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編集者がすすめる一冊の本

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 スピリチュアリティに対する関心は、書店に「精神世界」のコーナーが設けら
れるなど、すでに30年以上前から深まっていた。最近では、スピリチュアルを
テーマとしたテレビ番組が登場し、関心の幅も拡がっている。しかし「スピリチ
ュアルケアを学ぶ」シリーズが取り上げる課題は、これまでの精神世界をめぐる
議論に接しながらも、あくまでも終末期医療の現場の中から生まれる問いに答え
ることである。
 イギリスに始まり、いま日本でも広く受け入れたれているホスピス運動は、終
末期の緩和ケアにおいて、文字通りの身体的痛み、社会から隔絶される社会的痛
み、精神的痛みと共に、医療では解決できない罪責感など「スピリチュアルな痛
み」が存在することを明らかにした。「スピリチュアルケア」は、その痛みをど
う扱うかという課題に取り組む新しい領域である。
 シリーズ第一巻にあたる本書では、「スピリチュアリティと心の援助」(窪寺
俊之)、「病む人の魂に届く医療を求めて」(柏木哲夫)、「スピリチュアリテ
ィの現在とその意味」(島薗進)、「悲嘆とスピリチュアルケア」(平山正実)、
「スピリチュアルなものへの魂の叫び」(窪寺俊之)という、精神医学、宗教社
会学、臨床死生学などの専門家により論考によりこの課題を実践、理論の両面か
ら追求している。
 医療、看護関係者だけでなく、あらゆる方々にお薦めしたい書籍です。
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