芸術と服飾 あやなす景色 (関東学院大学出版会刊)
価格●4,180円 (消費税 380円)
ISBN978-4-901734-28-8 C3070
四六 / 368ページ / 上製
奥付の発行年月●2009年12月
発売日●2009年12月中旬
議論の大筋からは一見、取るに足らぬ単調なあらわれのようでいて、ときとし
て服飾描写が陰翳深い相貌をあらわすことがある。作品を読み、そこにすっくと
立ち上がってきた服飾を歴史的、社会的、文化的、美的(感性的)文脈において
とらえてみる。本書で示そうとしたのは、ある時代、ある社会に生きた人びとの
喜びや悲しみ、快楽や苦痛、欲望や虚栄など、さまざまな心情と結びついて細や
かな景色を紡ぐ服飾の、問題の深さや面白さである。
本書は序と結び、六つの章で構成される。
序「ユルスナールの靴」はほかでもない須賀敦子氏の著作から、その「きっち
り足に合った靴」に執筆の所為に代え服飾の機微や肌理がたどられる。
つづく六章では、西洋近世から近代において女性を魅了し、それゆえその描写
にもなんらかの意味が認められた真珠、マフ、扇の三つの装身具ごとにそれぞれ
二章ずつ、三つの切り口からアプローチする。
その一「寓意の主題」、第一章「光の粒」では、真珠の画家ヨハネス・フェル
メールの作品をきっかけにヴァニタスについて再考し、第二章「真珠ものがたり」
では、貴くも妖しい真珠がいかに時代を越え興味深いテーマであったのか。
その二「エロスとの対話」、第三章「毛皮のポエジー」ではヴェンツェル・ホ
ラーやトマス・ゲインズバラが描くマフに漂う文化的シナリオを、第四章「ボエ
ームのマフ」では冷たい手を温めるマフにこめられた愛の表現をみる。
その三「メディアの技法」、第五章「たわむれの行方」では彫版扇の流行と
《娼婦一代記》の模倣が扇絵にもおよぶほど人気画家であったウィリアム・ホガ
ースの扇への知られざる関心、第六章「仮面扇の真相」では異形の扇に《乞食オ
ペラ》にまつわる意外な事実の追跡、などなど。芸術の位相における服飾の様態
や人間のこころに映るさまを観察する。
て服飾描写が陰翳深い相貌をあらわすことがある。作品を読み、そこにすっくと
立ち上がってきた服飾を歴史的、社会的、文化的、美的(感性的)文脈において
とらえてみる。本書で示そうとしたのは、ある時代、ある社会に生きた人びとの
喜びや悲しみ、快楽や苦痛、欲望や虚栄など、さまざまな心情と結びついて細や
かな景色を紡ぐ服飾の、問題の深さや面白さである。
本書は序と結び、六つの章で構成される。
序「ユルスナールの靴」はほかでもない須賀敦子氏の著作から、その「きっち
り足に合った靴」に執筆の所為に代え服飾の機微や肌理がたどられる。
つづく六章では、西洋近世から近代において女性を魅了し、それゆえその描写
にもなんらかの意味が認められた真珠、マフ、扇の三つの装身具ごとにそれぞれ
二章ずつ、三つの切り口からアプローチする。
その一「寓意の主題」、第一章「光の粒」では、真珠の画家ヨハネス・フェル
メールの作品をきっかけにヴァニタスについて再考し、第二章「真珠ものがたり」
では、貴くも妖しい真珠がいかに時代を越え興味深いテーマであったのか。
その二「エロスとの対話」、第三章「毛皮のポエジー」ではヴェンツェル・ホ
ラーやトマス・ゲインズバラが描くマフに漂う文化的シナリオを、第四章「ボエ
ームのマフ」では冷たい手を温めるマフにこめられた愛の表現をみる。
その三「メディアの技法」、第五章「たわむれの行方」では彫版扇の流行と
《娼婦一代記》の模倣が扇絵にもおよぶほど人気画家であったウィリアム・ホガ
ースの扇への知られざる関心、第六章「仮面扇の真相」では異形の扇に《乞食オ
ペラ》にまつわる意外な事実の追跡、などなど。芸術の位相における服飾の様態
や人間のこころに映るさまを観察する。