『マイクロサット開発入門』

[hanmoto isbn=”978-4-86163-159-7″ type=”osusume”]

 マイクロサット(micro satellite)とは「小型衛星」のことで、日本の分類
ではさらに小さい「超小型衛星」(100kg以下)ということになります。東北大
学はスプライト観測衛星(SPRITE-SAT)の「RAISING(雷神)」を打ち上げた実
績があり、そのノウハウにも触れながら、超小型衛星の作り方をまとめたのが本
書です。
 我が国の自動車・家電・通信機器等の分野における電子部品は、小型・軽量・
小電力かつ廉価で、その質は国際的に高い評価を得ています。しかし、それらの
民生部品は、宇宙開発の分野にはほとんど活かされていません。また、それらを
そのまま宇宙の特殊環境で用いようとしても、品質保法の面からメーカーに断ら
れるか、あるいは価格が跳ね上がってしまうと予想されます。
 この状況を打破し、我が国自慢の技術を宇宙開発にも展開させるためには、自
らの目で選別した民生部品を積極的に活用し、自らの手で小規模予算の衛星を作
って打ち上げるしかありません。これにチャレンジしているのが本書の著者であ
る「東北大学超小型衛星開発チーム」であり、監修者の吉田和哉教授(航空宇宙
学・宇宙ロボット工学等)です。
 衛星開発には多岐にわたる技術的要素やノウハウの蓄積が必要となりますが、
本書では、筆者等が科学衛星・マイクロサット開発で得た技術・知識・経験に基
づき、設計・製作・試験の基本事項、勘所、テクニックを丁寧に述べ、さらに鯨
生態観測衛星(WEOS)やSPRITE-SAT等の設計から運用までの実例を交えてマイク
ロサットの開発方法について詳しく解説しています。
 マイクロサット開発を目指す技術者、学生に指針を与える有益な参考書です。