『リンドン・B・ジョンソン大統領と「偉大な社会」計画   ”ニューディール社会福祉体制” の確立と限界』

[hanmoto isbn=”978-4-88125-269-7″ type=”osusume”]

 リンドン・B・ジョンソン(1908年米国テキサス州生まれ)は1937年、民主党
から出馬して下院議員となり、1948年に上院議員に転出、そして1953年には上院
院内総務に就任した。1961年、J・F・ケネディ大統領の下で副大統領になるも、
ケネディの暗殺により1963年、第36代大統領に昇格した。
 ジョンソン大統領は、内政面では、「偉大な社会」計画を促進してアメリカの
社会福祉を充実させた一方で、他方、外交面では、ベトナム戦争に深く介入して
多くの国民の批判を浴び、この責任をとって1969年退陣に追い込まれた。
 ジョンソン大統領の評価については、ベトナム戦争への介入とエスカレーショ
ンの故に “負の遺産”の方に関心が集まっていたきらいがあるが、ジョンソンが
促進した「偉大な社会」計画を詳細に検討すると、それはアメリカに取り残され
ていた社会問題を解決し、社会変動にも十分対応した”進歩的・改革主義的”側面
を有していたことが明かにされる。実際、ジョンソン大統領は、黒人公民権の回
復、貧困追放、教育への連邦補助、高齢者医療保険などの社会福祉の分野で多大
な業績を挙げたのである。
 本書ではジョンソン大統領が進めた「偉大な社会」計画の分析を通じて、いわ
ゆる「ニューディール社会福祉体制」の確立と限界を論じている。
 現在,我国の抱える社会福祉体制の限界と見直し問題にも共通する、ちょっと
考えさせられる一冊である。