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水の都から陸の都市へバンコク 1883年

バンコク 1883年 水の都から陸の都市へ

菊判 252ページ 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-87698-997-3 C3025
奥付の初版発行年月:2011年03月 / 発売日:2011年03月中旬

内容紹介

タイの首都バンコクが近代都市へと変貌を遂げ始めた19世紀.その実像を,1883年に作成された『バンコク郵便家屋台帳』から読み解く.3万戸以上の家屋の形態,居住者の民族・性別や多彩な職業の分析から浮かび上がってきたのは,面ではなく線として放射状に広がる独自の都市像であり,東南アジア多民族都市の萌芽形態であった.

著者プロフィール

坪内 良博(ツボウチ ヨシヒロ)

甲南女子大学学長,京都大学名誉教授
1938年京都府に生まれる。京都大学文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程修了。京都大学文学博士。
京都大学東南アジア研究センター助手,助教授を経て1982年教授,1993年より同センター所長,1998年大学院アジア・アフリカ地域研究研究科へ移籍,研究科長を経て定年退職。甲南女子大学文学部教授を経て現職。

主要著書
『離婚—比較社会学的研究』(共著),創文社,1970年
『マレー農村の研究』(共著),創文社,1976年
『核家族再考—マレー人の家族圏』(共著)弘文堂,1977年
『東南アジア人口民族誌』勁草書房,1986年
『東南アジアの社会』(編著)弘文堂,1990年
『マレー農村の20年』京都大学学術出版会,1996年
『小人口世界の人口誌』京都大学学術出版会,1998年
『東南アジア多民族社会の形成』京都大学学術出版会,2009年

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第1章 水の都から陸の都市へ—19世紀末バンコク
1.城壁と水路
2.バンコク人口の謎
3.バンコク郵便家屋台帳
  1市域/2民族別人口/3職業別人口/4家屋形態
4.バンコク郵便家屋台帳から見たバンコク居住者
  市域/民族別人口
5.職業別世帯主
  官吏および徭役従事者/農業従事者/日用品の商い/嗜好品の商い/
  質屋,売春宿,賭博場/職人/米取引,精米所/徴税請負人/専門職
6.浮き家とレンガ造り家屋

第2章 道路沿いの市街の構造
1.ニューロード(チャルンクルン道路)
2.サンペン道路
3.バムルンムアン道路
4.フアンナコン道路
5.城壁沿いの道路 64
6.道路沿いの生活の出現

第3章 水路沿いの住民
1.水路の住民
2.バンコクノーイ水路
3.バンコクヤイ水路
4.バンコクヤイ水路からの延長水路
  バーンウェーク水路/バーンチュアクナン水路およびバーンノーイ水路/
  モーン水路およびワットターイタラート水路/バーンプロム水路/バーン
  ラマート水路ほか
5.マハチャイ水路
6.パシチャルン水路
7.連絡水路
8.独立集落
9.水路の性格(まとめ)

第4章 タイ人女性戸主の位置づけ
1.民族と女性戸主
2.タイ人女性戸主の職業
3.若干の道路と水路の観察
4.女性の位置づけ(まとめ)

おわりに—都市の不在あるいは東南アジア的都市
  (1)拡散的存在としてのバンコク/(2)クルンテープ—中心を持つ広がり/
  (3)放射状の都市/(4)都市への急展開—首位都市としてのバンコクへ

付論1 郵便家屋台帳からみた19世紀末のバンコク人口
    —予備的考察(坪内・石井)
     1.タイ国における郵便制度の成立と家屋台帳の作成/2.家屋群の
     規模/3.異民族の割合/4.民族的隔離/5.タイ人中の特定要素と
     中国人居住とのかかわり/6.家屋配列順の観察/7.今後の分析の
     ためのその他の問題点と可能性/8.おわりに

付論2 19世紀末のバンコクを求めて(坪内)
     1.郵便家屋台帳記載のバンコクの境界を求めて/2.マハチャイ水路/
     3.セーンセーブ水路/4.チャルンクルン道路/5.これからの分析
    19世紀末のバンコクを求めて 続編(坪内)
     1.再びバンコク/2.運河沿いの広がり/3.拡散都市バンコク/4.
     首都バンコク/5.水路の広がり/6.水路沿いの小中心/7.点と線

参考文献
巻末付表
あとがき
索引


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