都大学教養部助手、追手門大学助教授を経て現職。
主な著書
『条理と村落の歴史地理学研究』(大明堂、1985年)
『オーストラリア歴史地理』(地人書房、1985年)
『古代日本の景観』(吉川弘文館、1993年)
『微地形と中世村落』(吉川弘文館、1993年)
『オーストラリア景観史』(大明堂、1998年)
『古代荘園図と景観』(東京大学出版会、1998年)
『古地図からみた古代日本』(中央公論新社、1999年)
『古代景観史の探究』(吉川弘文館、2002年)

藤井 正(フジイ タダシ)

大阪府立大学総合科学部教授
(2004年4月より鳥取大学地域学部教授着任予定)
1957年 大阪府生まれ。
1982年 京都大学大学院文学研究科博士課程退学。
1998年 京都大学教養部助手、大阪府立大学講師・助教授を経て現職。
主な編著書
『ジオ・パル21』(共著)(海青社、2001年)
『図説 大都市圏』(共編)(古今書院、2001年)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

序 章 散村・小都市群地域の特性と本書の目的  (金田章裕)

1 日本の地域的特性と散村・小都市群地域
2 散村小都市群地域の成立と研究史
3 散村小都市群地域の研究視角


第1部 日本の散村・小都市群地域

A.砺波地域
  現況概説

第1章 砺波散村地域の構造変化  (金田章裕)

1 砺波散村地域の伝統的構造
2 散村と中心集落の諸関係
3 モータリゼーションと圃場整備
4 散村における非農家の増加
5 人口移動の動向
6 居住地の移動動向
7 住居移転の理由
まとめ

第2章 散村地域における就業構造と農業の担い手の変貌
     一一砺波地方を中心に        (岡田知弘)

1 農業センサスによる集落形態区分と砺波平野
2 分析にあたっての歴史的前提
3 砺波地方における地域労働市場の展開
4 砺波地方の農業就業構造の変容と散居集落
5 散村地域における土地所有・利用構造の特質
まとめ

第3章 砺波地域の小都市群における小売業の変化  (松田隆典・伊藤悟・藤井正・山根拓)

1 砺波小都市群の構成する中心地システム
2 小都市群の小売業
3 福光町における中心商店街の変容
4 小売業からみた福野町の中心市街地の変化
5 砺波市における近年の大型店の立地変化
まとめ

第4章 砺波地域における住民の居住環境評価  (伊藤 悟)

1 対象地域と調査方法
2 満足度の評価
3 重要度の評価
4 他地域との比較
まとめ


B.胆沢地域
 現況概説

第5章 岩手県胆江地方における産業と人口
    ――1970年代以後の再生の歩み      (石川義孝)

1 地元労働市場の動き
2 農家世帯の事情
3 通勤圏の拡大
まとめ

第6章 胆沢扇状地における農業維持の可能性  (田林 明)

1 研究の手順と農業動向
2 胆沢扇状地における農業の地域差
3 胆沢扇状地における農業の性格
4 胆沢扇状地における農業の存続形態
まとめ

第7章 胆沢地域の小都市群の中心機能と都市化  (藤井 正)

1 水沢市・胆沢町の都市化
2 水沢市における小売業の変化
まとめ


C.富良野地域
 現況概説

第8章 富良野盆地における小都市群の形成
    ――明治後期開拓地における中心市街地の成立と変容 (松田隆典)

1 中心市街地の成立
2 小都市群システムの形成
3 小都市群の性格の変化
まとめ

第9章 富良野地域における農業地域構造とその変動  (高橋 誠)

1 農業の地域構造
2 地域構造の変動
まとめ

第10章 富良野地域におけるローカルニーズとローカルイメージ
    ――田園居住を考える視点として    (高橋 誠)

1 富良野地域の概要
2 アンケートから見た市街地と農村部の対比
3 ローカルニーズとローカルイメージ
まとめ


D.空間の変容と整備

第11章 モータリゼーションと地方都市空間の変容  (山根 拓)

1 モータリゼーションの進行に見る地域的特徴
2 地方都市空間の変容とモータリゼーション
3 地方空間におけるモータリゼーションの評価
まとめ

第12章 散村の景観保全と地域づくりの課題
     ――美瑛町・胆沢町と砺波散村を事例に        (関戸明子)

1 丘の風景が注目されて観光客が急増した美瑛町
2 景観・生態系に配慮した圃場整備が進む胆沢町
3 「となみ野」田園空間整備事業と地域づくりの課題
まとめ

第13章 国士計画における多自然居住地域の提唱と散村・小都市群地域
                               (宮口〓廸)

1 わが国の地域社会の歩みと国士計画
2 転換の時代における国土計画の策定
3 多自然居住地域の創造に向けての議論
4 小都市の都市機能の現状
5 散村・小都市群地域の性格
6 市町村合併の論議と散村・小都市群地域
まとめ

第II部 カナダとオーストラリアの散村・小都市群地域


第14章 カナダの核心地域としての南オンタリオ
  (田林 明)

1 カナダの中の商オンタリオ
2 南オンタリオの性格

第15章 カナダ、南オンタリオにおける混合農業の変容
    ―一G農場の20年           (田林 明)

1 南オンタリオ農業の地位と事例農場
2 G農場における農業経営の変化
3 南オンタリオ農業地域の変化
まとめ

第16章 カナダにおける中心集落の衰退と再生
    ―一1700年から2001年まで      (フレッド・ダムス)

1 カナダの開発と中心集落の発展
2 中心集落の衰退と再生
3 ソーンバリーの事例
まとめ

第17章 オーストラリアの散村・小都市群地域  (金田章裕)

1 自然環境と農牧業の類型
2 散村・小都市群地域の成立と変遷
3 散村・小都市群地域の動向

第18章 オーストラリア・ビクトリア州の小都市群  (伊藤 悟・藤井 正)

1 LGA区分によるビクトリア州の地域特性
2 中心地群の分析
3 ホーシャム中心部における土地利用調査
まとめ

終 章 散村・小都市群地域の動態と構造  (金田章裕)

1 散村の動態と特性
2 小都市群の動態と特性
3 大都市圏・地方中核都市と散村・小都市群地域
4 散村・小都市群地域の位置づけ

  索 引


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