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ショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明ニヒリズムと無

ニヒリズムと無 ショーペンハウアー/ニーチェとインド思想の間文化的解明

A5判 218ページ
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-87698-642-2(4-87698-642-8) C3010
奥付の初版発行年月:2004年12月 / 発売日:2004年12月上旬

内容紹介

西洋近代哲学の二大巨人・ショーペンハウアーとニーチェの「無」と「ニヒリズム」の思想は,キリスト教との激烈な相剋によって形成されたものと一面的に捉えられてきたが,実は東洋のインド思想との出会いによってさらに促されたことを実証的に論証したものである.特に,ニーチェとインド思想との邂逅はこれまで見過ごされてきただけに刺激的である.

著者プロフィール

橋本 智津子(ハシモト チヅコ)

国際基督教大学キリスト教と文化研究所研究員
1968年、千葉県生まれ。
1997年、ウィーン大学哲学科修了(哲学修士)。
2003年、京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。
主な論文
「ショーペンハウアー的倫理「共苦」における間文化性――梵我一如とアガペー――」『人文科学研究』(国際基督教大学紀要第35号、2004年)、他。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡  例
はじめに

第1部 「無」の思想史――古代から近世、西洋と東洋

 1.「無」の思想史――西洋
 2.「無」の思想史――東洋
 3.ニーチェ以前のニヒリズム思想の歴史
 4.ショーペンハウアー/ニーチェと東洋思想との比較研究史

第2部 ニヒリズム思想の先駆者とインド思想との関わり
    ――ショーペンハウアー

第1章 価値転換の契機としての無の思想
 序
 1. インド思想における無性
   1.1. ウパニシャッドのマーヤ――無価値であること
   1.2. 仏教的世界観――無常であること
 2. ショーペンハウアーにおける無性――無常と無価値
 3. 存在自体の無性からショーペンハウアーの理解における仏教的無(空性)へ
 4. 結

第2章 救済(解脱)としての無の思想
 序
 1.『意志と表象としての世界』正編第一版までにおける救済(解脱)の思想
   1.1. ウパニシャッドとの関連において
   1.2. 主著正編第71節における「無」の思想
 2.『意志と表象としての世界』続編における無の思想
   2.1. 死と無
   2.2. 無と涅槃

第3部 ニヒリズム思想形成における仏教思想の関わり
    ――ニーチェ

第1章 「無性」の思想の流れ
    ――ショーペンハウアーから初期ニーチェへ(1)
 序
 1.「ディオニュソス的世界観」と無性
 2. 根源的一者と無性
 3. 仮象と無性
 4. 芸術論の前提としての「ディオニュソス的世界観」
 5. 結

第2章 「無」の思想の流れ
    ――ショーペンハウアーから初期ニーチェへ(2)
 序
 1.ニーチェによるショーペンハウアー的「無」の解釈
 2.仏教文献における「無」
   2.1.ケッペン『仏陀の宗教』
   2.2.ミュラー『小論集』
 3.ニーチェによる「無」の提示
 4.結

第3章 ニーチェにおける仏教理解とニヒリズム
 序
 1.ニーチェのニヒリズム思想の多様性
   1.1.ニーチェによるニヒリズム思想の多様性
   1.2.クーンによる多様なニヒリズム概念の区分
   1.3.ニヒリズムの分類の再構成
 2.ニヒリズムにおけるショーペンハウアー思想の位置づけ
 3.ニーチェの理解における仏教思想――オルデンベルグ『仏陀』をもとにして
   3.1.文献の価値
   3.2.生の実相と無の思想
   3.3.涅槃と無の思想
 4.結

おわりに 東西思想の接点としての無の思想

附論 ショーペンハウアーと『ウプネカット』
   ――自己認識の問題を中心にした文献学的解明
 序
 1.マーヤーと表象及び意欲との関係
 2.一元的原理とその認識
 3.結

  あとがき

  参考資料
    資料I 『ウプネカット』各ウプネカットの名称
    資料II コールブルック『様々な小論集』第1巻 目次
    資料III ケッペン『仏陀の宗教とその成立』 目次
    資料IV ミュラー『小論集』第1巻 目次
    資料V オルデンベルク『仏陀――その生涯、教え、教団』 目次

  文献リスト
  初出一覧
  索  引


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